
妊娠あれこれ
なんと、この私が妊娠した。
「どの私?」とこれを読んだ方は思われるだろう。でも実際にそういう気持ちだった。陽性の検査薬を見たとき。「え?妊娠?私が?」と、容易には信じられなかった。
もちろん妊娠を目論んでそういう行為をしていたので本来びっくりすることではないのだけれど、でもびっくりしている。
寝耳に水みたいな気持ちだ。
心のどこかでそんなこと起こるわけないと思っていたのかもしれない。
(これあれに似てますねなんか「何で私が東大に?」とかって書いてある予備校だか塾だかの広告。見かけるたびに「受験したからだろ」とイラッとしていたのですが今の私も同じ状態。「何で私が妊婦に?」)
それはともかく、人生初めての妊娠をしたので私はどこかに記録を残したくなった。
残さないと忘れてしまう。自分の人生で初めての経験をしたのに、忘れてしまっては勿体無い。だからとりあえず思いついたことを何となく筆の進むままに書いてみよう。
※これは妊娠8週目くらいの個人の状態を書いたものです。時期によっても人によっても体調は変わるのでご承知おきください。
食欲のこと
「妊婦はよく食べる」
そんな知識が私にはあった。ドラマなのか漫画なのか小説なのか、何処から来たのかわからないけれど。
「妊婦はお腹の赤ちゃんの分も食べなきゃいけないから食欲が自動的にモリモリになっていっぱいご飯を食べるのだ」と思っていた。
でも実際に妊娠してみると違う感じ。
今現在つわり真っ最中の私はいわゆる「たべづわり」で、お腹が空くと気持ち悪くなる。
もっと正確にいうと「腹六から四分目」くらいをキープしないと気持ちが悪くなる。
ちょっと食べて休んで、うっかりしていると急にぐわっと気持ち悪くなるので、おぇーと思いながら口に物を詰め込んでいる。
それは妊娠前に持っていた「食欲が自動的にモリモリになっていっぱいご飯を食べる」のイメージとかけ離れていた。
イメージ上の妊婦には「食べる喜び」や「食欲が満たされる喜び」があったけれど、今の私には想像したほどのそれは無い。あるのは気持ち悪さからの回復。そしてそれほど空いていない胃袋に食べ物を詰める圧迫感。
つわりになりたての頃は空腹で気持ち悪くなると知らなかったのであまり物を食べず、その結果吐き気を悪化させてしまった。産婦人科で「たべづわり」のことを聞いた後は「こんなに気持ち悪いのにご飯を食べるだけで本当に回復するのか?吐いてしまうのでは?」と不安になりながら食べた。「食べる喜び」「食欲が満たされる喜び」など、感じる余裕は無かった。
それでも私は今のところつわりは軽い方なのだと思う。まだ吐いてないし、食べられないものもそんなに多く無い。
食べ物の好みの変化(一番好きだった飲み物との別れ)
妊娠してから私の食べ物の好みはハッキリと変わった。一番大きな変化はカフェオレを飲まなくなったこと。
私はカフェオレが大好きで、妊娠前は一日3回朝昼晩と薬みたいに飲んでいた。多い時は一回に600ml以上(300ml入るマグに2杯3杯…)飲んでいた。
たぶんカフェインに惹かれていたんだと思う。ノンカフェインのコーヒーや紅茶を購入しても全然美味しいと思わなかったから。
これは妊娠したらカフェイン断ちが大変だぞ…と思っていたけれど、予想に反して私はあっさりカフェオレと手を切った。なぜか美味しく感じなくなったのだ。
ただ苦くて渋いだけ。コーヒー抜きでホットミルクを飲む方が美味しいと思った(これも不思議。妊娠前はあまりホットミルクは飲まなかった。物足りない味に感じていた)。なぜだろう。
食べ物の好みの変化(酸っぱさよ俺を救ってくれ)
それから、「妊娠すると酸っぱい物を欲するようになる」。
なんとなくもっていたイメージだけれどこれはガチだった。
気持ち悪くて水を飲むのもしんどい私は、水にポッカレモンを入れてレモン水にして飲んだ(このために夫が夜コンビニまで走ってくれた)。
友人から「凍らせたミニトマトが良い」と聞いて食べてみたら、種のまわりのあのドロドロしたところが酸っぱくてめちゃめちゃ食べやすかった。ここだけを集めて凍らせて棒をつけてアイスにしたい。それを永遠にちゅぱちゅぱ吸っていたい。そんな欲求を抱いたのは初めてのことだった。いつもならむしろ果肉というのか、ドロドロを包んでいる壁部分や皮付近の青臭さを愛しているというのに。
それからポン酢。妊娠前からポン酢は嫌いでは無かったけれど、今では「嫌いでは無い」なんてレベルじゃない。大っっっ好き。何にでもかけて食べたいしかけるものがなくてもちびちび舐めたい。気持ち悪いときにもこの匂いを嗅ぐと食べられそうな気がしてくる。
とにかく気持ち悪いときに酸っぱいものは喉を通りやすい。酸っぱさは吐き気に苦しむ妊婦の救世主なんじゃないか。酸っぱさよ俺を救ってくれ、と思いながらトマトやポン酢に縋っている。
食べ物の好みの変化(私は子供に戻ったのか?)
