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ブーメラン(拭き漆仕上げ)

ある時,私の前に神が降臨して,こう告げた。「くだらないモノ,どうでもいいモノ,あってもなくても宇宙の運行にさして影響のないモノを世に広めよ」

それ以来,私はヒマなとき以外はそのことばかりを考え続けていた。私は極めてゆっくりと原付を流しながら,稲の刈り取りを見,空の青いのを見,「どーでもいいモノ,どーでもいいモノ」と何度も独りごちた。すると驚いた事に,お巡りさんに6000円の罰金を払わされてしまった。踏切で止まらなかったらしい。

私は真理の探究者が迫害を受ける事はこの世の真理である事を知っているため滅多な事では腹を立てたりはしないのだが,このときはだけはどうにも悲しくなってしまった。
私は工房へ戻ってブーメランを作った。

ブーメランについてはニュージーランドあたりの先住民が狩りに使っていた事が有名だが,実際は原始時代あたりにはいろんな人がいろんなものをぶん投げていたことだろう.私だって腹がへっている時にウサギでも見れば,そこいらにある石だろうが木切れだろうが投げつける。

最初のやつは日暮れ時に田んぼで投げたところ,川べりの林に突っ込んで二度と私の手に戻ってこなかった。やはり正規の形状があるという事だ。私はインターネット等でブーメランについて調べ直した。結果としてそれっぽいものができたが、漆なんかを塗って結構な品になってしまったのでもう飛ばしたりもしない。

このブーメランに熟練すればいろいろ便利ではあるが、ジーパンの後ろにそっと差して置いただけでもちょっとワイルドな雰囲気になって効果があると思われる。お巡りさんにつかまるだろうか。ちょっと分からない。

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