『誰ソ彼ノ淵』の不明点と『クルリウタ』の歌詞に関する考察メモ

はじめに

この記事は『THE IDOLM@STER THE@TER CHALLENGE 03』のドラマパート『誰ソ彼ノ淵』の不明点と『クルリウタ』の歌詞についての考察を記すものです。

キャラクター毎のまとまった考察や全体を通して一貫性を保つような考察はしておらず、部分的な考察がメインとなります(本記事のタイトルを"考察メモ"としているのはそのためです)。

ドラマパートの物語内容に沿い、個々のシーンについて不明点を挙げながら考察可能な部分を考えていく形にしていますので、読んでくださった方ご自身の考察を補強するために思考の糧として使っていただくのが良いかもしれません。歌詞については歌唱パートも考慮しています。

なお、この先をお読みいただくにあたってはネタバレが多分に含まれますので、CDを聴いていない方は一度全てお聴きになってからお読みください。















『誰ソ彼ノ淵』の不明点について

(前提として、千鶴たちの食人行為は物語内で明示されていないのですが、CDをお聴きになった方にはほぼ自明の事柄かと思いますので、その認識で考察を行っています)

『誰ソ彼ノ淵~プロローグ』

鎖の音、何かを切る音、伊織の泣き声
▲料理に使うため鎖で縛った(磔にしている?)人間を切っている?
⇒切り刻んでいるのは茜たちの漂着の一月前に亡くした「ペット」(『森』のパートより)?

ラジオ「40年前の沈没事故」
▲泣いているのは伊織?茜?
⇒ラジオが流れている時のみ、声が伊織ではなく茜のように聴こえる?実は40年前の沈没事故は茜たちの沈没事故のことで、エピローグから40年が経っているとか?
⇒ラジオのアナウンサーの声はエピローグと全く同じ。40年経てば降板しているか声質が多少なりとも変わっているはずなので、エピローグから40年は経っていないはず。
⇒40年前の沈没事故は少なくとも茜たちのものとは別。声が伊織か茜かの判断は難しいが、仮に茜ならば一体どういう意図があった?これから始まる物語内容の示唆?

▲エピローグでは次のニュースに移るまで聴き続けていた千鶴が、プロローグだと途中でニュースを消させたのは続きを聴きたくなかったから?
⇒千鶴は沈没事故に嫌な思い出がある?

▲"40年"で最もしっくり来るのは千鶴の年齢。
⇒見た目15歳前後の伊織を娘として紹介しても違和感がないのであれば、千鶴はおそらく40歳前後かそれ以上。声は30代くらいに聴こえるが、そこから役柄の年齢を判断するのは難しい。45歳程度ならば、千鶴は40年前の沈没事故の生き残りの可能性がある?
⇒沈没事故で生き残り、食料がなくなって同船者や死体に手を出したとか?千鶴の食人行為の起源?

▲志保曰く「この島は元々、無人島でした。それを主人が買い取って」(『島』のパートより)。
⇒屋敷を探検した茜曰く「結構古そう」(『夢』のパートより)。
⇒築10年や20年程度ではないと考えると、千鶴がもし45歳程度なら自ら建てたわけではなく、屋敷が既に建っていた島を買い取った可能性が高い。もしくは千鶴が見た目よりかなり高齢ということ?

伊織に食事を強要する千鶴
▲千鶴本人が食人するだけでは満足せず、伊織にも強要するのはなぜ?
⇒伊織が食べる前に千鶴は部屋に戻り始めているので、食人を嫌がる人を見て快楽を感じるわけではなさそう。自分の後継者やメイドを育てるため、人肉に対する不快感をなくさせようとしている?

