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100年以上続くアメリカの名門VCが「シリーズA時点のShopify」に投資した際の検討メモ


こんにちは、Konosuke Nakajimaです。

今回は、2004年の創業から10年で上場し、以後成長をし続けて、
2022/1現在では時価総額が16兆円以上あるShopify

2010/10時点のシリーズAラウンドでは、どのような評価をVCから受け、
そして実際に投資と至ったのか。
"Bessemer Venture Partners"が公開している投資検討メモを和訳しました。


Bessemer Venture Partnersは100年以上も続いている、アメリカの名門VCです。有名な投資先としては、Linkedinやyelp、TwitchやPinterestなど。

これまで投資先120社以上がIPO

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彼らが投資をした2010年当時の、Shopifyの企業価値は"19億円"。
いまの1,000分の1の規模で、当時はいろんなVCが、

カナダの会社?SMB向けのECカート?
Churn Rateは5%もあるのか、、リスクもあって投資できないな。

と言われていたそうです。


そんな彼らが、今から10年以上前に、Shopifyのどのような点を
投資対象として検討したのか、"当時の投資メモ"と、
BessemerのAlexが"10年経った後に振り返るとどうだったのか"が書かれた内容でした。


原文を見たい方はこちら↓

THE MEMOS Shopify 
A decade later, Alex Ferrara looks back on how Shopify has changed and shares the backstory on his Series A bet on this Canadian startup.
https://www.bvp.com/memos/shopify



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メモ : Shopify (2010/10/12)

10年が経った今、Shopifyがどのように変化したか、このカナダのスタートアップにシリーズAで賭けたストーリーについて振り返ってみます。


SMB向けのEコマースのソフトウェアを提供するShopifyの、シリーズA投資に、Bessemer Venture Partners(BVP)が最大700万ドルを投資したい。

Shopifyは、企業がオンラインストアを素早く立ち上げ、運営できるシンプルなSaaSソリューションを提供しています。顧客は、クレジットカードを使って登録し、長い契約の手続きもなく数時間後にはオンラインストアを立ち上げられます。Shopifyは、月額平均45ドルを支払う中小企業や個人事業主(eBayやEtsyの出品者等)をターゲットにしており、これらの顧客がより高度なニーズを持つ大企業に成長したときにもサービスを提供したいと考えています。Pixar、Amnesty International、Tesla Motors(車ではなくTeslaのアクセサリーを販売)など、多くの大企業とも高単価で契約を結べています。

Shopifyは、私がパートナーとして初めての先行投資だったので、とても緊張しました。オタワまで3往復して、ようやくTobiにタームシートを提出する決心をしました。なぜか?SMBを対象としたソフトウェアビジネスが、ベンチャーのリターンどころか、良い投資先だと考えているベンチャーキャピタルはほとんどいなかったからです。


Shopifyは驚異的なスピードで成長しています。ほとんどマーケをせず、顧客は1年前の5,500社から現在では10,000社近くまで成長(前年比81%)。
月次売上は16万4千ドルから43万8千ドル(前年比151%増)に成長。Shopifyの全店舗で取引されるGMVは、年間約1億3,200万ドルです。この事業は収益性が高く、これまでの調達金額はたったの10万ドル。130万ドルの現金を保有しています。

ShopifyのターゲットであるSMBへのフォーカスと、オンライン小売の潜在的な市場規模はリスクがあると思われていたが、彼らのオーガニック成長と収益性の高いビジネスは無視できないものでした。2010年のGMVが1億3,200万ドル、これはShopifyがオンライン小売業者の上位50社に入ることを意味します。当時は、オンライン小売市場がまだ小さかったので!


