閑話休題 脳しんとう起こしたの??弱りきって飛べない鳥を連れ帰る
仕事を辞めるひと月ほど前、
あるホテルの地下駐車場に向かって、
急いでいた。
その足元めがけて、
一羽の茶色っぽい鳥が降ってきた。
バサバサっと羽をバタつかせている。
一瞬、
わたしは羽を踏んだのかもしれない。
その鳥は飛べないようで、
ヒョコヒョコ歩きながら、
脇の石垣に登り、
隅っこにうずくまった。
地下のトイレモニターの帰りに
探したら、その鳥は同じ場所に
うずくまっていた。
わたしのココロは揺れた。
わたしが羽を踏んだから、
ひょっとして羽の骨が折れたのかな??
責任を感じたが、まだ仕事がある。
わたしはなんとか回復して
飛びたっていることを祈った。
「早く元気になってね。」
その鳥の瞳を見ながら、
そうささやいた。
(帰りにもう一度見に来るからね)
そう伝えると
ココロを鬼にして、
次の仕事場へ急いだ。
果たして、その鳥はいるか、
それとも飛び立ったか??
最初は周りの背景に同化して
目に入らなかったが、
目を凝らしてよ〜く見ると、
同じ場所に
縮こまるようにしていたのだ。
(嗚呼、運命だよね。
わたしを待っていたかも。)
布の大きなバッグには
洗濯する制服が入っていた。
その中に鳥をそっと収めると
わたしは家路に急いだ。
つづく