『誰ソ彼ノ淵~島』

志保「多いか」
▲来訪者を見つけた時は基本的に殺すよう千鶴から命令されていた?
⇒屋敷に連れて行ったのは人数が多くて逃げられたり返り討ちにあったりする可能性を考えた?もしくは死体を屋敷まで運ぶのが面倒だった?
⇒主人を危険に晒すリスクがあるのに屋敷へ連れて行ったのは千鶴にそう命令されていたから?
⇒観察して4人に戦闘の意志がないことを把握した?ならばなぜ屋敷に着いた直後やその日のうちに全員殺さなかった?生かしておいたのは千鶴の命令?何のため?
⇒4人を見て一言目が「多いか」というのも少し違和感がある。滅多に人が来ないなら「なぜここに?」などの疑問を最初に口にするのが自然では?事故発生から半日経っているし、実は他の生徒や教師が漂着していて志保に殺されていた可能性もある?

千鶴「本土から荷物が届いたばかりで、新鮮な食材が沢山ありますのよ」
▲人肉も本土から取り寄せている?
⇒仮に1人1日300gの人肉を食べるとすると、千鶴と伊織の2人分だけでも1ヶ月あたり300g*30日*2人=18kg。
⇒人体の骨の重量はここを参照すると体重の15%。仮に体重50kg前後の女性の骨以外の全てを食べるとしたら18kg*12ヶ月/(50kg*(1-0.15))≒5人いれば1年分になる計算(鮮度を気にしたり特定部位を好んで食べる場合はもっと必要だが……)。
⇒海難事故等で1年に5人以上が1つの島に漂着する確率はわからないが、決して高いものではないだろうし、漂着する期間にもバラツキがある。もし頻繁に今回のような嵐が来るのであれば船長はその海域の航行を避けるだろうし、海難事故だけに頼って人肉を補給するのはかなり難しいはず。
⇒安定した供給のため本土から人肉を取り寄せている?生きた人間を運ばせ、食べるまで島で生かしていたりする?

山の反対側にいる家畜の世話人
▲志保曰く「家畜の世話をしている"者"」で単数形だが、実際に見た歌織曰く「集落」(『夢』のパートより)とのこと。
⇒複数の住居がある?以前に他の人が住んでいただけ?
⇒本土から運んできた人間を「家畜」として住まわせ、必要な時に人肉にしているとか?

『誰ソ彼ノ淵~夢』

茜「伊織さん、どうかしたの?」
▲伊織は何を考えていた?
⇒人肉が入っている料理に気づかない茜たちを嘆いていた?もしくは茜たちがこれからどのような目に遭うか想像してしまった?

なぜ歌織は南京錠の掛かった部屋の前に来た?
▲歌織が律子と別れた後、どちらも同じようなタイミングで部屋から出ていた。
⇒トイレや飲み物を貰いに行った際に茜たちを見かけたのかもしれないが、屋敷を探索していた可能性もある?

律子の殺害、茜が見た夢
▲律子はなぜ殺された?茜の夢が正夢だとすれば何を見た?
⇒見たのが人間を切り刻んでいる現場だとしたら、毎日人肉が料理に入れられている?もしくは冷凍用の下処理など?
⇒もし志保の不手際により何かを見て殺されたのだとしたら、志保が千鶴に叱られた痕跡があってもいいはずでは?千鶴の不手際?もしくは律子が屋敷の探索をしていて、開けてはいけない部屋を無理やり開けたとか?
⇒もし正夢でないのなら、従順な志保が自発的に殺害するとは考えづらく、千鶴の命令で殺した可能性が高い。とはいえ、殺そうと思えば睡眠中に全員簡単に殺せたはずのになぜ律子だけ?律子が何かしたせいで殺されたと考えるのが妥当な気がする。

千鶴「島に残っても構わない」
▲この時点で3人を殺すつもりはなかった?
⇒最終的に3人を殺すならいつでも殺せたのでは?それをしなかった理由は?
⇒千鶴が「人恋しくなる」と言ったのは本当で、殺さないよう志保に命じていた?本当に生きて帰すつもりだった?もしくは人肉としての新鮮さを保つために生かしておきたかったとか?

千鶴「今日がこの島で過ごす最後の日になるでしょうから」
▲発言直後の「……えっ?」という小さな声は志保?
⇒驚いたような反応?3人を殺すとは聞いていなかった or 生かして帰すと聞いていた?「……えっ?」ではなく頷いた際の音の可能性もある。
⇒「最後の日」というワードが千鶴から志保への殺害指示?

