大型液晶ペンタブレットを買った話
これから大型の液晶ペンタブレットを買おうかどうしようか迷っているクリエイター(特に漫画家さん)諸氏の参考になれば幸いです。
筆者は今を遡ること5年前(2017年)まで、135Kgの上質紙にペン入れした線画をスキャナで取り込み、ベタ・ホワイトやトーンなどは板タブを駆使してセルシスのコミックスタジオで仕上げてきました。
しかし、その年の三月から「戦国炎舞-KIZNA-」というスマホのゲームアプリ内で配信されるコミック「信長ストラグル」の監修依頼を受けて、毎週のように渋谷の仕事場へ赴く機会に恵まれました。
その広大なブース内には数十台に及ぶCintiq 27インチの大型液晶ペンタブレットがそれぞれの机に設置されていました。一流のクリエイターの皆さんが作業している姿は実に壮観でした。そこでは完全にペーパーレスです。
実際に筆者が任されていたのは時代考証(フィクション主体ではありましたが、言葉遣いや家紋、史実に基づくエピソードなどを精査)のほか、巻末の牛ちゃんコーナーの記事、巻頭のあらすじです。
ちなみに外伝の加藤清正築城記「虎の棲む城」の原作ネームは筆者が手がけました(その節はお世話になりました)。渋谷では筆者は常に27インチという大型液晶画面に向き合って記事を書いていたのです。
その経験から液晶ペンタブレットで直描きする合理性に目覚め、コミック版 日本の歴史「武田信玄」の時にCintiq Pro 16を購入して初めてペーパーレスで作品を仕上げました。
――それから4年が経過した2021年。老眼が進み、16インチですら文字が見えにくくて難儀していた頃にある決断をしました。
感染症の流行でもう渋谷へ出ることはなくなり、家にこもって仕事する日々が続きます。やがて「信長ストラグル」も最終回を迎え、筆者はその穴を埋めるべくポプラ社の歴史コミックとオリジナル作品の両立時代へ。そんなときに自宅でも大画面で執筆したいと思い、Cintiq Pro 32の購入に踏み切ります。
では、買ってよかった点を。
①大画面なのでストレスがない(これにブルーライトカットフィルム貼ると完璧!)
②ページの流れを把握しながらメインページに取りかかれる(8コマ漫画中7コマ目参照)最強!
③4Kだとアプリケーションのツール表示が小さくなるけど32インチならまあなんとか見れる!許容範囲。
④27インチは若干滲みが気になるが、32インチはそれがない。熱暴走もない。
では次に心すべき点を。
①場所をとる(小さい机ではきびしい!)
②4Kで出力なら結構なマシンスペックが要求される(メモリーはDDR4で64GBは欲しいところ。GPUはクアドロP4000またはRTX2060以上推奨)
現実的には24インチがベストかもしれません。(筆者はもう戻れませんが)
あと、ペン軸は標準のラバーは劣化するのでワコム純正の木製がいいです。チタン芯は半年使って今のところ異常はありません。ペン本体どこも痛めませんが画面保護のため液晶フィルムは貼りましょう。