不妊治療の話 #3
久しぶりの雨降りで1日中グレーの空
朝イチのヨガもなんとなくいつも通りにいかずくすぶった日中であった
車通りに隣接し、3階に位置する我が家
周囲に高い建物がないので、窓からはたくさんのものや人がよく見える
色づき始めた木々、水溜りを通る車、レインコートを着て自転車に乗る少年
鮮やかな色の傘を持った小学生たち
ふと先日のことを思い出す
晴れて日差しが暖かかった休日、出掛けるついでがあり
近くの公園で夫とサンドイッチを食べていた時のこと
我々の座っていた場所から少し離れたベンチに
若い夫婦と小さな赤ちゃんがいた
私はさっきコンビニで買ったビールで夫と乾杯をしてその家族を眺める
子連れを見ると、真っ先に羨ましいと思う
その事自体が悪いわけではないしそれが普通になりすぎて何も思わなかったが
その日はなぜかつい思い更けってしまった
不妊治療をする前、私はどんな世界にいただろう
その時の私が同じ景色を見たら、何を見るのだろうか
子連れの夫婦よりも先に隣のパートナーや太陽や緑を見ていたのではないか
いつかまた同じ景色を見た時に
不妊に纏わる色んな思いに苛まれず、見える景色が以前のようにまた、変わることがあるんだろうか
もちろんまだ私はその領域には達していない
そして達することがいいことなのかどうかも、まだわからない
わからないけど
いつか今の悲しみが、小さな、でも簡単に剥がれることはないようなかさぶたになって
子連れの家族も含めた景色を、心から綺麗で今日も穏やかだと見られるようになりたい
こんな考えをするのはまだ早いとはわかっていつつも
リビングに座れば窓の外には灰色が広がる
どうも今日の空は私を前向きな気持ちにはさせてくれないのだった
薬のせいではなく空のせいならいい、明日は晴れの予報だ