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フリーランスになりたい人と職業訓練の話



はじめに

今年の3月、これまでつとめていた公立大学の事務を退職した。
臨時職員の契約期間満了のためだ。
お勤めしている間、嘱託職員にさせてもらえるという話も出ていたが、いざ契約期間終了が近づくと嘱託職員の「しょ」の字もなく。
肩透かしを食らわされた私は特に職場への未練もなく、退職した。

就職氷河期ど真ん中世代、これまで様々な職を転々としている。
こんな流浪の民さながらの生き方を自分がするとは想像していなかった。しかし時代の流れなのか、私の飽きっぽさなのか、5~6年しか仕事が続いたことがない。そうこうしているうちに年齢ばかり重ね、新たな履歴書の職歴欄に書ききれないほどのキャリア。
キャリアといってもそのほとんどが契約社員やら、パートやら、派遣社員の経験なので、年齢に見合う職歴といっていいのかどうかわからない。
(ただ様々なことを経験しているおかげで、できることが浅く広い。)

新しい職場にまた働きに行くとして、新たな人間関係・新たな上司・新たなお局・新たな同期、そして新たに知り合う人のほとんどが年下になっていくであろう事実。
自分の知力体力は衰えるうえに、子供が成長する代わりに実親が入院しがちになったりする。そのたびに欠勤早退をすることになるだろう。新しい職場で理解を得るためには相応の時間もかかるだろう・・・。
簡単に想像がつく諸々を頭の中でぐるぐるすると、なんかもう「家で働きたいな!」と思うようになった。

ハローワークでeラーニングの講座があるというので、受講することにした。WEBマーケティングとWEBデザインが学べる講座だ。
そもそもWEBデザインの真似事はこれまでもしてきているので、学びへのハードルは私にとって低かった。
ハローワークのお墨付きのスクール(怪しくない)ところで、無料で正式に学べるとは行政様々だと思った。

さて、約半年。上記の講座を受講した。
すでに次の職も決まった。その話はまた別の機会にするとして
職業訓練を受講してわかったことや感じたことを記したい。


フリーランスになりたい人がたくさんいる

4月に開始した講座では、eラーニングというのもあり受講生が全国から集まっていた。オリエンテーションも授業もオンラインであるため、受講生たちともオンライン上でしか関りが無いが、年齢も職歴も様々な人たちが集まっていた。
ハローワーク主催の講座であるため、最終目的は「就職」である。
だが、会話をしてみると「ゆくゆくはフリーランスになってみたい」人が多数であった。

私もそんなことを考え、口走っていた一人である。
というのも、そもそも私の周囲には起業した人がチラホラいたのだ。個人事業主となり自分のペースで仕事をしている彼ら彼女らはとても充実していそうに思えた。私は会社組織勤めに少々うんざりしていたこともあり、自分のペースで働くことにとても魅力を感じた。
それにわかってしまったのである。例のコロナ禍で。

あの時、緊急事態宣言だ~と世間は大騒ぎになり、当時の職場でも在宅勤務が推奨された。あの時証明されてしまった。デスクワークは「家でできる」ことが。
在宅勤務のスタイルは、コロナ禍が過去になるにつれ減少しているが、働く人々は気づいてしまった。もっと仕事は自分のペースでいいということに。
もちろん経営者側からしたら社員の勤怠管理やチャットツール・PCの整備など煩雑であろうことは想像に難くない。が、21世紀になってそろそろ四半世紀だ。柔軟な働き方をしたっていいだろう。
フリーランスを目指したいという思考になる人が増えているのは至極当然の流れだ。

とはいえ、雇われで働く経験しかしたことがない私のような人間にとって、「じゃあ何をどうやって「柔軟な働き方」する?」となると途端にイメージが湧かなくなり、とりあえずWEB系の勉強をしてみようか・・・となるのだ。

カモにする人たちもいる

ネットで情報収集していると、職業訓練に集まる人々同様に、フリーランスやりたいWEBデザイナーやりたいとつぶやいている人たちがいる。
出産育児中だったり、介護中だったり、家にいたままなんとか働きたいと考えている女性たちだ。