Shopifyは、2007年にRuby on Railsのコア開発者2名によって設立されました。共同創業者の一人は、起業後すぐに退職しています。もう一人のTobi Lütkeが残り、CEOを務めています。私たちはTobiに感心させられています。まだ若く、CEOとしては初めてですが、思慮深く、プロダクトとマネジメントの能力が大変高いです。Shopifyの従業員は24名で、カナダのオタワにあります。地元スタートアップのサクセスストーリーとしての評判や、開発者コミュニティでの評判で、シリコンバレーやニューヨークの同様の最高のエンジニア・デザイン人材を60%~70%のコストで採用することができました。

Tobiがシリコンバレーに来た時、多くのVCがベイエリアに引っ越すか、ベイエリアでの投資先と合併しないと投資しない、と言ったそうです。確かにオタワの寒い冬は苦手でしたが、Shopifyのオフィスはダウンタウンの活気あるエリアにあり、地域や近隣の学校から優秀な人材を採用することに問題はなさそうでした。私は、カナダの首都で、明らかに最高のCloudスタートアップを支援できるのが嬉しかったです。


私たちは、顧客のニーズを解決する素晴らしいプロダクトだと知り、とても面白いなと思っています。このプロダクトはシンプルなので、誰でも数時間で完璧なオンラインストアを立ち上げることができます。

Shopifyのシンプルさと、中小規模のお店が簡単にオンライン販売を行えるようにすることには、多くの魅力があります。ある同僚は、Shopifyを「学ぶには数分、マスターするには一生」と言いました。これは、セットアップが非常にシンプルでありながら、ShopifyのアプリストアがEコマースを強力かつ堅牢にするからです。


しかし、全体のUXを複雑にすることなく、高度な機能も使えます。Shopifyは、「App Store」を利用できるようにすることで、これを実現しています。お客様は、Shopifyが提供する以上の機能を拡張する「アプリ」を選択し、インストールすることができます。App Storeを実現するために、ShopifyはオープンAPIを公開し、サードパーティのソフトウェア開発者がそのプラットフォームに統合することを可能にしています。このアプローチはShopifyにとって大きな競争優位性となっています。API の幅の広さと使いやすさは、開発コミュニティーから喜ばれており、大企業の顧客をサポートするために必要な機能を自社で構築するための投資をすることなく提供できています。Shopifyの顧客のおよそ3分の2は、同社の「App Store」から少なくとも1つのアプリを利用しています。

このラウンドの価格は、プレ評価額が2,000万ドル(企業価値は1,870万ドル)です。我々は500万ドルを投資して20%を保有する予定です。Shopifyは、 ~ 550万ドルまでは年成長が凄まじく、さらに、i) マーケティング、ii) 海外展開とプロダクトのローカライズ、iii) Shopify App Store で利用できるアプリケーションを拡大するための事業開発、に投資することで成長を加速させられると考えています。特に、マーケティングについては、これまでの成長がオーガニックなものであり、広告もほとんど打っていなかったことから、大きなチャンスと捉えています。まだSEOマーケ担当者が一人いるのみで、マーケティング担当VPがいません。


市場機会

Shopifyは2つのテーマに取り組んでいます。

エンタープライズへの導入。SMB向けのソフトウェアを安価に提供できるようになったことで、従来のソフトウェアでは複雑で高価だと感じていた顧客に、新たに展開できます。これは、請求書作成(Freshbooks)、リモートサポート(TeamViewer)、ヘルプデスク(Zendesk)、ウェブサイト作成(Wix)など、多くのカテゴリーのB向けソフトウェアにおいて、弊社がこれまでの18ヶ月間で創ってきたロードマップです。

Bessemerでは、Adam Fisherが2007年にテルアビブにあるWixに投資し、Web2.0時代の画期的なアイデアであるクリエイティブで自己表現ができるプラットフォームとコミュニティを創りました。Bob Goodmanと私は、2009年にリモートアクセスソフトウェアとデスクトップサポートソフトウェアを提供するドイツのTeamViewerに投資しました。


Eコマース市場の継続的な成長と中小企業へのフォーカス。
YelpやYodleのように、SMBがインターネットをマーケティングの手段として活用するようになったように、インターネットを自社製品の販売チャネルとして利用するようになっています。メーカーや卸売業者から直接ドロップシッピングできる製品が広く出回っているため、SMBにとってオンライン販売はどんどん簡単になってきています。