裏庭の墓
▲オレンジのガーベラ
⇒オレンジのガーベラの花言葉は"冒険心"、"忍耐"。
このグリマスやよいの衣装の柄がガーベラ?
⇒わざわざ特定の花を手向けるということは仲が良かったはず。伊織が屋敷に来る前から既に面識があったのか、来た後で仲良くなったのか?
⇒メタ的だが、やよいは『誰ソ彼ノ淵』の登場キャラクターを決める投票でメイド2位。志保が来る前(か同時期)にやよいがメイドをしていて伊織に出会い、伊織を手助けしようとして殺されたのでは?
⇒エレナ曰く「庭のこっち側は手入れしてないのかな?」。
⇒歌織に「庭木の手入れも行き届いてる」(『島』のパートより)と言われるような志保が、自分の担当範囲を長期間手入れしていないとは考えにくい。やよいの担当範囲だったということ?

▲千鶴の「ペットの墓」(『森』のパートより)という発言は単数または少数の墓を想起させる。千鶴は大量の墓があることを知らない?
⇒食人の犠牲になった人たちの墓?肉を料理するのではなく食べているだけの伊織には何人が犠牲になったのかはわからないのでは?伊織も茜たちと同じような事故に遭い、一緒に亡くなった人たちを弔っている?
⇒墓のことがバレてフォークを落とすほど動揺する伊織に、自ら大量の墓を作るような積極性はない気がする。「ペット」がやよいだとすれば、やよいと一緒に墓を作ったとか?

『誰ソ彼ノ淵~森』

南京錠の部屋
▲伊織の部屋?
⇒日中の伊織は自由に動き回っていたため、拘束されていなくとも逃げる可能性は低く、南京錠をかける意味はあまりない。
⇒屠殺用の部屋?

▲なぜ伊織を切り刻む時は扉を開けていた?3人の誰かに見せるつもりだった?
⇒「あの人も見たかしら?」と志保が言うように、志保視点では歌織に見られたかは不確定。この時点で既に千鶴から殺すように命令を受けていた?(前述の「最後の日」という殺害指示に関係?)

志保「見たからといって全てを理解出来るとは限らないけれど」
▲この直後に殺すのになぜこのセリフを?何かに気づけば見逃してもらえた?
⇒理由も知らずに死んでいく歌織たちに対するただの嘆き?

志保「あなたも大人しくしていれば生き残れたかもしれないのに。私のように」
▲伊織は千鶴にとって簡単に代えが利く存在。
⇒伊織は実娘ではなさそう。
⇒伊織が殺されたきっかけは裏庭の墓。茜が娘として伊織より相応しいから伊織が殺されたのではなく、伊織に原因があった。
⇒千鶴は何のために娘を側に置く?後継者として育てたい?

▲志保も伊織と同じような経緯で島に辿り着き、千鶴に躾けられた?
⇒志保は他人に対して同情出来る感性がまだ残っている。恐怖により抑圧されているとはいえ、来訪者を簡単に殺せる能力があるのになぜ千鶴を殺して島から脱出しない?脱出を試みて失敗した経験があるとか?
⇒もしナイフ捌きなどを志保に教えたのが千鶴なら、千鶴は志保よりも戦闘慣れしている?

歌織「どうしてこんなところにぬかるみなんて?」
▲律子が吊るされていたのはなぜ?
⇒屋敷内で律子を殺したなら、屋敷からある程度離れた場所に死体をそのまま運んでいくのはかなりの手間では?
⇒律子は歌織たちと同じように屋敷からの逃亡中に志保に殺された?ならば日中は歌織たちに見つからないようどこかに死体を隠しておき、夜になってから吊るした?
⇒外に吊るしておくと野犬に荒らされてしまうのでは?内臓だけが必要だった?千鶴たちは内臓だけ食べているとか?
⇒伊織は屋敷内で切り刻まれたが、律子はそもそも切り刻まれていない(伊織の"切り刻まれた"がどの程度かにもよるが……)。人間の年齢によって食べる部位を変えている?

