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私たちはなぜ旅に出るのか

T先生との出会いは13歳のとき。T先生は入学した中高一貫校の教師として私の前に現れた。当時20代だったT先生は、気さくな人柄と独自のユーモアセンスで多くの生徒たちから慕われていた。その後、友人の誘いで華道部に入ると、そこにT先生がいた。先生としてではなく、一部員としてお華を活けていた。多分この華道部での活動を通じて、私たちの距離は少し近づいたのだと思う。そう、T先生はいわば姉弟子。

高校を卒業してから約20年、なぜ今T先生と旅行に出かける仲になったのか、正直なところ、よく思い出すことができない。この間に私は就職し、転職し、一人暮らしを始めた。T先生も学校を辞め、その後しばらく無職の期間を経て、今では派遣社員として働いていたりする。

この先どうなるかなんて分からない。何の約束もないから、「次」はもうないかもしれない。でも、だからこそ「行きたい!」という気持ちが重なったその瞬間を大事にしたい。これはそんな風に生まれた「美味しいもの」を目指す2人の旅の記録。

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