顧客とプライシング

Shopifyは、素晴らしいスピードで顧客を増やしてきました。

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一般顧客は、オンラインのみまたは実店舗での販売や、サイドビジネスで家計を補う程度の販売が多いです。Shopifyの顧客は平均すると、年間1万3千ドルの商品を販売しています。これは1日に数点しか販売しない顧客によってブレています。Shopifyの最大の顧客は、年間1,000万ドル売り上げています。

2019年、ShopifyでGMV100万ドル以上を達成したマーチャントの数は44%増加しました。Shopifyは週に1万人の有料顧客を増やし続け、総顧客数は100万を超え、さらに増え続けています。

料金プランはいくつかあり、月額24ドルから最高で月額700ドル、取引手数料は売上の0.5~2%。顧客分布は中小企業に偏っています。顧客は平均月額45ドルを支払っています。徐々に顧客一人当たりの平均売上高は増加しています。

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ARPUの増加は、マーチャントの成長に伴い、取引手数料収入が増加。
およびそれに伴う高価格帯のプランを選択するマーチャントの増加によるものです。

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プロダクト

Shopifyは、オンラインストアを立ち上げ、運営するためのSaaSアプリケーションです。その強みは、中小規模のビジネスに最適なシンプルさにあります。エンジニアでなくても、登録後の数時間で、しっかりとしたオンラインストアを創り、注文を受けることができます。

ストアの見た目&項目をカスタマイズ。500人のデザイナーが作る「テーマストア」から、好みのテンプレートを選択可能。より柔軟性を求める方は、HTMLやCSSを直接編集することも可能。テンプレートを入れ替えれば、サイトが劇的に更新可能
商品の整理や管理が可能。洗練されたインターフェイスで、商品の追加、リストアップ、編集、整理ができる。ドラッグ&ドロップで、商品の画像や説明文を入れることも可能
基本的な在庫管理も可能
決済ゲートウェイを利用したクレジットカード決済も可能
注文の追跡やそれに対する対応、詳細なレポートによる注文の支払いおよび配送状況の確認ができます。Shopifyから顧客にメールを送信します

Shopifyの哲学は、顧客が最も必要とする機能のみを創ることです。

Shopify自身が機能を作らなくても、顧客があらゆる機能を利用するために、サードパーティ企業にアプリを作ってもらう。Shopifyはそのエコシステムの構築に成功しました。ただ、最初は顧客も少なかったため、サードパーティの開発者を集めるのは大変でした。そこで、サードパーティアプリのエコシステム構築に成功した、当社のポートフォリオ企業Twilioを参考に、サードパーティアプリのベストコンテストを実施することにしたようです。


大量に販売するマーチャントに必要な機能は、サードパーティがプラットフォームに統合できるようにオープンAPIを公開しています。Shopifyは自社製品をシンプルに保ちながら、ニッチな機能や高度な機能を自社で構築することなく、プラットフォームに追加することができます。顧客から見れば、Shopifyの「App Store」にアクセスすることで機能を追加できます。顧客からの評判は良く、顧客の約3分の2(66%)が1つ以上のサードパーティ製アプリを使用しています。

App Storeは1年前に開設され、現在では54以上のアプリケーションが登録されています。

Shopify専用に開発されたものから、PowerReviewsのように他のプラットフォームに統合されているものまで、さまざまなアプリがあります。ほとんどの成長はオーガニック。ほんの2ヶ月前まで、Shopifyはアプリ提供企業と会話したことがありませんでした。いくつかの例をあげます。

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Volusion、BigCommerce、Magentoなど競合企業も、サードパーティーのソフトウェアを自社のプラットフォームに統合するためのAPIを公開していますが、その利用は限定的です。顧客調査では、競合が提供するAPIは、開発がとても難しいと言われています。


顧客の獲得とリテンション

約65~70%の顧客がクチコミ経由で登録しています。ウェブデザイン会社からの紹介で契約する顧客はおよそ20%。Shopifyはデータを分析するまで、Webデザイン会社のチャネルがグロースにどれほど重要か分かっていませんでした(WixやHubSpotもそうでした)。そしてつい最近、このチャネルを開拓するために専任の担当者を雇いました。最後に、顧客のおよそ10-15%は、主に検索キーワードマーケティングと、たまにあるコンテストプログラムなどの経路で登録。毎月2万5千ドルから7万ドルを使っていますが、チームのマーケティングの洗練度はかなり低いです。にもかかわらず、彼らは175-225ドルで顧客を獲得することができ、7-9ヶ月でその支出を回収できます。我々は、Shopifyがマーケティングに大きな投資をしてこなかったと考え、マーケティング担当のVPと経験豊富な人材を数人配置することで、成長をさらに加速できると思っています。

