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続・京都の珈琲屋さんで朝ごはん。壬生の京町家カフェ&ワインARCHI

 睦月なかば、私にしては珍しい行動をした。
 それがこちら。
 

 如月も京都の予定があったので、ふたたび珈琲屋さんで朝ごはんをいただいた。ふた月連続でこんなことは、たぶんもう二度とないだろう。
 しかも今回はプリンにケーキと朝からいきなり甘いもの。食べ物の選択肢の中心に「食べたいかどうか」よりも「体にいいかどうか」を置いている私にとっては、かなり挑戦的な態度だった。

 お店の名は、「ARCHI coffee and wine(アーキコーヒーアンドワイン)」。ふうん、ワインも飲めるんだ。(←私は下戸でアルコールは全滅)
 古い町家をそこまでリノベーションするでもなく使われているようで、あちらこちらがちょっとぼろっちい。けれどそれが不思議と絵になっている。

 築80年以上という。入り口を開けるとガラガラと音がする。壊さないかとちょっと不安になる。
 カウンターには姿のいいケーキが並んでいて、いかにも美味しそう。ちなみにワインも朝から飲めるそうだ。朝から一杯という人には嬉しいお店なのかな。
 


 手吹き硝子を通して差し込む朝の光が清々しくやわらかい。もう春の気配を漂わせている。
 一日のうちで朝は一番好きな時間帯だ。
 生まれたのも朝だった。8時40分。「はじまり」のときめきが最高潮になる時間帯だ。何か新しいことを始めるのが好きなのは、そのせいかもしれない。
 先にカウンターでオーダーするスタイルになっている。
 ケーキ達が「私を食べてみない?」とみんなして語りかけてくる。だけど私の目は何も乗っていないお皿に注がれていた。

「あの、プリンって、もうできているんですか?」
「はい、あります」と店員さんは請け合った。

 昔ながらの固めのカスタードプリンだという。そういうのが欲しかった。ゆるんゆるんでふるふるとろとろのプリンじゃなくて。
 プリンがあるというので、安心してケーキ達のお誘いに応じることが出来た。プリンの他にこれくらいのケーキを食べることくらい、へいっちゃらだと自信満々だった。
 前日はバレンタインデーだったため、期間限定のチョコレートブラウニーがあった。苺と林檎を添えて焼き上げられているという。
 これに決めた。
 
 


 お皿に盛られたプリンは今まで見たことないほど濃いカラメルソースがかかっている。オーブンで焼き上げた過程までもが見えている。
 懐かしいようなたたずまい。
 朝からプリンを食べるなんて、これは大人じゃないとできない贅沢だ。
 もっとも、今の子はそうでもないのかな。
 お母さんによってはプリンだろうがヨーグルトだろうが菓子パンだろうがあげるらしいから。
 

半分ほど食べても、しっかり自分で立っている。この密度、この堅さがあってこそだ。


 プリンをあっという間に平らげて、ブラウニーもいただいた。中心がしっとりとして、こちらもずしっとしている。
 すごーく美味しかったし、ぺろりと食べてしまえると確信していたのだけど、半分もいただかないうちに、あっさりしたお漬物が欲しくなってきた。
 欲張るものではないんだね。
 いいえ、それもいいじゃない。
 朝からプリンにケーキだなんて、たぶんもう滅多にないだろうから。

 
 


おまけ。うつわ屋さんへ。


 京都には魅力的なうつわ屋さんが多いようだけれど、私はまったくたどり着けていない。
 朝ごはんのあと、連れてきてもらった。
 店構えに看板だけで、もう素敵な感じがあふれている。
 日本的な焼きものなのに洋風の絵付けがされている、和洋の間をいくようなうつわが並んでいた。


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石川真理子
みなさまからいただくサポートは、主に史料や文献の購入、史跡や人物の取材の際に大切に使わせていただき、素晴らしい日本の歴史と伝統の継承に尽力いたします。