PSYCHO-PASS VV3 3/16
PSYCHO-PASS VVの最終章。1の後、全記憶を消されてふたたび三係の監視官として働くことになった九泉。
九泉のカウンセリング担当のシビュラを蘭具の姿に似せる悪趣味さが安定だな、と思った。海堂のほうには幼馴染の青年を置くし。所詮実験動物なのだな、と。
今回は話を畳むため、まあ、相変わらず執行官が全員死んでいるのは置いておいて、悪趣味レベルは低く、九泉の心に重点を置いた作品だったように見える。
1では嘉納にお前も人工監視官育成計画によって作られた哲学的ゾンビ、あるいは中国語の部屋(作られた記憶や感情によって監視官として働かされている)であると突きつけられ、自分の立場やあり方、そして、それに抵抗しようとテロリストに手を貸した嘉納に絶望して、ドミネーターで執行した(記憶はない)が今作でついに本物の記憶と人格まで取り戻した。
まさか、自分の手で潜在犯となった母親を撃ち殺すより酷い体験だったとは驚かされた。
廃棄地区の子供を売って金を稼ぐなんてあまりに外道で、そんな人をナイフで刺して殺したとなれば流石に正気なら精神に異常をきたして潜在犯堕ちも順当。
今回の敵は九泉の幼馴染であり、音声学を研究する兄と人の本能を呼び出して暴れさせる声を持つ妹(イリュージオ)。兄は延々記憶を失った九泉を恨んでいるが、結局記憶を取り戻した九泉と話し合うことはできなかったのは不憫というべきか、業というべきか。
彼はパーマにメガネというど陰キャルックながらバク転までして戦うチート野郎でうざかっこよかった。テニプリの入江奏多と同系統のやつ。
イリュージオの声によって記憶を取り戻した結果、嘉納の気持ちを理解し、同じく記憶を取り戻して衝撃を受ける海堂にもう正義を執行できないと告げて潔く自殺する九泉が美しかった。
潜在犯ではあったが、それも正義を執行するため、時に暴力的だが周りの人間を愛してきた九泉だからこその選択で、逆に言えばそんな九泉がシビュラによって定められた正しさを追えなくなった哀しさもあって、あぁ……、って感じ。
ただ、嘉納は執行官全員見捨ててて、ずっと慕ってくれた後輩の目の前で黒幕だとバラされたら、その後輩を自分の手で撃ち殺してるから九泉には一生追いつけないサイコ野郎だぞ。そこが一番歪んだ愛を感じて好きだったけど。
100歩譲ってシビュラの正義に抗おうという気持ちは理解できても、仲間をあっさり見捨てる精神が理解できてたまるか。
最後にただの小並感ポイントだけど、六合塚さんのバンド時代の話が出てきて嬉しかったのと、相変わらず鈴木拡樹の体捌き、特に回し蹴りが美しすぎて目を奪われまくった。