中小企業向けビジネスの多くがそうであるように、登録後の最初の数ヶ月は急激に下がります。Shopifyの場合も同じです。3ヶ月目までにShopifyは顧客の約75%が残り、12ヶ月目には、50-60%の顧客が残っています。安定すると、毎月の解約率は3-5%になります。大枠、ShopifyのリテンションカーブはWixと非常によく似ています。

毎月5%のChurn Rateは、他の投資家は高くリスクだと思っていました。私たちは、1) 顧客を獲得するために多額の費用を払う必要がなく、2) 顧客が定着して、解約した顧客を補えるのなら、Churn Rateが高くても投資することに抵抗はないと思っています。後者については、コホート・リテンション(顧客維持率)に着目しています。Shopifyは、この2つの点で優れていました。

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市場機会

Shopifyのターゲットは、実店舗を持つ中小規模の事業者と、オンラインショップを始めようとする方々です。この市場規模を推定することは難しい。ただ、米国/カナダ限定のビジネスの規模は、代わりのもので推定します。ホームステッド(~8万5000社の顧客)、ヤフーストア(~5万5000社)、イーベイプロストア(~3万社)などです。Shopifyは、約8万人のアクティブな販売者を抱え、年間GMVが300百万ドルに上るEtsyと同じ顧客層です。

また、オンライン小売の枠を超え、オンラインとの統合を望む実店舗にも積極的に展開できる可能性があり、期待しています。この分野にこそ、Shopifyは多くのリソースを投入しています。既存顧客からの多くの要望から、Shopifyのオンラインストアフロントのプラットフォームと連携した、iPad/iPhone/スマートフォン用の手軽な小売POS、および在庫管理システムを開発中です。Shopifyは、実店舗の顧客に対してApple StoreのようなPOSシステムを、従来のPOSシステムの数分の一のコストで提供できるようにします。

同社のプロダクトロードマップにあるもう一つの機能は、サブスク販売への対応です。Shopifyは現在、物理的な商品をオンラインで販売しようとする顧客のニーズを満たすように作られています。しかし、市場ではデジタル製品やソフトウェアのサブスク販売を可能にするショッピングカートの需要が高まっています。Shopifyは来年にはサブスク課金機能を提供する予定であり、この投資は大きな成長をもたらす可能性があると考えています。

競合

これまでのEコマースソフトウェア市場はレッドオーシャンですが、モバイルでのコマース、ウェブベースでの在庫管理、POSシステム周りのイノベーションなど、中小企業のニーズは急速に高まっています。Shopifyのテクノロジーやソリューションは、オンライン化を進める「メインストリート」の小売業者に対して、これらのソリューションを提供する上で、競合他社よりも優位な立場にあると確信しています。

中小企業向けEコマースプラットフォームとショッピングカートソフトウェア(eBay ProStores、WebStore by Amazon、BigCommerce、Volusion)-Volusionはおそらく最も手ごわい競合企業です。2009年の売上は2300万ドル。価格はShopifyと同程度で、機能セットも似ていますが、ドラッグ&ドロップ式ではありません(カスタマイズには多少のプログラミングが必要)
ドメインレジストラ(GoDaddy、Yahoo)-大企業のレジストラは、登録時か、後日にアップセルを行うことができる数百万人の顧客を持つマーケティングマシンです。ほとんどは、基本的なショッピングカート機能しか提供していませんが、よりフル機能の提供や拡張ができることは確かです。
中規模向けのECプロダクト(Magento Commerce):Magentoは主要なオープンソースECプロダクトで、永久ライセンスで販売されています。このプロダクトは強力ですが、実装と拡張が複雑で、実装や運用の最適化にエンジニアリングチームを必要という評判があります。Magentoは順調に成長しており、SaaS版のプロダクトを提供することでShopifyに対抗する計画です。


