【有料級】弁護士なしで財産分与の金額計算を自力でやる方法
婚離宮(kon-no-rikyu)です。
今回の記事では、弁護士をつけずに、離婚時の財産分与の評価額を計算した実体験をご紹介したいと思います。
この記事では、主にこんな方におすすめです。
(当てはまる数が多ければ、多いほどより参考になるかと思います。)
「離婚」や「財産分与」などのワードで検索して出てくる記事は、「弁護士にご相談ください」という営業文言があり、あまり信用できない
実際に弁護士費用が高いから、弁護士をつけずに財産分与を進めたい
財産分与の金額の計算をどのように進めたかを知りたい
数年前に結婚したが、現在は離婚しそう
この記事を書いている婚離宮(一人称:離宮)は弁護士ではありませんが、離宮自身が、別居&調停離婚を弁護士をつけずに経験した離婚にちょっと詳しい一般人です。
離宮の実体験をベースに弁護士の人も教えてくれないようなテクニック含めて、ご紹介したいと思います。
離宮のことをより詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
離宮の記事では、実体験以外の法律的な知識は、弁護士さんが書いたソースを明記し、分かりやすく、かつ正しい情報をお伝えするよう心がけています。
また、財産分与の基礎的なことが知りたいという方は、基礎部分のみを以下の記事にまとめておりますので、こちらをご参照ください。
0. (前座)離宮の別居と離婚について
離宮の別居及び離婚の概要は以下のとおりです。
今後の話の前座となりますので、「なるほど。こんなもんか」程度に読み飛ばしてください。
家族構成(別居〜離婚時)
・離宮、前妻、前妻との子(未就学児)×2人 の 計:4人家族
職業(別居〜離婚時)
・離宮:サラリーマン
・前妻:専業主婦
婚姻から別居までの期間
・約3年
別居
・夫婦喧嘩後、しばらく離宮が家出→帰宅時に前妻より別居を言い渡され、別居生活がスタート = 財産分与の準備(※下記参照)は何もできていなかった
離婚
・最初は協議離婚をしていましたが、前妻より離婚調停を申し立てられ、2回の調停の末、調停離婚
・親権/養育費/財産分与などの条件の協議にあたり、弁護士はつけず
(1回だけ、スポットの相談を行ったのみ)
※ 0-1. (参考)別居時にしておきたい財産分与の準備について
別居と財産分与は密接に関係しています!
財産分与の準備については、下記の記事を参照してください。
(下記、記事は主に夫婦で所得を多く稼いでいる側の方向けに書いています。そのうち、所得が少ない方向けにも執筆しますのでお待ちください。)
1. 金融資産の分与
1-1. 別居時の金融機関口座の保有状況や情報の把握について
別居当時、金融機関の各口座に関しては、下記のような状況でした。
預貯金(=銀行口座)
・共有口座(家族用口座)はなし
・夫婦双方の個人口座あり、前妻の口座情報は不明
(離宮分は、知られていた可能性あり?)
・子供名義の口座あり、口座情報は既知
証券口座
・夫婦双方の個人口座あり、前妻の口座情報は不明
(こちらも離宮分は、知られていた可能性あり)
・子供名義の口座あり(ジュニアNISA用)、口座情報は既知
別居を突然告げられたため、十分に準備できていなかったこともあり、前妻側の口座情報は一切不明でした。
一方、離宮は、クレジットや各種口座の情報をまとめて夫婦双方の手の届く位置に置いてしまっていたので、離宮の口座情報は全て控えられているリスクがある状態でした。
普段から妻の手が届かないように管理しておくべきだったと深く反省したことを今でも鮮明に覚えています。
1-2. 金融資産の財産分与対象額の算出(離宮本人分)
財産分与の対象額の離宮本人分の計算は以下のように行いました
預貯金 = 別居日の残高 - 婚姻前日の残高
証券口座 = 調停当日時点の評価額 - 婚姻前日の評価額
上記の算出に役に立ったのが、"Money Forward"でした。
月500円程度かかってしまうのですが、有料プランに入っていたので、以下のような感じである日時点の金額が分かりやすく出ていました。
Webでも見られるので、調停などではWeb画面を印刷するのが良いかと思います。(離宮の調停では口頭ベースで進んだのですが、調停委員によっては、証拠の提示を求められるので、調停時は印刷推奨です)
(補足)Money Forward の活用について
・無料プランだと上記は見られないので、弁護士に頼むよりは安いと思って、プレミアムサービスを使うことを推奨します。
