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短歌「靴」木花薫 2022.9.11.

右の靴
裏が剥がれて
でも歩く
左も剥がれて
それでも歩く

短歌 木花薫

  昨晩は見事な中秋の名月だったのだから「月」の歌を詠めばいいのに、靴の裏について詠んでみました。そうしたところ名歌ができてしまったんです。(笑)

 昨日丸一日お出かけをしたんです。歩いていたら右足に柔らかいものを踏んづけたような感覚がありました。でも一瞬で消えたので気にせず歩いていたら、後ろを歩いていた連れのものに「カオル、靴の裏!」と言われ見てみると、裏がありませんでした(笑)

 安物だからか長いこと履いていたからか、靴の裏に貼ってあった分厚い底(オールソールと言うらしいです)が剥がれ落ちていたのです。

 中底はありましたから裸足で歩く状態にはなっていません。なので気にせず歩き続けました。ところが2時間ほどした時、左足の裏も剥がれたんです。しかしこちらは半分だけ。歩くとペコペコなって歩きにくい。なので右足で剥がれた底を踏んづけて左足を思いきり上げて引き剥がしました。

 こうして両足の裏がなくなったわけです。いつ穴があいて裸足のようになってもおかしくありません。それで靴屋へ入りました。

 よい靴はないかと物色したのですが、5㎝ヒールや指を押し込める靴ばかりだったんです。歩きにくい靴ばかりってことです。これなら裏のない靴の方が歩きやすいじゃないかとなり、買うのを断念して裏のない靴で歩き続けたのです。

 その夜は足裏に穴があくことなく無事帰宅。満月の晩のことでした。




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木花薫(く-16 文フリ東京)
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