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MASSARA 9/13.21
オープニングのショーパートがちょっと宝塚みもありつつかっこいい。
一曲目終わった後のジャケットの落とし方にもそれぞれ特徴出てて面白い。大光ちゃんは正統派の吊り上げて落とす感じの動きしてて好き。
その後の無所属勢を迎え入れて四角に整列してのラップ&ダンスは現代の舞台って感じでかっこいい(語彙力不足)。でも、やっぱりラップはぽんちゃんが明白に上手くて、これが歴の違いかと思った。
そして、ケイくん(矢花)がカメラを抱えて撮っているところからスタート。おそらく色盲の彼はなんとなく現状への絶望が強くなり、飛び降りて自殺をはかってしまうというシーンが描かれる。
次のシーンでは入院しているケイのところに走ってタカ(大光)がお見舞いに来る。ここのシーンで13日はドリボのノリでベッドも動かしちゃったりするし、21日は長尺のボケが繰り広げてて収拾がつかなくなってた。とりあえず、困った感じで「タカ?……タカ?」って言ってるケイくん可愛いね。
そこに嫌味メガネ美人なカズト(克樹)が現れる。まじでこいつ顔良すぎて見るたびになんか腹が立つ。あと、コートの後ろも高そうな構造してておしゃれ。切った梨持ってきてくれる感じはどっちかというと現地で剥いてる方が解釈一致だけどやりそうと思った。
次に、お前ら絶対一般企業就職しないし、なんならメンバー内で一番接点ないだろ、と言いたくなる同僚コンビのハルキ(嶺亜)とリョウタロウ(こんぴ)が登場。嶺亜さんのコートがおしゃれで好き。
最後が工事現場で働き中のダン(琳寧)。好きな言葉なのに意味忘れたり、ど天然全開でマジ琳寧。
せっかく集まったし、とケイの撮った過去の写真鑑賞会を始め、ひとりひとりの過去を振り返る。
最初は大学に行かず、就職したダンのところにあいに行った日のこと。
慣れない仕事に四苦八苦するダンの「ナントカナルサ」は琳寧の身体能力が活きてて頑張れ、という気持ちになる。会いにきた時に物珍しげにきょろきょろしてるケイくん可愛い。お前らはまだ働かなくていいのいいな、とか失言しちゃうのもめっちゃ琳寧。
大学時代は普通嫌だー、と言いながら普通の会社に就職するハルキには同調した人も少なくないんじゃないかと思う。特に、彼は唯一の彼女持ちで、しかも半同棲中で軽率に辞められないし、辞めても行けるとこがあるかもわからないから。やりたいことをお金を稼げることにまで昇華するのは難しいことだから。
それを見抜くのは幼馴染のタカで、でも、タカは家を継ぐっていう立場だから言っちゃあれだけど、努力をせずに社会人になったし、仕事に不満を持っていないなら幸せ。だからこそ、本当に気持ちがわかるわけないし、ってケンカになってしまう。私でも図星だからこそそんなこと言われたらキレるし、最悪支えてくれる親を持ってる友達とか羨ましくてイラっとすることあるもの。
逆に、カズトは院進して今も学生だから彼は彼で疎外感を感じている。これもコロナ禍で手探りの中就活して、うまく行かなくて就職浪人した私に刺さった。
次はリョウタロウだけが写っていない高校時代の写真の話になり、タカの過去編が始まる。
恋に落ちたエリちゃんからコーヒーを買う時に動揺しまくったり、インドネシアのそっくりさん名乗る大光ちゃんが面白い。無事買えると今度はそれ持って「WHITE LOVE」踊り出すし。
踊り終わるとブランコに乗るハルキと恋バナを始めるんだが、その前に水分補給がてら裏でちょっと休んでるのを嶺亜さんにつっこまれ、口の軽いハルキに恋愛事情をダンとカズトにバラされ、俺も狙っちゃおうかな、とかふざけてたら遅れてきたリョウタロウが実はバレンタインチョコもらってたの展開が完璧すぎてめちゃくちゃ面白かった。しかも、リョウタロウの話がエリちゃんのことだとわかった瞬間ずるずる滑り落ちてく琳寧が面白さを増してた。
リョウタロウがデートに出かけてから拗ねて花道に座り込む大光ちゃんもおもろだし、それに帰ってきたら殺す気?デモ隊?とかたとえツッコミめちゃうま矢花最高。でも、失恋したらそれぞれ飲み物買ってきて笑わせてくれる友達めっちゃいいと思う。
