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14 足下から和の実践を

 右手と左手は、ほとんどまったく同じ形をしていますが子細に見ていけば、手相が少し異なっていたり、わずかに指が曲がっていたりなど、若干の違いがあります。
 そして、手を合わせたその様子は、まるで陰陽紋そものではないでしょうか。実際、陰陽五行説に則れば、右手は陽、左手は陰なので、まさに陰陽が合わさったかたちなのです。
 また、手と手を合わせることを、人と神様、もしくはご先祖様とひとつになることだ、という節もあります。
 どうにも辛く苦しい時、人は思わず手を合わせる。恐らく、手を合わせる行為は人類共通のものでありましょう。
ここに「和」を世界に拡げてヒントが垣間見えます。
 やさしい笑顔が、世界各国、誰にでも受け容れられる親和性を持ったものであるように、歴史や文化、人種を越えて歩み寄ることの出来る心、調和できるあり方がきっとあるはずです。
 今、地球上の多くの国が、時代の変革期に伴う深い苦悩の中にあります。それは、どうすれば助け合うことが出来るのかを考える最大のチャンスといえるのではないでしょうか。
 政治も経済も、これまでと同じようなやり方では立ちゆかなくなるでしょう。各国が争い合うような状況は、それぞれが自国の首を絞める結果になるかもしれません。

 しかし、あまりに大きな事を考えるよりも、まずは自分の足下から「和」の実践を始めることといたしましょう。
 毎日の暮らしの中で、まずは家族など身近な人たちと、できるかぎり和やかな関係でいられるように努めるのです。
 誰もがよくわかっていることでありましょう。
 でも、同時に、誰にとっても「難しい」と感じることではないでしょうか。
 私自身は、夫婦や親子関係は、ある種、修行のようなものだとさえ思っています。家族を「空気のような存在」と表現されることがありますが、まさに言い得て妙ですね。
 失ったら困るのに、その大切さに気づくことが、なかなか出来ないのです。
 

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