精神科医がみる幼女戦記
もともとライトノベルで人気を博した幼女戦記。アニメは2017年に第1期が放送されていて、現在第2期が進行中とのことで、記事にしてみます。
これは、世界史知っている人だとかなり面白いと思います。正直私は世界史、特に第一次世界大戦あたりのことが全く知識がないので、そこは詳しく触れません。第2期始まる前に勉強しようと思います。
で、今回私が触れたいのはこの主人公のリーダー論について。
この主人公は、もともと現世でエリートサラリーマン。the合理主義の人間で、会社のために平気で同僚をリストラにする。感情について考慮できないタイプの人間。「え?だって仕方なく無い?」みたいな感じです。そのため、周りは敵だらけ。そんなことをしていたら、リストラした同僚からホームに突き落とされ、その瞬間、彼の目の前に現れた創造主により、異世界へと転生させられることになったのです。それは戦争が繰り広げられる過酷な時代。創造主は、主人公の合理的にしかものを考えられない性格をあらためさせるために別世界へと転生させましたが、9歳の女の子になっても人間性格は変わりません。神という合理的に考えられないものの存在を否定し、創造主は信じよという。
神を信じよ、というよりは多くの物事は非合理的なものの集まりで、時には合理的でないことだとしても周りを信じ、目に見えないものの大切さを伝えたかったのかなって思っています。
その主人公は前世の記憶があり、超合理主義の中でめちゃくちゃ出世します。そして、第二〇三航空魔導大隊を作り上げて、いろんな戦地をくぐり抜ける。
ここで彼女のリーダー論が挙げられると思います。
彼女は”背中を見せてついてこいリーダー”
前世では、この合理主義は、受けつけられません。恨み買って殺されるので。
ですが、今回は部下がみんなついてくるんです。
この違いは何か。
戦争というところでは、自分の行動を部下に見せやすい。指示を出すだけではなく、実際に目の前で、自分が同じ目線で戦っているわけです。なんなら、9歳の女の子が自分よりどんどん功績をあげていく。それを見せつけつつ、お前らは神みたいな見えないものに頼るのか、と鼓舞し、失敗した時はカバーしてくれる。もちろん、このカバーは戦隊が少なくなったら自分に不利益があるという合理主義の一旦ですが、それでも命をかけて助けてくれるのは信頼できますよね。そして、ちゃんと自分のチームの実力を信じている。だから、そっちは任せた!といい預けてくれる。
実力を目の前で見せつけ、その人がお前ならできると任せてくれる。そして、それに値するほどの訓練をさせられている。
彼らの自信は、自分の努力した過程の元にある。これはすごく大きいことだと思います。
また、超合理主義の結果、みんな平等。
これは戦争という特別な背景があるにせよ、前を向かせて内側からの自発的な意欲を持たせるのはすごく上手いなと思いました。
確かに、これを今の時代でやったら、「俺はこんなにできないよ…」となる可能性も全然あるので、全てが良いわけではありません。そういう人へのケアは大いに必要だと思います。
でも、この”指示する立場”になればなるほど、自分が誰よりも率先すること、そして部下を信頼して任せること、任せられるだけの努力の方法を示すこと、すごく単純なことですが、難しいところです。
主人公も第1期の終わりに人間の合理性だけで生きているわけでは無いということを口に出しています。自分が殺されたことや、これまでの経験からの言葉ですが、自分がリーダーとして、そして中間管理職として、少しずつ変わっているようですね。
神を信じるかはそうでも良い。でも、仲間を思う気持ちや、自分の中に湧き出る非合理的な感情に気がつけることができれば…
第2期も楽しみです。