本と子ども
「日常の編集」というマガジンを始めます。
書かないと考えられません。でも最近書いているものと言えば仕事に直結するメールばかりで、ちょっと窮屈になりました。40過ぎてあと半分も生きられない直感があるので、自由に書きたいことを書く場所にします。
わたしにとっての編集のおもしろさというか生きてることのおもしろさは「異質なもののあいだに接点を発見する」ところにあります。本の企画がそうですし、人との出会いもそうですし、ダジャレもそうです。なので、そういう視点で書いていきます。
まあ、エッセイです。たまに本とか映画の話もします。aikoの話も書くと思います。会社員なので直接的な仕事のスキルとかは書きません。そういうことは特に書きたくもありません。
月2回は更新します。おもしろいかもしれないと思えたら購読してください。喜びます。
さて、初回のテーマは「本と子ども」です。
わたしは書籍編集者でありつつ、2人の子どもの父親です。子どものいる生活をしながら本を作っていると、本と子どもが似ていることに気づきました。
書店に星の数ほど並んでいる本がどのような思いで作られているか、1つのサンプルとして読んでください。
共通点① 好きな人としか作れない
いや作れます。いきなりすいません。ただ、わたしは不可能です。
編集者には、大きく分けて「テーマから企画を立てるタイプ」と「人から企画を立てるタイプ」がいます。わたしは完全に後者です。
テーマから企画を立てるタイプの編集者は、そのテーマに適した著者を探します。著者の性格に難があったり友達にはなれないタイプであったとしても、割り切れます。目的はいい本や売れる本を作ることですから。仕事ですので。「猛獣使い」などと呼ばれる編集者もいます。
マジで尊敬します。そういう編集者たちが出版業界を支えています。わたしもそうあれたらいいなと思ったこともありましたが、ダメでした。著者を好きになれない限り本作れません。わたしは「本が作りたい」のではなく、「この人と本が作りたい」だけなんです。
まずここが、子どもと似ていました。
人生いろいろ、親子もいろいろですが、わたしは「誰とでもいいから子どもがほしかった」わけではありません。昔から子どもがほしかったわけでも、子育てしたかったわけでも、エリートに育てて世界に羽ばたかせたいとか焼石に水でも日本の人口減を食い止めなければとか今野家の血を絶やしてはならぬとかの使命感も薄い人間です。ただ、「この人との間に子どもがいたら楽しそうだな」と思ったのち、幸運にも授かったのです。
そういう子どもを見ていて、「あ、これ本と同じかも」と思いました。印刷所や製本所とのつながりがあって出版機能を持っているのはこっちですから、生物学的な比喩で言えば編集者のほうが「女性」側の位置にあります。「わたしといっしょに本を作りませんか」という依頼は「わたしと子どもを作りませんか」と言うに等しい。見ず知らずのジェイソン・ステイサムだかブルース・ウィリスだか錦鯉の長谷川さんみたいなエイリアンからいきなり「子どもを作りませんか」と言われたのがわたしの担当著者の皆様です。重いですね。本は重いんです。
さて、炎上しそうな話題になってきたのでそろそろ有料に切り替えます。
そうなのです。
驚くべきことに!
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