・連携したタイミングによっては綺麗に出ないこともありますので、基本的には長く使っている方に特におすすめです。ただし、プレミアムサービスは無料体験ができたはずなので、見え方を確認したい場合は、無料でプレミアムサービスを体験してみると良いかと思います。
(※アフィリエイトじゃないので、引用以外のリンクは貼りません)
・正直、類似のサービスでもいいかと思うので、使いやすいサービスを選んでください。繰り返しになりますが、長く使っているものが良いです。
1-3. 金融資産の財産分与対象額の算出(前妻&子供分)
口座情報が全てバレている一方で、相手の口座情報がわからなかったため、財産隠しのリスクが大いにあったので、相手から聞き出す必要がありました。
協議離婚中は、双方の金融資産情報を申告するための、Google スプレッドシートを作り、見本として自分の情報を埋めた上で、返信を求めました。
口座を持っている銀行名・口座名(口座番号はあえて書かないようにした)
口座ごとのおおよその残高または評価額
残念ながら、上記の返信はありませんでした。
結局、調停時に口頭ベースで「子供の分も合わせていくら」と申告されるにとどまりました。
とはいえ、財産隠しを覚悟していたのですが、それに比べると案外多い金額(3桁万円程度)を申告してくれたため、通帳の明細等の提示は求めず、申告ベースの金額を元に分与としました。
2. 不動産の分与
2-1. 別居時の不動産の保有及び査定状況
持ち家(一軒家)
売却見積等は未経験 = 夫婦ともに金額感はわからず
物件の情報は全て離宮が管理 = 前妻からは情報のアクセスができない
振り返ると、前妻から情報がアクセスがされない環境だったことは、非常にラッキーでした。
理由としては、売却見積を複数取った末に、こちらの都合がいい情報だけをスクリーニングして提示できたからです。
次のセクションで、実際にどのように査定を取り、評価額を計算したかをご紹介します。
2-2. 売価査定・評価額の算出
評価額の論拠として、以下の2つの情報が必要だと考えていました。
見積をした会社名(もちろん、不動産会社の)
見積金額
ただ、変に査定依頼を出してしまうと"しつこい営業"を受けるリスクがあったため、LIFULL HOME'Sの匿名査定を使うことにしました。
金額の幅には若干レンジが出てしまいますが、電話営業を受けずに概算金額ベースで見積もりが複数社からもらえるため、都合の良い見積を提示してくれる会社が3社程度来るまで査定募集をかけました。
2-3. (参考)査定時の都合の良い見積もり
一般的に不動産の財産分与額は、不動産を売った場合の"想定手残り金"を1/2した金額で算出します。
この"想定手残り金"は、 「売価 - 諸費用 - ローン残高」で求められます。
想定手残り金がマイナス、つまり、家を売ってもローンが返済しきれない(通称:オーバーローン)時は財産分与の対象から外すのが一般的です。
負債を分けるんじゃないんだ…って感じですが。。。
一方、諸費用の中で一番金額ウェイトが大きいのは、"仲介手数料"で、「売価 × 3% + 6万円」が一般的にかかります。
例えば、売価3,000万円の場合、3,000万円 × 3% + 6万円 = 90万円 + 6万円 = 96万円がかかるわけです。
そのほか、登記などで数万円はかかるので、上記の例の場合、諸費用は100万円ぐらいと言えるわけです。
具体的な諸費用については、下記のサイトが参考になります。
つまり、都合の良い見積もりとは、オーバーローンすなわち
「見積価格 - 諸費用 < ローン残高」
となる見積もりなので、諸費用 = 売価 ×3% + 10万円 と仮定すると、
「見積価格 × 97% - 10万円 < ローン残高」
になれば良い計算となります。
この数値を基準にして見積もりを集めていきましょう。
また、調停等で都合がいい見積もりを持ってきたと疑われないようにするため、3社以上のデータがあると説得力が増すかと思います。
2-4. 離婚調停での主張
離宮は上記の結果、3社から都合がいい見積もりを取れたので、調停の場で
概算見積ベースで3社から売価の見積もりをとっている
いずれも仲介手数料の諸経費も考慮すると、ローンの残債が生じるものだったため、財産分与の対象から外す計算になると想定している
見積もりについてはWeb画面の印刷ベースで提示可能である
という内容を伝えて、見事証拠の提示もなく、主張が通りました。
3. その他の資産の分与
3-1. 別居時のその他資産の保有状況
