yes,mama ok?
先月、何年かぶりにCDを買った
どうしても聞きたいバンドの曲があった
その名は「yes, mama ok?」
音楽のサブスクリプションが普及し
(一定期間の利用権として料金を支払う形式)
スマホから好きな音楽をダウンロードして
好きなだけ聞ける時代になった現代
CDを買ってプレイヤーに入れて聞く
などという事がなくなった
思えばレコード、カセット、CD、MDと
音楽ソフトの移ろいは色々あったが
今はソフトが無い時代だ
だのに
私の愛するイエスママオーケーは
サブスクで聞けないどころか
そもそも曲を配信してないのである
どうしても聞きたくなって
デビュー20周年のベストアルバムを買った
CDが届いたところで
うちにはCDを聞くハードはもはや
ブルーレイレコーダーとプレステしかない
気づいたらコンポも持たない時代となっていた
さらにこのCDをiPhoneに入れて
歩きながら聞きたい!となると
CDをパソコンに取り込まなくてはならず
これまた今時のノートパソコンには
CDドライブ内臓なんて有り得ない訳で
仕方ないのでアマゾンで外付けドライブを購入し
パソコンに取り込み
iPhoneを同期させるのに
アップデート3時間かけて取り込んだ
ここまでくるともはや執念である
「聴きたい!」気持ちが行動させる
こんな面倒くさい作業をこなすまで
私を突き動かした金剛地武志(こんごうちたけし)
率いるイエスママオーケーさすがである
イエスママオーケーとの出会いは忘れられない
25年ほど前
私が花の高校2年生の時だった
友達も多いタイプではなく
学校帰りにひとりで
CDやレコードショップを巡るのが趣味だった
ある日渋谷のHMVに立ち寄ると
試聴機コーナーにひときわお洒落なジャケット
のCDが入っているのが目に留まった
それが「イエスママオーケー?」だったのである
最初はバンド名なのかアルバム名なのかよくわからない名前に
CDを手に取り裏返したりしてみたが
情報の少ないそのジャケットからでは
特に何も得られなかったので
早速大きなヘッドフォンをつけ聴いた
その時の衝撃は今でも忘れられない
ど頭から好みだった
サウンドも歌詞も声も何もかもだ
私はそのCDを買うだけではなく
イエスママオーケー?が今までリリースしていたCDも全部購入した
といっても3枚ぐらいだったが
それからは毎日ヘビーローテーションで
来る日も来る日も聴いていた
学校の誰もが知らないアーティストを
見つけたんだ!という
10代特有の謎の高揚感もあった
もっと言えば
世の中の誰も知らない素晴らしい音楽を
この私だけは気づいているという
気持ち悪い勘違いをも持ち合わせていた
よく考えたらイエママに失礼すぎる愛の形
ああ、10代の素晴らしさよ
ちなみに心奪われたジャケットがこれだ
大学生になると偶然にも
私もバンドマンの道へと進んでいた
本格的に活動し始めると
だんだんとあの尊敬してやまないイエママとの距離が近づいていくのがわかった
例えば、音楽関係で出会っていく友達の友達がイエママだ!とかである
これはいよいよ、いけるのではないか?
と思ったのは
あのHMVでCDを聴いた17歳の夏から10年後の
(夏かどうかはわからないので脚色です)
27歳の時
当時の自分が作詞作曲していたバンドのライブで
さらに私の主催するイベントに
ダメ元であのイエスママオーケー?に
出演のオファーをしたのである
返事はまさかのイエスママオーケー!だった!
私は10年来のただの1ファンから
同じステージで一緒にライブをやる土俵まで
来たのだ
しかも自分のバンドの自分のイベントでだ
思えば音楽やってて良かったなと思う
一番の出来事だった
辛いことの方が多すぎてあの感動を忘れていた
音楽家時代なんて全部黒歴史だ!
ぐらい思っていたけど
ひとつひとつ丁寧に思い返せば
奇跡もたくさんあったな
その日のライブで金剛地さんに
17歳の時の出会いのエピソードから
ずっとファンであった事も告白できた
イエスママオーケー?の皆さんも
朝まで打ち上げに参加してくれて
本当に楽しい夜だった
あれからさらに15年が過ぎても
全く色褪せず
時にどうしようもなく
聴きたくなる音楽なのである
長くなったが最後に大好きな曲を
【最終定理】作詞作曲 金剛地武志
よく晴れた冬の穏やかな午後
放って置いたクロスワードは埋まる
字数は合うでも言葉にはなってない
この陽気に溶け出した雪で
足を取られぬ様よけた
水たまりに放りあげた
あの日のコインの答えはあった筈
やけに今日は冷えるなと今さら気づき襟を立てる
post modern living
やがてすべて静かに凍ってゆく
the game is snowed out,
its still snowing
snowing on my head
it keeps snowing
取りこぼしたカード
押し当てる受話器
証明され得ぬ定理どこまでも
澄んだ空に答える声はない
死産だった言葉が哀れっぽく映る
横目に通り過ぎたあの角の
水たまりに放り上げた
あの日のコインの答えはあった筈
もし痛みを伴うなら僕にもわかっただろう
きっと
後になって笑えるなら君にも話そう
よく晴れた冬の穏やかな午後の
吸い殻の滲んだあの角の
水たまりに放り上げた
あの日のコインの答えはあった筈
そして言い倦んだ答え深く肺に巣食うだろう
ずっと
後になって笑えるなら君にも話そう
The game is snowed out,it's still snowing
snowing on my head,it keeps snowing
やがて冬は終わりを告げよう
雪がすべてとけだす頃
水たまりが消え去る頃
僕にもわかるんだろうきっと
言いあぐんだ答えは深く
肺に巣くってうずくだろう
後になって笑えるなら君にも話そう
決して証明され得ぬ定理
字数だけかせぐクロスワード
問いに答える声はない
澄んだ空に叫んでも
すべて静かに凍ってゆく
耳に残る受話器の温度
やけに今日は冷えるなといまさら気付く
The game is snowed out