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Mozilla FoundationとFirefoxの存在について

今週、Mozilla FoundationのエンジニアであるRobertさんが書いたエッセイが話題になっていた。「インディペンデントなブラウザをメンテするのはめちゃ費用がかかる」という主張だ。

Maintaining An Independent Browser Is Incredibly Expensive
http://robert.ocallahan.org/2017/12/maintaining-independent-browser-is.html

ここでいうインディペンデントなブラウザとはもちろんFirefoxのことで、インディペンデントとはMozilla FoundationがGoogleやApple、MSのような超巨大企業がつくるブラウザとは独立した立場を取っているということだ。

10年以上前の牧歌的な時代とは異なり、現代はブラウザに盛り込まれる仕様が非常に増え、それぞれに高いクオリティが求められるようになった。それでいていまだに進化スピードは速い。

web標準の仕様策定にも主要プレイヤーとして参加する必要があるし、競争力を保つためにRustServoのような先進テクノロジを開発していく必要もある。たくさんのエンドユーザに使ってもらうために広報活動、教育活動も欠かせない。

業務量が増え続けた結果、現在Mozilla Foundationのスタッフは1200名もいるようだ。

インディペンデントであること

RobertさんはGoogleやApple、MSが支配するブラウザ界において、それらのビッグブラザー達に支配されることをよしとしない人たちのための現実的な選択肢としてFirefoxの存在価値があると述べている。

ずいぶんと肩肘張ってるな〜と思われるかもしれないが、ブラウザはweb体験の最上流にあたる部分なので、ここを押さえてシェアを取ると色々なパワープレイができてしまう。

たとえば、Chromeはユーザ体験の最大化という大義名分のもと、不快な広告をブロックする機能を2018年にリリース予定であることを発表し業界で大きな話題になった。また、SafariはCookieの仕様を変えて第三者によるオンライン上の行動のトラッキングをブロックするアドテク業者殺しの機能を追加した。(こちらを参照

GoogleがシマンテックのSSL証明書をChromeから失効させる提案をして大きな話題にもなった。シマンテックの運用がまずかったのは確かだが、ブラウザシェアで5割をこえるGoogleが脅すと迫力がまるで違ってくる。シマンテックのSSL証明書を使っているwebサイトは事実上閲覧不能になるので同社のSSL事業は立ち行かなくなってしまう。

結局、web技術やブラウザの仕様が格段に複雑化した現在では、ブラウザシェアが業界の発言力に直結するので、GoogleやApple、MSといった巨人はブラウザを他社に委ねず自社開発をこれからも続けていくはずだ。各社のブラウザはユーザーフレンドリーな皮をかぶってユーザを囲い込みにいく。この状況を踏まえると、Firefoxという第三極・中立的な立ち位置はユニークで存在意義がある事がわかってくると思う。

Firefox Quantum

とはいえ、モノがいまいちではアカンのだが、つい最近でた最新バージョンの Firefox 57は描画エンジンをリライトして高速化した勝負作で、Firefox Quantumと名前がついている。僕は依然としてChrome派だけど、速度は正義なので本当に爆速になるかベンチしてみたい。

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