察する文化をとりもどす
「日本文化とは何か」と考えた時、
一つには「察する文化」ということが
できるでしょう。
言葉にならずとも理解する。
相手の様子から先を読む。
目には見えずとも、
生活のすべてが神仏とともにあるとし、
歴史を紡いできた日本人にしてみれば
当たり前のことでした。
ところが近代化以降、
日本人も物質文明の中で
生きるようになっていきました。
第一次世界大戦後には
ますます物質主義的になりましたし、
やがては何でも言葉にしないとわからない、
などと言われるようになっていきました。
偏差値教育の中で数値による評価が行われ、
仕事に就くと業績が問われます。
物質文明はおのずから科学万能主義に傾き、
エビデンスがないものは眉唾だと
受け止められるようになりました。
いずれも日本文化とは真逆といえるものばかりです。
このような状況下、残念ながら
日本人の察する能力は
鈍化してきたと認めなければなりません。
落ち着いた心を取り戻せば、
目の前に繰り広げられている光景が何を意味するのか、
目には見えていない部分を察することが
できるようになっていきます。
情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、
その背景にあるものを推察するようになるでしょう。
『女子の品格』より
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