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音声コンテンツと仲間意識とプロセスエコノミー

角田光代さんの読売新聞連載小説「タラント」がクライマックスを迎えていて、毎朝の楽しみになっています。特に今朝は急展開でした!

1週間くらい前の連載にあった、主人公みのりの甥っ子である陸のセリフが気になりメモをとりました。

「ラジオってテレビと違って、ずっと聴いとったら、友だちみたいな気持ちになるけん。癖になると、毎日聴かなんといられんようになる。(中略)その人(=ラジオパーソナリティー)が毎日少しずつ、中学生やって戦うべきだ、へらへら笑っとるのはダサいことやって言い続けたら、かんたんにその気になるけんな」

と言うのは以前、社会派ブロガーのちきりんさんがVoicyの配信で、ブログは完成してからでないと発信できないけれど、音声配信ならそこまでに至る思考の過程を発信できるから気に入っている、というようなことをおっしゃっていたことを思い出したからです。

私はVoicyヘビーリスナーなので、ちきりんさんに限らず他のパーソナリティーさんの配信を何かしら毎日聴いています。
「これを話そう」としっかり台本を作って配信している方もいますが、迷っている部分だったり感覚的だったりする部分(=思考の過程)を声で丁寧に伝えられている方も多くいらっしゃいます。
そうすると、陸くんのように「友だちみたいな気持ち」になって応援したくなったり、考え方に影響を受けて「その気」になりやすいなぁと、気付きました。仲間意識が芽生える感覚です。

最近SNSでよく見かける「プロセスエコノミー」。完成してから大々的に発表するのではなく、プレジェクトの進捗を都度発信することで、リリース時に爆発的なムーブメントを起こす「過程を共有することによる経済効果」のことです。
期待感やワクワク感などキラキラしたところだけでなく、失敗したり辛いことがあっても乗り越える姿を見て、仲間意識が生まれることで応援したくなるのだと解釈しました。

最後に会社員時代、まだまだこの会社で頑張ろうと思っていたころ(笑)の話です。
上司の評価が低く、先輩に愚痴を言ったところ「大丈夫。見ている人はちゃんと見ているから」と慰めてもらいました。でも結局は見られなかったというか、今思えば私が見せてなかったから、上司から見えないのも当たり前だったので、最後まで分かり合えませんでした。(ちなみに愚痴を言っていた先輩には報告も相談もして仲間意識があったので、先輩が出世してからは良くしてもらえました(笑))

メールではなく言葉で、うまくいったこともカッコ悪いこともさらけ出して、みんなから応援してもらえるような存在になること。昔から言われていることでも「プロセスエコノミー」というカッコいい名前が付くと、すんなり受け入れられる気がしました。

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