今度は高校時代のバンドやっててリョウタロウがイキってた話になる。エリちゃんのためにかっこいいところ見せたくてみんなを巻き込むの高校生って感じだし、ウクレレやってたケイくんがベースってどうすればいいの?って小さい声で後ろで聞いてたの可愛かった。
でも、難関大目指すカズトは小テストの点が低かった(優等生比)ことから続けられないと申し出る。偏差値が高い高校にいた身からしても、流石に夏休みからブーストをかける人が大半だったので、秋の文化祭を、ってなると難しいのは同意できる。そもそも、高校受験失敗した彼と5人では勉強に対する感覚もだいぶ違うだろうし、板挟みになってお前らにはわからないよ、となる気持ちもわかる。
それでどうせエリちゃんにも振られたし、と解散しちゃいそうになるのも学生だな、と思った。結局、できる範囲でやることにしてたけど、のちのち親にバレて怒られずに済んだのだろうか。結果から言えば無事なら受かったようだからいいんだろうけど。
このバンドシーンはシンプルに侍は圧倒的センター嶺亜様がメインボーカルのことが多いので、こんぴがメインボーカルっていうのが新鮮。演奏シーンでにこにこでハルキと目を合わせるケイくんめっちゃ可愛かった。とても普段舞台上走り回ったら大暴れしてる人と同一人物とは思えない。
最後の写真は初めて出会った日。風景をカメラで収めていたらいじめっ子にカメラを取られるケイくん可哀想。そこに颯爽と現れてカメラを回収、連携して奪わせないようにするハルキとタカがかっこいい。そこに他の3人も参戦するわけだけど、性格的になんでカズトが参戦したのかはわからん。ダンは正義の精神、リョウタロウはイキってたとしても。志望校に行けなかったやけくそか?
ここで現在の苦しむケイの姿が真っ白な背景の中で見せられ、病室に戻る。面会終了時間のアナウンスが流れるが、このままひとりにできないとケイを車椅子に乗せて屋上かなにかに連れ出す5人。
そして、「RUN」を歌う姿にこのまま止まらず走り続けてデビューする彼らが見たいと切実に思わされて涙が出た。
歌が終わると、まっさらならいろんな色で染めて、自分の道を切り開いていこう、と解決はしないけどみんな少し気持ちが前に向いて進んでいこうという決意を感じて終わる。
カテコでは腕と顔にまで絵の具を塗りたくる琳寧やばすぎて草。
全体的な役について、
ハルキは時々感情的になることもあるし、基本口は軽いけど、本当に言っちゃいけないことはちゃんと守ってくれそうだし、達観してるところもあり、みんなをまとめる支柱という感じで、ああ、嶺亜さんだな、と思った。
ダンはもうど天然で一生懸命で、あそこまでおバカではないにしろノリのベクトルがもう琳寧。
カズトは恵まれなかったぽんちゃんって感じ。真面目で不器用。でも、昔ぽんちゃんもあんな時代あったのかもしれないけど、それこそ大光ちゃんとケンカしてた頃とか。今は頭はいいのにぽんこつ不憫ポジだから。
リョウタロウは高校デビューに成功したこんぴ。イキってて、モテて、行動力もある。彼が一番本人から遠いかも。
ケイは矢花のピュアなところだけを取り出して再編した子。真面目で繊細だから傷つきやすい。実際の矢花は暴れるし、インターネット小僧でツッコミも鋭いけど、定期的に病んでる繊細な子だから。SOSを出すのは下手だけど、なんだかんだ周りに人が集まって支えてもらってるのも矢花らしいし。
タカはほぼただの大光ちゃん。人を笑わせるのが大好きな優しい子。いつもふざけているように見せて周りをよく見ていて、誰かが悩んでいる時、迷っている時は寄り添ってあげることができる。ひどいことを言われても平静じゃなかったんだって許してあげるし、車椅子を押すのも彼の担当。ふざけるの大好きだけど、根っこが人一倍真面目で優しくて周りに気を配れる最年長最年少コンビが幼馴染設定なの最高だと思った。
最後に、この作品はなにも解決しないし、珍しい話の構造でもない、なんならテンプレ的とも言えるかもしれない。でも、テンプレというのはいつの時代も誰にでも当てはまるからテンプレートなわけで、そういう意味で清く正しい舞台作品であったと思う。一方、ダンスなどの振り付けに関しては若い世代を入れたことで新鮮で複雑なものとなっている。その融合がこの作品の魅力だと思う。
そして、ウエストサイドに憧れたジャニー喜多川が作りたかったけれど、能力がなくて生み出せなかった物語とはこの作品のようなものだったのかもしれないとも思った。