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蜂を殺そうとして、今までに感じたことのない罪悪感に囚われた

部屋に入ってくる虫

 私は以前は、ゴキブリが苦手で害虫の一つという認識だった。つまり、部屋に出たら、バルサンを焚くとか、叩いて殺すとか、ゴキブリホイホイとかを迷わず使って退治していた。
 しかし、ある時からゴキブリって不衛生って言われるけど、直接的な害はないよなと考えるようになった。刺したり、露骨に耳元で羽音を立てたりといった実害はほとんどない。夜にカサカサ動き回るが、蚊とかコバエのように四六時中耳元でうるさくして来るわけでもない。
 ゴキブリも一つの命なのに、有無を言わさず殺すのはかわいそうだ。
 そう思うようになってからは、部屋にゴキブリが出ても殺さず捕まえて外に逃がすようにしている。その他の虫もそうだ。蜘蛛が出ても、殺さず基本的には放置している。直接的な害はないからだ。まあ、大きな蜘蛛の巣を作られたら困るが、それほど大きな蜘蛛でなければそのままにしている。
 だから、基本的に部屋で害虫として駆除するのは蚊やコバエのみだ。
 流石に耳元でぷーんとされて、指されたら痒いし、コバエなんかは放置したらどんどん増殖するので、駆除はやむを得ない。まあ、駆除というか繁殖しないようにきれいにするとか予防を中心にしているのだが・・・。

思いもよらない来訪に思わず・・・。

 しかし、部屋での虫の不必要な殺生はしないとしているのだが、まず部屋に入ってこない虫に半ば反射的に殺してしまった。大きな蜂だ。黒くてずんぐりと大きな蜂はクマンバチで刺すこともあるという情報が少しあった。
 
 部屋にいたクマンバチは、窓際においてあった段ボールの間にいて、羽音をぶんぶんさせていた。部屋を飛び回っていたわけでもなかったので、窓を開けて逃がすこともできたのだ。
 しかし、思わず段ボールを窓に押し付けてそのまま潰してしまった。
 
 ところが、調べてみるとクマンバチはおとなしく穏やかな性質で人を刺すことはめったにないらしい。
 それを知ってすごい罪悪感が押し寄せた。もし、そうと知っていたら絶対に殺さずに逃がしていたのに・・・。しかも、段ボールで押しつぶした後、まだ少し息があった。虫に痛覚はない(そうであって欲しい!)とも言われているか、実際はどうか分からない。「あー苦しいだろう、本当にごめんな。」何度も心で謝った。
 攻撃性がないおとなしい生き物を殺そうとして、しかも殺せず中途半端に苦しい目に会わせてしまったことが、すごく心苦しい。クマンバチはミツバチの仲間らしく花の蜜を集めるらしい。そういえば、子供の頃公園で花によくクマンバチが寄ってきていたのを思い出す。あの頃は、大きな蜂だな~、刺されたら痛いんだろうな~くらいの認識だったが、実際はめったに刺さないのか・・・。(変に刺激したらまれに刺すことがあるとのこと。)

 クマンバチは藤の花をとくに好んで蜜を集めるらしいことを知り、近くの公園の藤棚に運んで、せめて死ぬときはそこで安らかに眠らせてやりたいと思い、藤棚のそばの花壇においてきた。
 人が、死んだり苦しんだりしても何とも思わないけど、虫とか人以外の生き物に関してはそのいのちに非常に敏感に感情が揺れ動くのはなぜだろう。

 まあ、これからは絶対にクマンバチは殺さないようにしようと思う。
 

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