【短編小説】甘党戦隊キャラメルマン!【みんなで笑おう】
まえがき
こんにちは、紺野うみです。
私は、ライターと巫女とを兼業している物書きなので、人様のお役に立つためには、やっぱり「書くこと」で何か少しでも……と思っています。
新型コロナウイルスで、これまで日常に存在していた「楽しみ」が減り、気持ちが鬱々としてしまう人が多いはず。
それなのに、毎日不安と闘いながら、体も心も気遣っていかなきゃいけない……。
そんな時に必要なことと言ったら、やっぱり「明るい気持ち」や「笑うこと」だと思うんです。
今は、口を開けば「怖いね」「心配だよね」「不安だな」「どうなるんだろう」という話題が多いはず。
そんな時だからこそ、なにか面白いものに触れてほしい。
そこで、私でも何かちょっとした笑いを提供できないかな……と探しまして。
ふと、5年前に書いた短編小説の存在を思い出しました。
これは、まだ私が書くことを生業にしようとは思っていなかった時代、趣味で短編小説コンテストに応募したときの作品です。
森永製菓さんの森永ミルクキャラメルのキャンペーンで、当時『日常を彩る一粒のキャラメルストーリーコンテスト』というテーマで、原稿用紙3枚分の短編を募集してまして。笑
それを見つけて、ふざけて書いた小説です。
手持ちのギャグ的な作品がこれくらいしかなくて恐縮ですが、よかったらひと笑いしていってください。(ちょっとだけ加筆修正しました。笑)
ちなみに……この当時の森永ミルクキャラメルの味は、ミルクキャラメル(プレーン)・あずき・ココナッツミルクの3種類でした。
それを前提に、読んでください。笑
【本編】甘党戦隊キャラメルマン!
キャラメルマンは焦っていた。
我々「甘党戦隊」は文字通り、地球の甘いお菓子を悪の組織であるところの激辛星人たちから守るため、こうして日夜戦っているわけである。
しかし、たとえ正義の味方であるからといって、この力を永遠に保てるわけもない。我々がキャラメルマンとして悪と戦えるのは、口の中にキャラメルがある限り、なのである。
ところがどうだろう!
キャラメルマンたちは今、史上最大のピンチを迎えていた。
「ごめんなさいミル男、あず男! 私のキャラメルもここまでのようだわ……」
そう言って、キャラメルマンの紅一点であるココナッツミルク味のココ美が、地面にドッと倒れ伏した。
リーダーである私、ミルク味担当のミル男、あずき味担当のあず男は慌てて駆け寄り彼女を抱き起こしたが、無駄だった。ココ美の口から、既にキャラメルは欠片も失われている。
駄目だ、ココ美はもう戦えない……。二人は肩を落とした。
「まずい、私のキャラメルもあと一粒だ!」
あず男も手元の箱を確認して焦ったように言い、我々がすぐにでもキャラメルを補充しなければならないのは、誰の目にも明らかであった。
圧倒的キャラメル不足……!
しかし、目の前に立ちふさがった何人かの激辛星人に、このまま太刀打ちできるだろうか……。
「ぬはは! 補充など、そう簡単に見つかるかなぁ? キャラメルなんぞ、ここら一帯の店からはとっくに我々が買い占めてあるというのに」
「くっ、なんて汚い……!」
遠くで、子どもの泣き声が響いた。誰かがお菓子を盗られて泣いているのだ。
助けねば……しかし、先にキャラメルの補充がいる! 今すぐ、コンビニかスーパーを探す必要があった。
その時、あず男は意を決したように低く囁いた。
「ここは任せろ! お前は、新しいキャラメルを探して走るんだ!」
手負いの仲間たちを戦いの渦中に置き去りにするなど、後ろ髪が引かれる思いだ。しかし、行かねばなるまい。
「……よし分かった!」
あず男ぉぉぉ、ココ美ィィィ、待ってろ! 私は走り出した。
手当たり次第に店に入り、私はキャラメルを探した。しかし、全員分の味がそろう店が無いではないか!
気持ちばかりが急く。
慌てるあまり「無いッ!」と叫んだ拍子に、口から補充したてのキャラメルがこぼれてしまった時は、たまらず己を恥じた。
こうしている間にも仲間が、子どもたちが、地球上の甘いお菓子が悪に蹂躙されているというのに。私は何をしているのだ!
そしてついに飛び込んだ一軒のコンビニで、私は奇跡的に三種の味を見つけるのだった。
プレーン! あずき! ココナッツミルク!
三色の箱を掴み、レジへ駆け込む!
「これ下さいぃぃぃ! 早くッ!」
全力で叫ぶ私から三色の小箱を受け取り、店員は淡々と頷いた。
「あハイ。三点お預かりしまーす」
急げ店員! 地球の命運は今、君の手にゆだねられているのだ!
終
あとがき
戦隊ヒーローの生真面目さと、すべてに全力投球な様子は、いつの時代だって愛しいですよね、なんか。
物事を斜めから見ないと生きていけない世の中になっちゃったけど、こういう愛おしさは無くなってほしくないな……。笑
今の私たちも、全人類的にコロナVSの戦隊だよね。
一人ひとりが、ヒーロー的な行動をして、愛しい地球の皆を守っていきたいです。
でも、まずはあなた自身が「笑顔」を忘れずにね!
紺野うみ