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ミズナラの木と暴走する共感性

 新しく引っ越したアパートの二階の通路からミズナラの木が見えた。何か特別というわけではなかったが周りの雑木に比べると大きめで樹形も良く何となく目に付いた。

 私はこのミズナラが好きだった訳ではないのだろうがとにかく玄関を開けて少し歩くと正面にこの木が見え、視界に入りさえすれば意識に上ってスンスンと秋風のにおいをかぐような感覚を覚えた。天気やら季節やらによってはその佇まいの良さやたっぷりと茂った葉なんかが私の気分を良くさせるので、私の周囲に描かれている現象世界に加える絵程度には考えていたのだと思う。こんな感じで時間がたつにつれて様々な“意味”がこの木には付与されていったのだが、当のミズナラにとっては鼻で笑う事態だろう。人間風情が手前勝手に何かやってると。

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一人で木工の仕事をはじめてから大震災後ににっちもさっちもいかなくなるまでの記録。その間に書いていた文章群。公募に出していたエッセイ、随筆、…

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