2024年(令和6年度)大阪大学高等司法研究科(阪大ロー既修)受験記(再現答案あり)


はじめに

2023年の10月28日実施の阪大ローの試験を受けてきました。振り返るとミスばかり思い出されて、合格発表までの間大いに情緒が乱れたのですが、無事に阪大に合格をしておりましたので阪大受験記を書いておこうと思います。

参考までに私のスペック
・関西の国公立大法学部卒業
・GPA不明。足切りの心配はしなかったけれど多分あまりよくはないです
・ここ数年は法律に触れることなく時が流れていた(それまでは自分なりに頑張っていたつもり)
・2022年8月(昨年)、思い立って関西の私立ロースクール(既修)に出願したものの勉強のための時間が取れず無勉で突撃、怪文書答案を作成し合格。しかし、諸事情で進学を断念し関西の国公立ローに出願することに
・2023年3月頃に上記私大ローの進学を断念したものの、その後諸事情により勉強に取り組める状況になく、関西国公立ローの勉強を開始したのは阪大ローの試験から1か月前(私大ロー合格から断念までの間はぼちぼち勉強していましたが、主に短答用)
(諸事情については、今後別記事で触れるかもしれません)
・今年度のロー入試は阪大ローと神大ローを受験していずれも合格
ということで、だいたい1か月でロー入試期間に突入しました。無勉で私立ロー(4科目の試験でした)に受かれたんだから、7科目の試験も1か月あれば足りるっしょ、という見通しでした(甘い)。
恐らく、他の受験生はもう少しロー対策に時間を使えていることかと思いますので、そういう意味でも無謀な計画だったと今では猛省しています。善い受験生も悪い受験生も真似しない方がいいです。

勉強方法(大枠)

1か月しかないので、やれることはあまり多くありません。そこで方法として採用したのが、ローの過去問を可能な限り解いてそこで出た論点については最低限抑えるようにする、という作戦でした。実際に解いたのは、合格再現答案・構成をアップロードして下さっている方の多い京大ロー5年分、受験予定だった神大ロー5年分、同じく受験予定だった阪大ロー5年7回分(B日程のある年が2回あったので7回)、同じく受験予定だった大阪公立大学ロー5年分です(なお、京大ローは受験予定なし、大阪公立大ローは直前に体調不良につき受験回避しました)。
過去問に出てない問題はノータッチとかハイリスクだろ」案件なのですが、例えば憲法1科目で人権分野21問、統治分野11問と考えるとまあ何とかなりそうな気がしませんか?私はしました。
という訳で、過去問と心中するつもりで1か月間勉強をしました。結論からいうと、過去問で検討したものがかなり役立った場面もあれば、ヤマが外れて重傷ということもありました。総合的にみれば合格できましたので、過去問の検討自体は重要なのだろうなと思います。
過去問のみ、というやり方は人にそうおすすめできるものではないと思いますが、時間がない方にも過去問優先でやることをお勧めします。

勉強方法(小枠)

試験勉強界隈?でも一定の支持があるポモドーロテクニックを利用して勉強をしていました。ご存じのない方は詳しくは「ポモドーロテクニック」でググっていただければと思いますが、私の場合は25分集中する→3分休憩→25分集中→3分休憩…のスパンでやっていました。また、1つのスパンである25分+3分=28分が経過することで30分勉強をしたことにしていました。欺瞞ですね。
そして、答案構成や再現答案をnoteやブログにアップしておられた方のその内容を大いに参考にさせて頂きました。これがなければ過去問検討も半分出来たか怪しい感じなので、先人の合格者各位にはこの場を借りて心より御礼申し上げます。そういった感謝の意味も込めて、答案構成を私も下部に作成しております。とはいえ、出来栄え的にどう考えても下位のぎりぎり合格で気恥ずかしさがあることから、軽い閲覧制限を付けるという趣旨で有料設定にさせて頂きます(得点開示をする予定ですので、その折には追記しようと思います)。ご興味のある方はご覧いただけると幸いです。

阪大ローの当落線分析

阪大ローは過去の入試結果で合格者の最低点や平均点、最高点を公表しています。http://www.lawschool.osaka-u.ac.jp/entrance/exam_result.htmlですね。
今年からステメンと学部成績の比率が下がっていますが、合格最低点を総合点である450で割って100をかければ合格に必要な得点率がわかるようになっています。
例えば令和5年度の合格最低点が229.80点なので
229.80÷450×100≒51.0%
令和4年度の合格最低点が225.46点なので
225.46÷450×100≒50.1%
令和3年度の合格最低点が216.30点なので
216.30÷450×100≒48.0%
という風になり、各科目、半分(民法は50点、民法以外は25点)程度取れれば合格ということになるようです
また、阪大ローは科目足切りがある旨は募集要項に書いておらず、とにかく合計で平均5割を超えたら受かる、ということのようなので、多少試験でできなかった、論点落としがあったとしても、最後まであきらめずに書ききることがとても重要だと心に刻んで試験を受けることにしました。

阪大対策と受けてみた感想について

憲法

統治は基本的には出ないけれど、まれに出る年もあるので、人権メインで統治も一応ざっと抑えておくというイメージでしょうか。まあ、神大ローなんかに比べると、素直な出題なので、基本に忠実にやろうかなと考えていました。
実際の試験でも可もなく不可もない印象の問題が出ました。点数がとれたと思えるような手ごたえもない代わりに、やらかした!と思うような部分もありませんでした。どこまでの密度を書けばいいのかはわからなかったのでだいぶ粗い書きぶりにはなったかもしれません(これは全ての科目について言えます)。

