今ここにないヒヤシンスのスケッチ

毎年、寒い時期に花店に出回るヒヤシンスの水栽培を、今年こそ、今年こそと思いながら結局買えないまま春を過ごしてしまう。香りが好きなのにどうしてか買わない。買わないのか、買えないのか。ちょっと立ち止まって、その理由を自分に問うてみる。最初に返ってきた答えは「贅沢だから」。次が「自分に相応しくないから」。何千円する本でも欲しければ買うのに、花は贅沢だと思うところに己の貧しい心性が見える。買ったこともないのに何故身分不相応だと判断するのか。わたしとヒヤシンスの間には何か見えないブロックがあるらしい。
明日、花屋に行ってみようか。店先でさんざん躊躇ったのち、結局買わないのだとしても。一年中出回る花卉も多い中、ヒヤシンスは今も春先しか手に入らない。

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