大企業向けフル機能のEコマースパッケージ(Escalate、IBM、ATG、Demandware)はShopifyの機能以上のフルセットを提供していますが、我々は彼らを競合と見ていません。B向けソフトウェアの他プレーヤーと同様に、これらの企業が中小企業向けに競争するのは難しいと考えています。

私たちが投資した数ヵ月後、オラクルはATGを5億ドルで買収しました。私はTobiと、いつかこの結果を超えられたら、どんなに素晴らしいだろうとメールしたことを覚えています。それは控えめに言っても志高く、大きなことであると思えたので。当時は大規模な買収は皆無で、株式市場の投資家もSMBに特化したビジネスに関心を持つ人はほとんどいませんでした。ShopifyのようなSMBに特化した企業が上場することを想像できた人はほとんどいなかったでしょう。しかし、最終的には、Eコマースの長期的な成長トレンドが、SMBへの販売に関するすべての懸念を払拭しました。


チーム

Shopifyは、2007年にRuby on Railsのコア開発者である2人の若手によって設立されました。共同設立者の一人はすでに退任済み。もう一人のTobi LütkeがCEOです。Tobi氏は、Ruby on Railsのコア開発チームに所属していた若いプログラマーです。Tobiは、自分でビジネスを立ち上げ、それなりの成果を上げてきました。彼は、会社を創る明確なビジョンを持っており、自分自身の欠点も認識しています。CEOとしてすぐに交代させる必要はないと思いますが、彼の周りにもっと経験のある人材を用意する必要があるでしょう。この会社には、マーケティング担当VPと、他にもマーケティング人材の採用が必要です。オタワ以外でもマーケティングの人材を探すことになりそうです。オタワにいる他のシニアチームのメンバーにも会いましたが、明らかに彼らの強みは、プロダクトデザインとUXでした。

この初めての創業者は、優秀な人材を採用し、会社とともに成長するチームを創れるでしょうか。事業を運営しながら、自分のビジョンを実現することができるのか。Tobiは、CEOとしてこれまで素晴らしい仕事をしただけでなく、今も活躍している優秀なチームを採用し、作り上げました。デューデリジェンスの過程では、ハーレー・フィンクルスタインが私たちの要望をすべて聞き入れてくれて、迅速に対応してくれました。彼は、今でも最高執行責任者です。彼は現在ShopifyのCPOですが、長年にわたってVPMの役割を担っていました。


財務サマリー

Shopifyの収益の大部分は、顧客からの月額使用料と、顧客の商品販売にかかる0.5~2%の取引手数料から構成されています。

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残念ながら、Shoipfyは2011年の見通しを立てていません。これまでの成長を見れば、キャッシュがあり、まだ少人数の企業であるため、予測をする必要はあまりありませんでしたが...。来年、Shopifyが収益を倍増させるのは不可能ではないと思います。決算時には、630万ドル(既存の資金が30万ドル、追加の資金が500万ドル)の現金を保有する予定です。

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ディール

これは、BVPがプレ2500万ドルの評価で500万ドルを投資する案件で、プレの評価には13.5%のオプションプールが組み込まれており、そのうち4%は既存従業員に再付与されます。このシリーズAは、1倍の優先株式です。BVPは5つの取締役席のうち2つを得て、6年後に売却する権利を有します。

さらに、数年前に同社を去った共同創業者から、200万ドル相当の普通株式を25%割引で購入する計画もあります。この200万ドルの追加により、当社のエクスポージャーは700万ドルに増加しますが、オーナーシップも魅力的な価格で31%に増加します。200万ドルの投資の一部は、フェリシスと共有することになります。


