幸福度が下がった、と思ったけどやっぱり幸せだった。〜上達・向上する人が持っているメンタリティ〜
癌になって自分の中で変わったこと。
それは
『幸せ』を感じることが明らかに増えた事です。
『幸福感が上がった事』に関して
(病気をしたのにおかしな事かもしれませんが)
良かったことは自分の中での
『今』と言う時間に対しての
『幸福感』が断然強くなったことだと
思っています。
このnoteにも度々書かせてもらっていますが、
今になって思えば
このような状態に自分がなっているのは
『癌になったことよりも特別』だと感じています。
まず最初は
『極を知る』でも書いたように
真剣に『死』について、
『自分が死ぬこと、死んだ後のこと』
を考えました。
そんなことを思いながらも
逆に!
『今』という時間が
とても愛おしく感じられるようになりました。
特別なことをしている時間ではなく、
家族と普通に過ごしている時間は勿論のこと、
1人で食事をしている時間でさえも
『美しさ』というか、
『健やか』というか、
そんな事を感じられるようになりました。
このあまりにも唐突で
大きな心情の変化に自分自身も驚きましたが、
それと同時に
『この感覚が消えないでほしい』
と願うようにもなりました。
そんな特別な感覚うまれた事と
その感覚が『無くならないでほしい!』
という恐怖、というか心配?
を少しだけ心に抱えて毎日を過ごしていました。
そんなある日に、
思っていた恐怖が実現してしまった。
というのでしょうか?
何も感じなくなった訳では無いのですが、
今まで感じていた
『特別感』が薄くなっているように
感じ始めました。
つまり
『慣れ』が生まれてしまったんです。
今までの経験上、
何かを向上させる中で『慣れ』は
危険な感覚だと思っています。
現役の頃の話になります。
20代中盤くらいの時の話です。
その時は
年間6〜7試合のスケジュールで
2〜3年行っていた時期があります。
その時の感覚としては一年のうちに
350日位練習をしていて
試合をした後に
すぐに次の試合の準備をする。
という感覚で、
ほぼキックボクシングをする一年を
過ごしていました!
今、振り返っても
この時にキャリアを積み重ねられたこと、
それに伴って
いろいろな経験と感情を味わえたことは
自分の人生でも大きな出来事だったと
思っています。
そんなスケジュール感で行っていた
キックボクシングですが、
この期間に
自分の人生で大きなテーマとなっている事を
考えさせられるようになりました。
現在でも人生の中でテーマにしている物
それは『バランス』です。
この時はどんな『バランス』を
考えさせられたか?
というと『生活』とのバランスです。
『生活=仕事』とのバランスを
考えさせられる出来事がありました。
『プロキックボクサー』と言っても
この職業だけで生活できるか?
と言われれば、
『格闘家(少し業界を広げて)』という
職業で生活をできている人は
ほんの一握りです。
自分は最終的なキャリアとして
『日本王者』という肩書きを持っていましたが、
『生活』なんて出来るわけがないくらいの
収入にしか得ることは出来ていませんでした。
『格闘家』の収入として主になるものが
ファイトマネーになるのですが。
先ほども書いた通り
年間で行える試合数は限られています。
そしてそのファイトマネーは
数万円というところがほとんどです。
(キャリアによって価格は変わりますが
戦績が浅いとこのくらいです)
そうなると『生活』をするには全然足りません。
そうなってくると生活を成り立たせる為の
『仕事』としては成立していない。
という事が
『プロ格闘家』の現状です。
そういった状況なので、
ほとんどの選手が他に仕事やアルバイトを
などをしながら
選手活動を続けています。
自分自身も23歳でプロでデビューしてから
10年近くは
正社員として働きながら
『格闘家と正社員』という2足の草鞋の形で
生活をしていました。
『格闘家=アスリート』って大変なんだね。
と思ってもらうことも多いのですが、
この状態も考え方によっては、
(人生においてのバランスを考えると)
実はそんなに悪い状態ではないと思っています。
話の内容が脱線しまくっていますが、
人生において大切な『バランス』の中で
『やりたい事とやらなきゃいけない事』の
バランスが大切だと思っています。
『やりたいこと』とは自分の人生において
お金とか、そういう事を別にしても、
実現したいこと、
というか自分の人生を満足、充実させる物。
人生を通して成し遂げたい事
というんでしょうか?
そういった事が
『やりたい事』というカテゴリーに入ると
思っています。
それが自分にとっては
『キックボクシング』でした。
では
『やらなきゃいけないこと』とは何になるのか?