志保「ちゃんとしないと私がご主人様に叱られてしまうんです」
▲志保の声から察するに、叱られることに並々ならぬ恐怖を抱いているようだが、叱られた経験があるのでは?
⇒伊織は墓を作ったことで殺されたが、志保は殺されていない。自発的に何かをした場合は罰が重く、単なる不手際だった場合は罰が軽いとか?
⇒右目の眼帯は不手際を起こした時の罰?

茜「その手に持ってるの、何?」
▲歌織の死体?
⇒もし死体だったら茜のセリフは「それ、誰?」なのでは?そもそも志保くらいの女の子が成人女性を担いで来るのはかなり大変。
⇒志保が手に持ったものを投げると転がるような音がしている。
⇒死体ではなく頭部だけなのでは?

『誰ソ彼ノ淵~エピローグ』

デミグラスソースのシチュー
▲律子、エレナ、歌織のうちの誰か、または全員の肉が入っている。
⇒仲の良かった人間の肉を食べることが屋敷の娘となるルール?共犯関係を作り出して島から逃げにくくさせている?

▲なぜ茜が生き残った?
⇒4人の中で伊織に体型が最も近いのは茜か律子(伊織が153cm、40kg。茜が150cm、42kg。律子が156cm、43kg)。伊織と茜は年齢も近い。伊織や茜のような見た目の少女を娘にしたかった?
⇒あるいは茜が最も恐怖を抱いていたため、御しやすいと考えた?

その他

"誰ソ彼ノ淵"という語
▲"誰ソ彼"とは黄昏、すなわち逢魔が時のこと。"淵"は底の見えない深み。
⇒人でありながら殺人や食人を行うという、人の道理を外れた屋敷の者たちとその世界観を指すと思われる。

志保と千鶴の左目
▲志保の左目は眼帯、千鶴の左目はアクセサリーが着いている。志保の左目を千鶴に移植したとか?
⇒志保の瞳の色と千鶴の瞳の色は異なるので移植はしていない。
⇒志保の眼帯は怪我や罰などが考えられるが、千鶴のアクセサリーの意味は全くわからない(あれどうやって顔に装着してるんだろう……)。

シナリオライター
▲シナリオの青木朋子氏は『昏き星、遠い月』のシナリオも担当。
⇒どちらも千鶴と伊織が近しい関係として登場。『クルリウタ』と何か関係がある?
⇒仮に千鶴がバンパイア化したアレクサンドラだとして、今回食人はしているが吸血はしていないので関係なさそう。


『クルリウタ』の歌詞について

(歌詞の繰り返し部分は一部省略。[]内は声が小さくて聴き取りにくいがおそらく全員での歌唱)

延々 繰るり 怨 狂り
延々 繰るり 怨 狂り狂りよ

⇒全員での歌唱パート。
⇒"延々 繰るり"は物語のループを示唆している?茜が『誰ソ彼ノ淵~夢』で見た夢は前のループでの出来事とか?
⇒茜が見た夢は、茜が屋敷の人間たちに抱いている恐怖や違和感が原因と考えても不自然ではないし、他にループしていることを示唆する描写も見当たらない。
⇒主人公の茜視点のループであれば始点と終点があるはずで、それぞれ可能性が高いのは"茜が島に漂着した時点"と"志保に茜が刺された時点"。
⇒メタ的だが、物語冒頭の船上での描写(『島』のパート)とエピローグがしっかり描かれてしまっているため、ループの説得力には欠ける気がする。屋敷における狂気と支配の繰り返しを指すと考えるのが妥当。
⇒"怨"は不満や不快感、復讐、"狂り"は"精神の平衡の喪失、異常"の意味。物語全体の雰囲気を指すと考えられる。

白い 細い 首に手を かけて
「違う」 惑う 本音(こえ)を消した

⇒前半が志保パート、後半が千鶴パート。
⇒志保と千鶴視点?
⇒殺したくないという葛藤を持ちながらも誰かを絞殺しようとしている?
⇒物語中では誰も絞殺されていない。殺人に慣れていない頃の志保と千鶴が初めて誰かを殺した時の描写?
⇒殺人はしてはないけないという良心を持つ自分に対して、良心を捨てさせる心理描写?

