『Newspicks』から学ぶ16のグロース施策
メルカリでPMをしているkonosuke nakajimaです。
このnoteは、サービスのグロースのポイントや、
もし自分がその企業のPMだったらどういう改善をするかをまとめている
『グロースをハックするノート』の第5弾です。
今回はユーザーベース社の子会社である
Newspicksについてまとめてみました!
はじめに : NewsPicksとは
2013年9月に公開されたNewsPicksとは「経済を、もっとおもしろく。」
を掲げるニュースアプリ。
国内外100メディアのニュースや、NewsPicks編集部のオリジナル記事・動画コンテンツを配信し、専門家や一般の方のコメントと併せて閲覧が可能。
またNewspicksのミッションはこちら
(ミッションを正しく理解しないとグロースの方向性を理解出来ない)
NewsPicksの価値
NewsPicksは、ビジネスパーソンの「発見と理解の欲求」を満たす場でありたいと考えています。
多様な価値観を持つ参加者が、それぞれの視点から必読の経済ニュースを選ぶ。さらに、知識や意見などを付加したコメントを共有することで、ともに視野を広げ、理解を深めながら、知的好奇心を満たしていく。
互いに貢献し合うコミュニティそのものが、NewsPicksの価値です。
さっそく、グロースのポイントについて深ぼっていきます。
"コメント"を活用しニュースにソーシャルを持ち込む
Newspicksの独自性で、まず人々の頭に思い浮かぶのが、記事に対する著名人の方々のコメントだと思います。
1. タイムライン内に記事とコメントをセットで載せるようにしたことで
アクティブユーザー率が上昇したとのこと。
2. また記事をタップしてからすぐに記事に遷移させず、一度コメントのタイムラインへ。有料会員では見れない記事があるが、コメントは全て見れる。著名人の方々のコメントをフックに、
記事への興味喚起を行い、有料会員へと転換させる。
こうなってくるともはやコメント = コンテンツであり、
ユーザーとコメントの最適なマッチングが重要。
★ユーザーの過去のPickやいいね、記事閲覧や登録情報をもとに
いいね順ではなく最適なコメントを見つけ出し、
マッチングの精度を上げていけると良いですね。
(自分はながーいコメントよりは簡潔に言い切っているコメントのほうが好きだったりします。)
3. 総Pick数の表示。これまでタイトルや写真でしか記事に惹かれなかったが
Pick数が多いなら見てみようかなと思う機会を増やす
そこから新しい発見や気付きがどんどん生まれてきた気がします。
(逆にPick数が少ないと見る気が減りますが..)
4. また、今でこそ、いろんな著名人の方々がコメントしていますが
初期は1人1人ホームページやTwitterからメールを送ったり、
直接会って想いを伝えて、サービスを使ってもらっていた。
5. また、著名人だけでなく一般の方のコメントにも発見や学びがある。
例えばUber Eatsの記事に対して実際の配達員の方のリアルな声が
コメントとして書かれていたりする。
著名人・一般の方含めてコメントという形で1つのニュース記事のクオリティを高めている。
(匿名ユーザーのコメントは非表示化しているとのこと。)
6. Twitterであまり投稿しない人もNewspicksでは多くコメントしてたりする。(例えば元ネスレ代表の高岡さん)
その人に興味関心があり、どんな記事をPickしてどんなコメントを書いているのか。人軸で記事を探せる。
7. また入社前や面接前に、その企業の社員の方々のPickやコメントも
チェックできる(自分も入社前にざっと確認していた記憶があります...)
★ソーシャル性が強いNewspicksを自分だったらもっと「Newspicksだけのオリジナルソーシャルグラフ」を創るところにフォーカスすると思います。
これだけ情報が取れているので、
・あなたと同じコメントを書いたABC株式会社のXXさんがいます。フォローしてみましょう
・あなたが読んだD,E,Fの記事と全く同じ記事を読んだYYさんがいます。つながってみませんか?