それは
『生活、仕事』のように
生きていくために
必要な要素の事だと思っています。
そしてこの、
か
『やりたい事とやらなきゃいけない事』のバランスが人生においては
とても重要だと考えていますし、
この2つのバランスが取れている事が
自分の人生の充実度を決めるもの。
だと思って現在も生活をしています。
先ほどの年間6〜7試合していた時に、
ちょうど、
この2つのバランスの中の
『やらなきゃいけない事』(仕事・生活)の
バランスを崩していました。
その中で
『やりたいこと=キックボクシング』
(自分にとっては)
だったはずの物に集中しきれていない
状況になってしまい。
1試合に賭ける想いや
試合に対する集中力というか
試合に向けた準備段階からの集中力。
を欠くようになってしまいました。
そんな状態のある時の試合で
前評判で格下と
呼ばれる相手に負けてしまいました。
こうなってしまった
原因として考えられることが、
『やりたい事とやらなきゃいけない事』の
バランスを崩してしまった事、
(やらなきゃいけない事に意識が行きすぎて、
やりたい事に向ける意識やエネルギーや集中力が
なくなっていた。)
一番大きかったことが
自分の中で試合感覚や
試合に向けての準備に対する日常、
『格闘家』としての暮らし方に
『慣れ』が生じてしまい、
『こなす』というような感覚で
試合や試合に対する準備を行ってしまい、
1試合1試合の重要性やキックボクシング
に対しての『好き』という気持ちが
薄れていたことが大きな原因だったと
思っています。
この時は
今、振り返ってみると
本来
『やりたい事』だったはずのキックボクシングが
『慣れ』という感覚から
『やらなきゃいけない事』に
なってしまったように感じています。
『やりたい事』として
一番重要な『想いや目指すもの』が
薄れていたと思います。
こんな経験から、
『慣れ』という感覚の怖さを感じるように
なりました。
そんな『慣れ』の怖さを感じる中で、
キックボクシングを通して
『強くなる人』
『結果を出し続ける人』
とはどういった人か?
ということも学びました。
自分が所属していたジムの先輩に
『蘇我英樹』という方がいて
最終的に保持していたタイトルが
世界チャンピオンという肩書を
持っていた方がおり、
その方は『名勝負製造機』と呼ばれて、
3階級制覇、日本、アジア、世界のベルトと
タイトルを5本持っていた方でした。
その先輩と住んでいた家も近く、
ジムでもプライベートでも一緒に
練習などをさせてもらったりと、
公私共に
とても良くして頂いた先輩です。
蘇我さんの試合は
『名勝負製造機』というニックネームにも
あるように
見ている人が熱くなる試合を見せてくれる
『プロフェッショナル』を体現するような方です。
そんな方なので
試合の依頼も多いですし、
年間のスケジュールは
かなりタイトな物だったと思います、
そんな中でも一緒に練習をしていて、
蘇我さんが
先ほどの自分のように練習中などに
気が抜けている、
というか、
集中しけれていない。
というような状態だったことは見たことが
ありませんでした。
いつも同じように全力で練習を行い、
毎日自分が強くなっていくのを
楽しんでいるように練習をしていました。
そんな姿を見ながら、
自分自身と比較して感じたことがありました。
そして、
その時に感じた違いが
『強くなる人』
『結果を出し続ける人』
の条件である事を認識しました。
蘇我さんの練習の中で特に印象に残っているのは
毎回激闘をして、
少し休んだ後に練習を再開します。
勿論、基本的には試合が終わった後は
次の試合や次の対戦相手などが決まっていない
ことがほとんどです。
そういった時の練習でも
試合前と同じように
『試合に勝つ為に』
『自分の目標を掴む為に』
『自分の成長を楽しむ為に』
楽しそうに生き生きと練習をしているように
見えていました。
そういった事を思い返して
先程の自分の状態と比べて考えると
『強くなる人』
『結果を出し続ける人』は
何かに取り組む時に
『いつも新鮮に物事の取り組んでいる』
ということを感じました。
『いつも新鮮に物事の取り組んでいる』
という事は『慣れ』とは真逆の感覚だと思います。
どんなに自分が上達しても
『いつも新鮮に物事の取り組んでいる』
とい気持ちがあると
実力(現状)はどんどん向上していきます。
そうするとさらに良い結果を生んで、
良いスパイラルは止まる事なく
どんどん良い方向に向かっていきます。
そんな事を
自分が病気になって思い出しましたし、
フッとした時に『幸せだ!』と感じるので
現役の時に感じていたような現状には
『慣れ』のような
自分はなっていない事を
自覚できていますし、
『慣れ』からくる
負の連鎖の毎日に陥るのではなく、
毎日自分の体と新しく向き合い、
毎日新しい感覚で自分を見る毎日を過ごして、
自分自身を向上していきたいと感じました。
押忍。