結果分析

2010年にはカナダで大きなインターネット企業のExitはなく、Shopifyの既存株主やアドバイザーの中には、同社にとって最大の可能性は5,000万ドル程度だと考えている人もいました。私は当初、タームシートの交渉でTobiが5,000万ドルで売却することを決めた場合、私たちが儲かるように設計をしようと思っていました(これはパートナーとして初めての単独取引だったので緊張していました..)。名誉のために言っておきますが、Tobiはその設計に抵抗し、代わりに「クリーン」な取引設計を求めてきました。私たちは、クリーンな取引をすることに同意しましたが、署名する前に、5,000万ドルや7,500万ドルのオファーがあってもShopifyを売らないという約束と握手での合意を求めました。幸運なことに、私たちの結果分析は完全に間違っていました。アップサイドは、2桁以上も違っていたのです。

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結論

Shopifyが、ユーザーフレンドリーなプロダクトで既存のソリューションをディスラプトし、顧客の共感を呼び、力強いオーガニックの成長を実現する可能性を強く信じています。さらに、サードパーティの開発者と顧客の両方によるApp Storeの利用は、他社との差別化や、競合から抜け出す道筋となります。我々はこの投資をするべきだと考えています。


Appendix

B向けソフトウェアの導入ロードマップ

請求書作成、会計、CRM、IT管理など、B向けソフトウェアのほぼ全てでSMB版が登場しています。また、インターネットは、顧客と接し、取引するための媒体として、コラボレーションからオンライン広告まで、まったく新しいソフトウェアのカテゴリーを生み出しています。これまでのインストール型のソフトウェアは、SMBにとってセットアップや利用が複雑すぎました。そして、多くの場合、SMBはそのようなソフトウェアを購入する余裕がありませんでした。そのため、事業者はあらゆる販売で利益を上げることに苦労してきました。しかし、Web 2.0とSaaSのモデル、そしてオンラインでのマーケティングを活用し、SMBを収益性の高い形で獲得し、先を見通せるようになったことで、このようなことが可能になりました。

B向けプロダクトを提供するエンタープライズ企業は、基本的にSMBへの販売やサービス提供を目的としていないため、競争に勝てないことが証明されています。SMBを取りたいが、そうすれば、自社のビジネス・モデルが崩壊し、キャッシュ・カウを共食いさせることになります。基本的に、エンプラ企業はダイレクト販売やチャネル別販売の方法は知っているが、オンライン販売の方法は知りません。同様に、既存企業は消費者向けソフトウェアの構築や優れたウェブ体験の創造に長けているわけではありません。

参入障壁が低く、顧客離れが激しいため、新興企業は以下のような特徴を持つと考えられます。

よく知られ、明確に定義されたペインポイントを持ち、自然な利用頻度が高くなる要素を持つプロダクトカテゴリー
限られたマーケティング費用で力強いオーガニック成長を遂げている企業
顧客獲得効率が高い企業(初期でも良い)
ブランドの構築と競合他社に対する規模拡大が始まっている企業
強いプロダクトデザインのセンスと消費者向けインターネットのDNAを持つチーム

Shopifyはこのような特徴を備えていると考えています。そして、時間をかけて、他のカテゴリーリーダーと同様に、ShopifyとそのApp Store戦略は、最終的に「後発企業の参入」によって大企業をディスラプトし、「下から突き上げる形で」市場を拡大させていくと考えています。


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個人的な感想

2010年当時は、ほとんど投資するVCがいなかったShopifyとのことですが、
MRRや顧客数など数値の伸びや、ほとんどがオーガニック成長であることを加味すると、かなり投資対象として魅力的だと、今となっては思えるのかもしれません。
(Shopifyが最大成長しても50億ぐらいだと思われていたのは意外でしたw)


また、BVPが繰り返し、Shopifyの「App Store」戦略こそが、差別化になり競合優位性になるのだと主張している点は印象的でした。


EC領域で、SMB向けのサービスという観点においては、1社1社にヘビーにタッチできるわけでもなく、手数料率を下げ続けることもできなくなるので、
最終的な競合優位性は、あらゆる機能が使えるプロダクトとしての価値こそが優位性となる。ただそれを全部自社で創ると膨大になりコストも時間もかかってしまうのでサードパーティに向けたオープンAPIを開放していく動きこそが、足りない機能を実現できるという戦略だったのかなと思います。(このオープンAPIを他社よりも使いやすく公開し続けた点が技術力での優位性だったのかもしれません)


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