車
・未保有(厳密に言えば、電動自転車1台、購入から3年程度経過)
宝石類
・婚約指輪/結婚指輪のみ(購入時で総計50万円程度、notハイブランド)
家電
・3-4年前時点の最新家電が当時の購入額で100万円以上
(エアコン/テレビ/冷蔵庫/洗濯機など)
年金/退職金
・サラリーマンのため、厚生年金の支払いあり
・退職金制度あり
3-2. 電動自転車・家電の評価額の計算
協議離婚時の時点で、電動自転車や家電については、下記の要領でExcel(Googleスプレッドシート)を作り、前妻に証拠のURL付きで送っていま
電動自転車含む家電のリストを作成
わかる範囲でWebベースで査定価格を記載
→ ほぼ売価がつかないことを主張
Webベースの価格の査定は、下記のヤマダ電機のサイトが簡単でした。
上記で出ないものは、色々と調べてわかる範囲で記入しました。
(が、元ファイル自体を誤って削除してしまったので、どう調べたかを思い出せず。。。)
かなり骨が折れる作業でしたが、のちの結果としてはやって損はなかった印象です。
弁護士さんとの相談の時に、上記の分与について聞きましたが、一般的には現物をどちらが保有するかを決め、金銭的なやり取りはしないのだそうです。
3-3. その他資産の調停での分与ロジック
上記の甲斐もあり離婚調停では、その他資産に関しては全て財産分与対象外とすることで決まりました。
車(電動自転車)/家電
→ 協議離婚の段階で出している資料をベースに、金額として小さいため、財産分与対象外とする年金/退職金
→ 結婚期間があまり長くないため、金額としては誤差の範囲とも言えるため、前妻より対象外で良いとの回答あり
3-4. (参考)年金分割
今回、離宮は年金については財産分与対象外となりましたが、
厳密には、年金は、"年金分割"と通称される財産分与の考え方があります。
簡単に説明すると、下記の図のように"厚生年金"と呼ばれるいわゆる"2階建て"部分のみを按分します。
下記の例でいう夫の分の国民年金や企業が独自に入っている確定給付・確定拠出年金や個人年金などは対象になりません。
4. "解決金"による上乗せ
これらの結果、金融資産の双方の申告ベースの金額を足して、均等割した"財産分与としての金額"となりました。
が、前妻側の要求により、財産分与額に100万円上乗せした"解決金"込みの財産分与としてお支払いしました。
"解決金"とは、一方に離婚原因が明確にある場合に使われる"慰謝料"とは違い、明確な離婚原因があるとまではいえないが、離婚に応じる上で小さな種々の問題を清算する名目で支払うお金のことです。
下記の記事に、慰謝料と合わせて詳しく書いてますので、よければご参照ください。
離宮としては、そもそも財産隠しにより、妻と子供の金融資産の額を100万円未満と過小申告されることを覚悟していたので、解決金を含めても想定より大きな出費ではありませんでした。
(審判離婚になれば、解決金を払う必要もなかったかと思うと、焦らず駄々をこねれば良かったかもしれませんが)
そのため、長期化による婚姻費用での出費を防ぐと言う意味でも、争うことはせず、解決金を支払うことで合意することにしました。
5. 調停の合意と解決金込み財産分与の支払い
財産分与のほか、親権や養育費などの議論もまとまると、程なくして調停が合意になりました。
調停の調書にも明記されたのですが、解決金込みの財産分与は、翌月末期限で現金一括で支払いでした。
分割できるかも調停委員と交渉してみたのですが、一括しかやっていない。
期限を多少伸ばすことはできるが、当月末を翌月末に伸ばす程度と言われました。
幸い、現金はあったので、離宮は一両日中に振り込みました。
が、離婚が成立するまではある程度現金を用意できるようにしておいた方が良さそうです。
6. 終わりに
今回はまとめを記載しずらかったので、割愛しました。
長文になりましたが、ご覧いただきありがとうございました。
よければ、スキなどをいただけると励みになります。
その他離婚に関する記事なども書いていきますので、フォローもぜひお願いします。
離宮向けに個別に質問等ございましたら、コメント等頂けますと幸いです。
コメントに書きづらいご相談等ございましたら、離宮のツイッターアカウントへDMいただくか、下記のマシュマロに投稿してください。
※サラリーマンなので平日は業務に勤しんでおり、返信が遅れることが多々ございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?