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保護責任者遺棄致死等 令和2年合(わ)第271号 第3回(1/31)傍聴記録

サムネイル画像と本文は関係ありません。

被告人:梯沙希(かけはし ゆき)
〔以下、梯さん〕
3歳児の娘である稀華(のあ)ちゃんを、自宅アパートに3日間放置し、翌月も8日間放置し衰弱死させたとして保護責任者遺棄、保護責任者遺棄致死の罪に問われている。

Aさん→梯さんの元夫。
Bさん→梯さんの元交際相手。鹿児島に行った。
Cさん→Bさんの先輩。梯さんを鹿児島に誘った。

※個人名で告げられていたため、前日の記事などを読んでも梯さんとの関係が分からなかった部分がありますので解釈や関係性の違い等ございましたらご指摘ください。

【検察側からの被告人質問】

《旅行に行った際家に置いた食べ物に関する質問》

検察官:5月に稀華ちゃんをおいて3日間鹿児島へ旅行に行く前に家に残した食べ物は何ですか?

梯さん:はっきり覚えてないです。……お茶と、ジュースと…、水です。

検察官:食べ物は置いていきましたか?

梯さん:はい。

検察官:何を置いていきましたか?

梯さん:パンと…、のんちゃんが好きなお菓子とか、食べやすいものです。

検察官:どのくらい置いていきましたか?

梯さん:いっぱい置いていきました。

検察官:具体的にどのくらいですか?

梯さん:よく覚えてないです。…飲み物は全部で7本ぐらいです。パンは…、何本か入ってるやつを、2袋ぐらいです。

検察官:3日間の旅行から帰宅した際、置いて行ったものはどのくらい残っていましたか?

梯さん:結構食べてました。

検察官:具体的にどのくらいですか?

梯さん:お菓子と、パンが少し残ってました。

検察官:6月に稀華ちゃんを置いて8日間鹿児島へ旅行に行く前に家に残した食べ物はなんですか?

梯さん:5月のと大体同じです。…のんちゃんが食べやすいものを。

検察官:稀華ちゃんが食べやすいものとは具体的に何ですか?

梯さん:袋を開けやすいものとか…のんちゃんが1人でも食べれるものです。

検察官:8日間の旅行から帰宅した際、置いていったものはどのくらい残っていましたか?

梯さん:…覚えてないです。


《男性関係や仕事等に関する質問》

検察官:地元の宮崎県から上京して就職した理由はなんですか?

梯さん:どこで働くとか考えてなくて…周りの人たちに勧められて上京しました。

検察官:上京してから2年間羽田空港で働いていたとのことですが、そこではどのような仕事をしていましたか?

梯さん:空港のウェイトレスと…、人手が足りないときの、ヘルプみたいなのをしていました。

検察官:空港での仕事をやめた後は何の仕事に就きましたか?

梯さん:先輩の手伝いで営業をしたり、あと携帯ショップとか居酒屋…飲み屋です。

検察官:キャバクラで働いていた時、Aさんと出会ったのは間違いありませんか?

梯さん:はい。…人数が足りてなくて、手伝いをしてました。

検察官:稀華ちゃんが保育園を退園した時、Aさんに伝えなかったのは何故ですか?

梯さん:言いたかったんですけど、言えなくて……。迷惑かけたくなかったです。

検察官:Aさんが『稀華ちゃんの写真見てないけど元気?』と連絡が来たのに対し、『撮りたいねんけどのんちゃん保育園で怪我しちゃって。』と、退園後なのにも関わらず、稀華ちゃんが保育園にいるように話していたのは何故ですか?

梯さん:その時は、うちが洗濯物干してた時にのんちゃんが怪我しちゃってて、なんでかは分からないんですけど。心配かけたくなかったので…。

検察官:Aさんのお母さんから生活用品やお菓子などの荷物をもらっていたそうですが、その人に保育園のことなどを伝えれなかったのは何故ですか?

梯さん:頼るのが申し訳なくて…頼れませんでした。

検察官:Aさんのお母さんから『生活費足りてる?』と連絡が来た時、『20万ほど必要です』と返した後、銀行に20万振り込まれていたそうですが、その20万は何に使いましたか?

梯さん:光熱費と家賃と食費に使いました。

検察官:光熱費、家賃、食費に全部使いましたか?

梯さん:…覚えてないです、どれに使ったとかはあんまり…。それで全部ではないと思います。

検察官:鹿児島に行く旅費に使ったのではないですか?

梯さん:使ってません。

検察官:初めて稀華ちゃんを家に残して外出した時は後悔したと言っていましたが、後悔していたのに何故繰り返したのですか?

梯さん:約束した相手に断れなくて…、ずっと言えなかったです。自分何してるんだろうって思ってました。

検察官:初めて稀華ちゃんを家に残して外出した際、帰宅した時に稀華ちゃんの顔を見てどう思いましたか?

梯さん:ごめん……、1人にしてごめんね、こんなうちでごめんねって…、自分が憎かったです…。

検察官:何故申し訳なく感じていたのに旅行を断れなかったのですか?