偽りながら 愛することが 人間(ひと)の正しさならば

⇒エレナパート。
⇒"偽りながら愛する"というワードはエレナの行動にそぐわない気がする。漂着した他の3人にも不適。
⇒同じく志保と千鶴、志保と伊織(娘の役柄)にも不適。伊織(娘の役柄)に対する千鶴の視点くらいしか思いつかない。

正常(つね)を纏わせて 隣で生きようか

⇒歌織パート。
⇒教師として生徒を教育して正していくことを指している?
⇒前パートの文脈を考慮すると、千鶴視点での伊織(娘の役柄)との関係性の話?千鶴が人間らしくいられるように伊織(娘の役柄)を側に置いているということ?

守るべきは この世の道理(ことわり)
それとも真心(しんじつ)か
[この夜の帳 切り裂いていくの]

⇒茜パート。
⇒茜視点で"この世の道理(ことわり)"=屋敷の人たちを同じ人間として信用するか、"真心(しんじつ)"=自らの恐怖心を優先するかで迷う描写?
⇒もしくは千鶴と志保視点での殺人や食人行為の葛藤の描写?
⇒"夜の帳を切り裂く"に関しては、不安を抱きながらも屋敷に入った茜の視点?

肌の裏で 蠢く痛みに 狂おう心
[蠢く痛み 繰るり 狂おう心]

⇒千鶴パート。
⇒"肌の裏で蠢く"は"内側から沸き上がって抑えられない"という感覚。
⇒千鶴視点での食人衝動?
⇒"痛み"と表現するあたり、まだ良心が残っている?

ご覧 また 人間(ひと)が人間(ひと)を 奪う
「違う」 惑う 本音(こえ)は消えた

⇒前半が千鶴パート、後半が志保パート。
⇒千鶴と志保視点?
⇒志保が人を殺す場面を千鶴が誰か(伊織?)に見せている?
⇒"「違う」 惑う 本音(こえ)は消えた"は物語中で志保が律子を殺す場面のようにも思えるが、"消した"ではなく"消えた"という表現は自動詞的なので志保視点で見た律子ではなく、志保の内面の表現と考えられる。
⇒志保の殺人への葛藤が消えて何も感じずに殺せるようになったということ?

赤く綻ぶ 狂気に触れて 伝染った この胸の中
甘く鮮やかに 過ち咲かすのか

⇒前半が茜パート、後半がエレナパート。
⇒"伝染った"とあるが、ドラマの中で茜とエレナが狂気を持った描写はない。
⇒登場人物の中で狂気を持ち、"甘く鮮やかな過ちを咲かす"=殺人または食人を行うのは千鶴と志保。だが、千鶴と志保は物語前から既に狂気を持っているため、"伝染った"という描写はない。志保は自身の感情を排して殺人を行っており、"伝染った"というよりは"無理やりやらされている"に近いのであまり合っていない気がする。
⇒"過ち"が殺人のことか食人のことかはわからないが、それを"甘く鮮やか"と感じられるのは自ら望んでいる千鶴しかいないはず。昔の千鶴が誰かに影響されて狂気に染まった時の描写?

殺めるべきは 愛しいぬくもり
それとも欲望(くうふく)か
[愛しき蕾 触れさせはしないの]

⇒歌織パート。
⇒"欲望(くうふく)"=食人嗜好は千鶴にしかないので千鶴視点とするのが妥当。
⇒"愛しいぬくもり"は伊織(娘の役柄)?前述のパートで"偽りながら愛する"対象が伊織であれば伊織の可能性が高い。
⇒触れさせず守る対象である"愛しき蕾"は歌織視点での茜とエレナ。それを考慮すると"愛しいぬくもり"は漂着した4人、ひいては"食人をしない人間"のことを指している?
⇒千鶴視点で4人を生かすか、食人のために殺すかを迷っている?

