アネモネ【失恋】

「ねぇ、好きって言って。」

そう何度も頼まなければ、
あなたはそばに居てくれていましたか？

┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈

春、あなたを、好きになった。

夏、あなたを、もっと好きになった。

秋、あなたと、ずっと一緒にいられると思った。

冬、あなたに、もっと愛されたいと思った。

あなたと2回、四季を感じた。

3回目が来ることはなかった。

┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈

あれから何度季節が流れたか、
数えるのも嫌になる。

大好きだった食事の味が、
よく分からなくなってしまった。

あなたと一緒に行った場所に、
1人で行けなくなってしまった。

しつこくしたかったわけじゃない。
重いって思われたかったわけじゃない。

ただ、あなたの優しい言葉で、
満たされたかっただけなんだよ。

あなたはずるい人だ。

最後に優しくされたら、
忘れようにも、忘れられなくなるに決まっているのに。

あの日から、私の時計は動いていない。