13 「悟り」とは失われる前に、その尊さに気づくこと
外国の人々によって日本の尊さに気づかされるという事態は現在でもしばしば生じます。まさに「灯台もと暗し」で、私たちは自分たちがどれほど豊かな宝を手にしているか、なかなか気づくことができずにいるのが実際のところです。
あるお坊さんから、「悟りとは失われる前に、その尊さに気づくことが悟り」と教えられたことがありました。当たり前だと認識してしまう存在や物事にこそ目を向けていくことが大切さに気づいていく行動になるのでしょう。
私ごとで恐縮ですが、2020年9月、『女子の武士道』『女子の教養』に続く三部作という位置づけで『女子の品格』(いずれも致知出版社)から上梓いたしました。
武士の娘だった祖母から教えられた日々の心がけや人としてのあり方について、「武士の娘の美学」として纏めています。
本書でも「和の心」が主題であり、品格とはあくまでその上に形作られていくものであることを述べました。タイトルに「女子」とありますが、是非とも男性にもお読みいただきたいと願っています。
和の心を土台として、人としての品格をその上に構築していく。
そのためにはどうすれば良いのかというと、まずは日々の生活習慣が重要になってきます。たとえば、朝起きて、顔を洗って着替えて・・・ということを「身繕い」とする。
「身を繕う」ということは、身を整えていくこと。身を整えていくと心も整っていきます。
そうして一日を「整える」ことから始めるのです。
日本人が大切にすることに「節」がありますが、これは一日のなかにある「節」なのです。
さらに掃除を「お浄め」と心得て、今度は場を整える。場が整えば、「祈り」に相応しい空間ができたことになります。
神仏への祈りは日常の中に溶け込んでいた重要な習慣の一つでした。
宗教が生まれる以前から、目には見えない存在に対して、人は手を合わせてきたのではないでしょうか。
それが安寧に繋がるのを体感していたのではないか。そんな気がしています。
みなさまからいただくサポートは、主に史料や文献の購入、史跡や人物の取材の際に大切に使わせていただき、素晴らしい日本の歴史と伝統の継承に尽力いたします。