梯さん:断りたくて、相手に言いたくて、でも言おうとしても何故か言えなくて…。

検察官:お金に困っていたときにスロットに通っていたとのことですが、どういう経緯でスロットに通うようになりましたか?

梯さん:友人に勧められて、少しでもプラスになればいいなって…、マイナスにはならないようにしてました。

検察官:通う頻度はどのくらいでしたか?

梯さん:結構通っていました。…必死でした。

検察官:プラスになればとのことですが、実際どのくらいプラスになりましたか?

梯さん:お金はあんまり増えなかったです。でも、少しプラスになる時もあって…、どうにかしようって思ってました。…のんちゃんと普通の生活ができるように。

検察官:スロット以外にも他の仕事に就くなどできなかったのですか?

梯さん:考えたんですけど、スロットを友人に教えてもらって、そっちの方がいいなって。仕事は時間帯とか給料で、合うものがなかったです。

検察官:役所の援助を受けることはできなかったのですか?

梯さん:知ってはいたんですけど、自分が受けられるものとはわかっていなかったです。

検察官:Bさんとの交際きっかけはなんですか?

梯さん:分かりません…。仲良くなって飲みに行くことが増えて、他の人よりは頻繁に会ってるなって感じでした。付き合うとかそういう会話はなかったです。

検察官:12月に交際記念日という内容の写真がありますが、この記念日が交際を始めた日という事ではないのですか?

梯さん:なんか『俺たち付き合ってるよな』って言われて、そうなんだーって思って。付き合うことが何をすることなのかがよく分からなかったので、周りの人たちがしていることを真似してました。自分はそうなのかという曖昧な気持で…。相手の気分を悪くさせないためにやってました。


《鹿児島へ旅行に行く前後についての質問》

検察官:Bさんが鹿児島に行く時、見送りにいったのは何故ですか?

梯さん:Bさんと電話した時に、流れで行くことになりました。どちらかが決めたという感じではなかったです。

検察官:5月にCさんと鹿児島に行ったのは何故ですか?

梯さん:…断れなかったからです。

検察官:Bさんに会いたかったから鹿児島に行ったのではないですか?

梯さん:違います。

検察官:Bさんに対してはどう思っていますか?

梯さん:よく会ってる人って感じです。

検察官:6月にCさんと鹿児島に行ったのは何故ですか?

梯さん:5月と同じです、断れませんでした。

検察官:Bさんに会いたかったから鹿児島に行ったのではないですか?

梯さん:それはないです。

検察官:Cさんとは深い関係でもないのに何故一緒に鹿児島に行ったのですか?

梯さん:Bさんに『Cさんは機嫌悪くさせないでね』と言われたので、顔色を伺っていました。

検察官:稀華ちゃんがいるからと断ることはできなかったのですか?

梯さん:のんちゃんがいるってことは言いたくてたまらなかったです。でも話せなくて…、ただ相槌を打つだけでした。話したいのに話せない自分にムカついていました。

検察官:BさんとCさんには深い関心を持っていなかったのに何故言えなかったのですか?

梯さん:気持ちとかは関係なくて、誰に対しても同じです。自分でもなんでそうしてしまうのか分からないです…。

検察官:鹿児島に行くとき、稀華ちゃんも連れて行かなかったのは何故ですか?

梯さん:急に連れていったら迷惑かなって……、自分も本当は行きたくなかったから、のんちゃんに嫌な思いをさせたくなかったです。

検察官:稀華ちゃんを誰かに預けたり、面倒を見てもらうことはできなかったのですか?

梯さん:言えなかったです。預けるのが申し訳なくて…。

検察官:Aさんのお母さんから『荷物送るけど欲しいものある?』と連絡が来た際、『おしりふきお願い』と返信した記録があります。このようなやりとりをしていたAさんのお母さんにも預けることはできなかったのですか?

梯さん:考えたんですけど…、言えなかったです。のんちゃんに荷物を送ってくれるのも申し訳なくて…。いるものを聞かれた時は申し訳ないなって思ったけど、…勇気を出して頼みました。

検察官:6月に8日間の旅行から帰った時の稀華ちゃんはどんな様子でしたか?

梯さん:最初は寝てると思ってて…。はっきり覚えてないんですが…、様子がおかしいなとは思いました。

検察官:Aさんに電話した記録がありますが、どんなことを話しましたか?

梯さん:…覚えてないです。

検察官:119番に『ここ2、3日子供が動かなくて…』と通報したのは覚えていますか?

梯さん:覚えてないです…。『心臓マッサージをしてください』って言われて、心臓マッサージをしたのは覚えています。

検察官:そのあとAさんや病院の人と何か話しましたか?

梯さん:覚えてないです。

検察側の被告人質問が終了した。
検察官は梯さんに「交際相手に会いたかったのでは?」という質問を繰り返していて、口調が強く感じられた。

その後証言で社会福祉士の証人が梯さんとの今後の関わり方について彼女(梯さん)が自分で友人に悩みや困ったことを相談して選択することができるように尽くしていくと語っていた。

臨床心理士の証人は、梯さんが幼い頃から虐待を受けていたことから、愛されたいという気持ちが無意識のうちに強くなり、依存してしまう性質があると語った。

証人への質問はメモが取り切れなかったため省略

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