と、Newspicksだから出会えたビジネスパーソンをつなげていく。
人間の根源的欲求である人と繋がりたい、という点を、
ビジネスにおける記事や動画をフックにアプローチしていく。
つながりを広げるために、より記事を閲覧したり、コメントをしたりする。
Yenta的なポジションをうまく取りにいけるんじゃないかなーと思います
記事が楽しく読めるインフォグラフィックや動画解説
8. 単なる情報の羅列や質素なグラフで伝えるのではなく、情報を整理し、視覚的にリッチな表現をして、読み手が理解しやすい設計をしている
9. またテキストだけでは伝わりにくいニュースも「動画解説」をすることで読み手にわかりやすく伝えている(自動運転などのニュースでは有り難い)
すべてが動画だと忙しい人は見る時間がないし、すべてインフォグラフィックを創る工数もなかなか取れない。
記事の内容や、ビジネスパーソンの環境などを想定しつつ、
その記事を最適なコンテンツ・クリエイティブに仕上げて提供する
プロフェッショナルさに、ユーザーは「楽しい」「また見たい」と思える。
上記のクリエイティブ作成のために、忙しいビジネスパーソンを想定して、あえて電車の中でスマホをチェックしてみたり。眠い状態や食事をしながらチェックしてみて、ユーザーの気持ちを理解したとのこと。(参考)
他社にはないコンテンツ調達力
10. 動画やインフォグラフィックという提供方法を
どれだけ工夫してもやはり重要なのはコンテンツ。王者。
見たいと思えるコンテンツを提供し続ける調達力が高い。
(直近だと、Shopify日本法人代表やUbereatsの日本法人代表のインタビュー記事など、こんな人のインタビューできるんだ!?という驚きある)
★あとはマッキンゼーとかコンサルが出しているPDFのレポートとか、
起業家の投資家に対するPitch資料とかも検索できたら嬉しいですね...w
11. また当然ながら記事の最後には類似した他記事への導線や、同シリーズへの回遊動線を作り、ユーザーに行き止まりを作らないだけでなく、
記事に関連する記者やデザインの担当者なども合わせて記載。
こんな記事を書く人の他の記事も見てみたい、こんなデザインを創る人の他のインフォグラフィックも見てみたい、といった回遊も生み出す。
(個人的には回遊導線が正しく設計されていて、ユーザーが行き止まることなくアプリを見続けて、気づいたら何時間も経ってるようなサービスが最高だと思います..)
経済・ビジネス中心とした動画コンテンツ
12. また静的コンテンツだけでなく、動画へも注力。
電通と合弁で動画制作のStudioを作り、平均2~3日に1本ぐらいのペースで
コンテンツを投下している。
タブ内のカラーを明らかに変えて、動画タブであることを強調していたり
カルーセルのコンポーネントを多く使うページでは上タブをなくすなどの
配慮もユーザーとしては使いやすくて有り難い。
(カルーセルを動かしたいときにタブが動いちゃうのきついですよね...)
自動再生される動画のショートverも、デフォルトではミュートになっている
ミュートでも内容がわかるようなテロップをつくったり、
再生アイコンがあることも、動画であることが直感的に分かり便利。
デザイナーの方は本当にユーザー体験に基づいて設計されているんだなという印象があります....!
(下タブ移動時のエフェクトも好きです)
各記事へと流入させる他ソーシャルメディアの活用
これまでのインフォグラフィックや動画などを使って、
ソーシャルにショートverを投下することで、うまく集客につなげている印象もあります。
13. Twitterで常に記事のシェアをしつつ、(フォローワー14万..!)
14. Instagramでも1分読書という形でコンテンツを作成し、(フォローワー4.1万、いいねは500 ~ 2,000)
15. noteでも記事の内容をさらに分かりやすく紹介している。(フォローワー350人、いいね10 ~ 100)
16. YouTubeで動画を半分だけ見せて続きはNewspicksへと促す(チャンネル登録23万人、再生数2万 ~ 20万......多い!)
Newspicksのコンテンツをそれぞれのチャネルにあわせて最適化し
結果としてNewspicksの会員が増えるように設計されている。
直近の決算。急成長の規模感を見てみる
最後に直近の決算(2020 2Q)をみてみます。
MRR大幅に伸びていてすごいですね...
(コンテンツに飽きたら解約されそうですが、着実に有料会員増えている証拠ですね!)
アカデミア会員とか広告とか、学割もありますが、いったん単純計算すると有料会員は、
有料会員ユーザー数 = 2.3億円 ÷ 1,500円 = 約15.3万人
少し古いですが、2016/6のデータを使って、無料会員含めた会員ユーザー数とDAUを計算で割り戻してみます。(気になったのでw)
会員ユーザー数 = 149万人 × 15.3万人 ÷ 19,336 = 約1,100万
DAU = 44万 × 15.3万人 ÷ 19,336 = 約348万
でかなり巨大サービスになってきたなと...!
この規模で、MRRがこれだけ成長してるのもすごいですね...
ただ日経は有料会員293万人(内、電子版は69万)もいるので、
まだまだ伸びる余地はありそうですね。
最後にまとめ
・コメント, Pickという機能を通じてニュースにソーシャルをもたらした。著名人のコメントを軸に魅力を伝え、今ではUber配達員もコメントをして一緒にコンテンツのクオリティを上げている
・ユーザーがコメントというコンテンツを作り、記事をSNSシェアすることでさらにユーザーを呼んでくるグロースサイクルが創れている。
・興味のあるニュースを見る行動から、人軸でニュースを探し、参考にしたりコメントを書く行動を生み出した
・静的コンテンツだけでなく動画や音声なども展開し、各SNSで最適なコンテンツにして提供。有料会員数を複数チャネルから獲得していく
都内ではNewsPicksの認知は高く、見ている人も多い印象ですが、
地方や全国という意味ではまだまだ成長していく必要があると思います。
ここから、(書ききれなかった部分も含めると)
「テキスト×動画×リアル空間×本×イベント」など
メディアのすべてを掛け合わせて、ユーザーの発見と理解を広げていく。
引き続きNewsPicksのグロース施策が楽しみです...!
長くなりましたが、また次のnoteかきます。
(次はもっとニッチなサービスを調べようと思います..)