今を明日を 全てが欲しいと 滴る心
[全てが欲しい 狂り 滴る心]

⇒志保パート。
⇒4人の命を含む島の全てを手中に収めようとする千鶴の視点が妥当。

儚く美しく 愛を 陰ることない永遠を
貴方とたった一つの 哀を ひと躰(ところ)へと

⇒歌織、エレナ、千鶴、志保の順で歌うパート。
⇒殺めた命を己に取り込む食人描写。
⇒"貴方とたった一つの 哀を ひと躰(ところ)へと"は"貴方と私が2人一緒に愛と永遠と哀を食べる"ということ?
⇒"貴方"とは誰のこと?物語のエピローグで千鶴は茜のことを"あなた"と読んでいるが関係ある(娘の役柄を指している)?もしくは肉となる人間のこと?

守るべきは この世の道理(ことわり)
それとも真心(しんじつ)か

⇒茜パート。
⇒茜視点で"この世の道理(ことわり)"=人肉入りの"デミグラスソースのシチュー"を食べるという屋敷のルールに従うか、"真心(しんじつ)"=自らの道徳心を固持するかで迷う描写?
⇒もしくは前述と同じく千鶴と志保視点での殺人や食人行為の葛藤描写の繰り返し?

救い願う ふたつの瞳に 狂おわせ

⇒エレナパート。
⇒千鶴視点での茜の表情観察。
⇒"狂おわせ"="狂おう"と"狂わせ"を組み合わせた造語?
⇒「私もあなたも狂ってしまうでしょう?」みたいな意味?

響く悲鳴(こえ)は 嘆きの始まり それとも祝福か
[嘆きの光 抱きしめていくの]
繰り返される 宿命(さだめ)は愚かに 夜に堕ちてく
[宿命(さだめ)愚かに 狂り 夜に堕ちてく]

⇒全員での歌唱パート。
⇒茜が食人行為を受け入れることが出来ればそれは悦楽となり、受け入れることが出来なければそれは苦痛となる。物語の余韻。

雑感

ここまで色々と考察を書いてきましたが、決め手に欠ける部分が多く、全体的にまとまりのない結果となってしまいました。これ以上深追いすると妄想の域に踏み込んでしまうため、今回は踏み留まることとします。

今後、公式から設定資料等が公開されるかはわかりませんが、こうして考察するのもとても面白いですし、CDを聴いた方々がどのように解釈したかを二次創作などでも読んでみたいですね。

考察を抜きにしてドラマを振り返ってみると、ホラーにありがちな大きな音を出す場面やスプラッタな描写を最小限に抑え、登場人物たちのセリフでじっくりと恐怖を掻き立てるという"サスペンスホラー"のテーマに相応しい演出と内容でした。

どの登場人物も鬼気迫る素晴らしい演技でしたが、個人的に注目したのは歌織と千鶴でしょうか。教師という立場で落ち着いた振る舞いをした歌織と、巧みな話術と艶やかな演技で悪役をこなした千鶴の2人がいたことで恐怖がより引き立ったのだと思います。

ところでご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、食人行為は個人の嗜好以外にも社会・文化的に意味を持つ場合があります。ドラマ『誰ソ彼ノ淵』において、千鶴がどのような目的で食人を行っていたかは終に明かされませんでしたが、歴史上、食した部位の治癒や強化のため、あるいは食された人の魂を受け継ぐために食人を行った民族もいたそうです。

平和な日常を生きる私たちが食人行為を「あり得ない」として突き放すのは自然なことですが、たとえば日本では1980年代に、外国では2000年代に入ってからも食人が行われた事件が発生しています。

また、日本においては警察が捜索しても行方の掴めない失踪者が毎年数百人〜数千人ほど出ています。ひょっとしてその中には食人目的で誘拐された人がいるのでは……と思ってしまうのは私だけでしょうか?

危険は私たちの日常からそう遠くないところに潜んでいるかもしれません。

怪物に魅入られぬよう、どうかお気をつけください。


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