比べない心 33 石川真理子 2024年7月28日 08:30 「価値判断」が古人と明治以降の私たちとでは百八十度違うのである。一、二、例をあげると、古人のものは、「四季それぞれよい」「時雨のよさがよくわかる」である。これに対応する私たちのものは、「夏は愉快だが冬は陰鬱である」「青い空は美しい」である。(中略)私たちの評価法は他を悪いとしなければ一つをよいとできない。刺激をだんだん強くしてゆかなければ、同じ印象を受けない。こんなふうである。これに対し古人の価値判断は、それぞれみなよい。種類が多ければ多いほど、どれもみなますますよい。『夜雨の声』岡潔私たちのなかには比べて優劣をつけて判断する、そんな意識があります。しかもそれは潜在意識に入っているのでこれをなくしていこうとするのは時間も労もかかりそうです。けれどそのさらに深いところには160年前までは確かにあった比べずとも価値を見出せる情緒がきっと残っているにちがいありません。そこまで深く自分を掘り下げたいものです。なぜなら安らぎと幸せは比べないところから発生するからです。写真:魚住心 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! みなさまからいただくサポートは、主に史料や文献の購入、史跡や人物の取材の際に大切に使わせていただき、素晴らしい日本の歴史と伝統の継承に尽力いたします。 チップで応援する #言葉 #日本 #言葉の力 #岡潔 #日本の心 33