子供の頃は肉が嫌いだった。魚もダメ。
でもハンバーグ等のひき肉料理は食べられた。あとウィンナーとハムはOK。ベーコンは脂身がダメ。揚げ物にすると肉も魚も食べられるものがある。でも他はほとんどダメ。焼き魚もチキンライスも生姜焼きも牛丼もダメ。
カレーに入っている豚肉を一口だけでも食べろと言われて吐きそうになりながら頑張った思い出もある。
そんな状態から、大人になるにつれ少しずつ食べられるようになってきた肉や魚。それらが妊娠したら嫌になった。まるで子供に戻ったみたい。
こないだ金曜ロードショーで『ハウルの動く城』をやっていたので、作中に出てくるベーコンエッグが私も食べたい!と(体調の良い時を見計らって)喜び勇んで調理したのに食べられず、その時に変化に気づいた。ベーコンの脂身が気持ち悪い!!!!…というか調理中の匂いがもうなんか嫌!!
ハウルではあんなに美味しそうだったベーコンは夫の口に入った。私に残されたのは「妊婦は半熟卵ダメだから」と念入りに火を通したカチカチの目玉焼きのみ。悲しかった。
匂いのこと
あと、妊娠して嗅覚が敏感になった。
これはもうビンビンに実感している。
例えば妊娠前は何も感じずに顔につけていた化粧水がめっっっちゃアルコール臭く感じるとか(普通にパッティングするだけでは感じないけれど、コインマスクに染み込ませて顔につけるとそのアルコール臭に一瞬ウッとなる)。
ステンレスの水筒に入れた水が水筒臭く感じるとか(洗ってないからとかじゃないよ!)。
あと、冷やご飯の入った炊飯器を開けたときにご飯のにおいがムッと立ちのぼってびっくりした。冷やご飯がこんなに香るとは知らなかった。
今は何かの匂いで吐いたりはしていないけれど、もし今後つわりがもっとひどくなったら吐くこともあるんだろうかと恐怖している。
体調のこと(だるくて眠い)
今までの項目では食べ物のことやつわりのことを書いてきたけれど、他にも悩みがある。それは、身体がとにかくだるくて眠いということ。
一番だるさが酷かったときを今までに経験のある体調で例えるなら「インフルエンザやコロナなどで高熱が出たあとの、熱は下がったけれど身体がしんどくて起きているのがつらいなーみたいなとき」に近い。身体が重くて座っていてもつらいのだ。
眠気も強くて、毎日22時から7時まで寝ても寝足りなくて昼寝をするくらい。
一日横になっていると無力感に苛まれるけれど、「でも私は今人間を一人育てているからな」と思うと少しは役に立っている気持ちになれる。
最後に
今思いつくのはそんなところ。
妊婦の食欲については、「つわりがおさまった後はご飯が美味しく感じて食べすぎてしまう」という話も聞いたことがあるので今はそれを楽しみにしている。
それにしても、妊娠◯週のカウントが最終月経開始日から始まるのは詐欺すぎないか。学術的に意味はあるんだろうけど…一般人の感覚ではどうしてもおかしいと思ってしまう。例えば妊娠8週目の段階で、「つわりがおさまるのはだいたい妊娠16週くらい」と言われたら「じゃあもう半分経ってるじゃん!」と喜びたくなる。でも8週間のうち半分以上はつわりが無かったどころか妊娠由来の体調不良は何もなかった期間なのだ。私の場合つわりは6週目から始まったので、8週目を終えたとしても2週間しか経っていないことになる。あと半分どころか今までの4倍もの時間が今後に控えているではないか。しんど。
でも私はただただ毎日を生きている無力な人間なので、妊娠16週目まで一瞬でワープすることはできない。一日一日を地道に耐えていくしか無いのだ。妊娠は試練だ…としみじみ思う。
そうそう、夫のことはポッカレモンの話しか書いていないけれど、私の食べられる物を探してコンビニやスーパーに何度も足を運んでくれたり、気持ち悪くて起き上がるのもつらい私の口元まで食べ物を持ってきてくれたり、他にも様々なことをしてもらった。大変ありがたい。
今後も周りの人に助けられながら妊娠を乗り越えていくのだと思う。みんなありがとう。
それでは今回はこの辺にして、また書きたいことができたら記録していく。