行政法

裁量の部分中心に出題がされていたので、裁量の濫用の話などはきちんと書けるようにしておこうと思って対策をしました。
が、試験で出ないでやんの……語句説明は信義則違反(笑)でしょう……3つの語句説明はほぼわからずかなりの捏造をかましました。ここらから試験に対するメンタルの雲行きが怪しくなってきました(試験は公法系→民法→残りの民事系→刑事系の順番でした)。でも半分取れていればいいんだと言い聞かせていました。

民法

民法は範囲が広すぎるがゆえに事前に過去問を検討しても同じような問題はまず出まい!と開き直ってほぼノーガード戦法で挑むことに。一応過去問を見てみて、出題形式は確認しましたが。前半に基本問題が出るから簡単な部分を直前に見ておこうくらいの作戦を立てた程度です。
しかし、ラッキーなことに小問の1つはまさに直前に見ていた内容が出ました。不当利得の所はなんか判例があったなあわからんなあと思いつつも適当にでっちあげました(部分点狙いです)。大問2は後で調べた所、それなりに正解筋にたどり着けたようです。ラッキー。合格できたのは、このラッキーで点数が稼げたからだろうと予想します。

商法(会社法)

条文操作系の問題が出ている年があり、こういうのが出てくれればいいのになと思っていましたが、そうもいきませんでした。とはいえ、試験内容はすごく難しい訳でもない内容だったのだと思います。つーても書けるかどうかは別。苦手な356条の問題が出た(と私は思ったんですが、他の受験生の方は別の条文を挙げておられたのでもしかして違う??)ことに焦って他の条文を落ち着いて探せないというアクシデントが発生。論点はわかっているのにそれをきれいに構成することができず、採点者に読んでもらうには申し訳ない内容になりました。でも合格できたということは採点者の方は頑張って読んでくださったのでしょう。ありがたい限りです。これから阪大を受験される方もちょっと構成が上手くいかなくとも諦めずに書くことをお勧めします。

民事訴訟法

二重起訴とか、処分権主義とか既判力とか、弁論主義とか、典型論点じゃないのマジで何……?
こちとら過去問検討でほぼそれしかやってないよ。過去問でもそういうのしか出てなかったじゃん!という訳で、何を書いていいのかわからず撃沈。後で、過去問でやった内容と少しかすってたかも、と気付きましたが、時すでにお寿司。
白紙答案だけは何としても避けねばならぬ、と思って思いついたことをとにかくでっち上げ(既判力の論証と無理矢理結びつけました)。こんな答案を採点させて申し訳ないです。恐らく0点に限りなく近いと思います。
民法で点数を稼げていたとしても、この失点を補いきれているのか?という点でかなりメンタルがやばくなってきました。それでもまだ諦めてはいかん!と刑事系の試験に臨みました。

刑法

典型的な甲乙の罪責を検討パターンでイレギュラーもなし。過去問と同じ形式。助かる。
かと思いきや、甲の罪責が絶対に間違っているということはわかりつつも、じゃあ正しく書くにはどう処理したらいいのかがわからず自分でも違うとわかりながら頓珍漢なことを書くことになってしまいました。しかも不法領得の意思の定義が焦ってなかなか出てきません。多分ちょっと間違って書いていると自覚がありながらその先も答案を書き進めなければならないつらさよ…!
もう無理、さすがに他の科目でフォローできんだろ!と試験後もだえ苦しむことになりました(試験中は心を無にしてとにかく書ききりました)。

刑事訴訟法

毎年語句説明3つ、事例1つながら、配点が語句説明30点、事例20点なので語句説明でやらかさないことを決意して臨みました。六法の索引が強い味方です。
事例の方はだいぶ後になって己の書いたことがかなり的外れだったことに気付いてメンタルが瀕死の状態になりました。

いったんまとめ

合計で半分取れてりゃいいんだ…!ダメだったら(神戸ローもダメだろうから)来年また受けりゃいいんだと何度も自分に言い聞かせていましたが、試験後から試験発表まで阪大ローの入試のことを考えると気持ちが沈んで勉強にも支障が出る始末だったので、結果受かっていて本当によかったです。
過去問だけでロー入試に特攻をかますのは危ないです。でもどうしてももう試験まで時間がない、という方は過去問検討を優先でやることをお勧めします(同じ大学で繰り返し似た問題を出すこともありますし、他大学で出た問題がまんま本番で出ることもあります)。とはいえやっぱり過去問以外もやった方がいいとは思いますけどね…
阪大の入試で己の至らなさが色々と浮き彫りになった気がします(神戸ローより阪大の方が体感ではできなかったので)。
阪大ローに進学するかはこれを書いている現段階では不明ですが、どこに進学したとしても、この反省を活かして司法試験に臨みたいと思います。

ちなみに

阪大ローの1か月前から勉強を始めたと上で書きましたが、勉強時間を記録していました。142時間でした。30日間で142時間……短くない?とは思いますが、この間、最善を尽くしてこの勉強時間、この結果だと思えばコスパよしといえるのかもしれません。

以下は阪大ロー既修者試験の再現答案構成部分です。とはいえ、分からなかった部分は構成などせずに適当な自由演技を繰り広げましたので再現率が悪かったりしますので、その点ご承知おきの上でご覧ください。
なお、誰でも気軽にみられる状況だとお粗末な部分も多く恥ずかしいので閲覧制限をかけるという意味で有料にしておりますので、閲覧のために課金のお手続きをされた場合にも返金は致しておりませんのでご了承ください。

ここから先は

10,384字

¥ 300

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?