私も気持ちがわかる。
そしてどうしたらいいかわからない、というのもわかる。
でもそんな呟きは怪しい業者がかぎつけてカモにするだけだ。すぐに飛びついてコメントするのは「月に●●万稼ぐ方法があるんですがDMいいですか?」と詳細を言わないアカウントばかりだ。
多分高額なセミナーとかに誘うんだろう。

ギリギリ怪しそうなスクールの紹介動画を見たことがある。
受講していないので本当に怪しいのかどうかはわからないが、

「人生どん底だった●●歳バツイチ女性が大逆転!」
「リモートワークで月収●●万達成!」
「旅するノマドワーカー●●がお伝えする成功する●●!」

みたいな
目撃ドキュンみたいな見出しが踊り狂っていた。
商売なので、刺さるキャッチコピー必須だろうし戦略的に間違いではないのだろうが、どうにも大げさでうさん臭く感じてしまった。

受講するのに数十万。お金と時間をかけて実際に人生大逆転できる人もいれば、できない人もいるだろう。むしろできない人のほうが多いだろう。となると誇大広告といわんばかりのキャッチコピーで受講生を集めるのは、なんとも言えない悪辣さに思えてくる。
世知辛くてつらい。


学びに課金は必須なのか

学びのための課金は、ある程度は必要だと思う。
でも状況による。
究極、ネットでも本でも、やろうと思えば無課金(わずかな課金)で学べると私は思う。

お金を出すからこそ、尻に火がついてやる気が出るんだ!みたいなロジックを見たが、私はそもそも尻に火をつけたくないし、火をつけたくとも金がそもそも無い。そういう論理はやめてほしい。
SNSとかで耳障りよく宣伝しているセミナーに騙されないほうがいい。
広告が出てきても「いや、お前誰やねん」くらい思っておいたほうがいい。

余談だが、私はこのたびの職業訓練でWEBマーケティングも学んだ。Google広告のノウハウがあれば、家族の仕事に役立てると思ったからだ。学んで気づいたことは「結局広告って情弱騙すビジネスなんだな」ってこと。

ハローワークの職業訓練の中にはカリキュラムの一環としてキャリアアドバイザーとの面談がある。CAとの面談を重ね、自分の中で考えていた事を棚卸ししていくうちに気が付いたのだが、私「フリーランス」「開業」「業務委託」「在宅勤務」がゴッチャになっていた。

私の場合は、突き詰めれば「家で仕事がしたい」だけなので、フリーランス云々は必須条件ではない。社会保険をゲットできるという意味では組織に所属するほうが良いかもしれない。
「会社員として在宅勤務を選択し、職業訓練で得た知見を本業・副業で活かし、副業が上手くいきそうなら開業もあり」
私のキャリアプランをざっくりまとめるとこうなった。

フリーランスというワードにちょっと踊らされていたかもしれない。
CAとの面談によって、自分の希望する進路が明確になったと思うし、自分のやりたいことが「フリーランスとして生きること」なのか、「在宅であればなんでもいい」のか気づけたことはありがたかった。
しかし、地方都市在住で、普通に仕事探しをしていてもフルリモート案件の求人はなかなか見つからない。この点においても、CAのアドバイスが活きた。

Wantedlyなどで求人を探すと、在宅派遣や、オンライン秘書、WEBライター、SNS運用、動画編集。フルリモート案件もいろいろ見つけることができ、可能性がどんどん広がっていった。仕事のスタイルも業務委託や、正社員・契約社員など様々なものがあった。
ある程度情報収集したことで状況を俯瞰し、ようやく思考が整理でき、今の自分に合うのはどんなスタイルの仕事かが見えてきた。さらに、職業訓練で得たWEBデザインやWEBマーケティングの学びも、今後多いに役立つと確信している。

これからWEBデザインなど学びたいが目的がまだ漠然としている・・・ような方は、勢いで謎のスクールに課金するのは少し立ち止ってほしい。
まずはハローワークに相談に行くんだ。無課金で学べる。(テキスト代とかはかかるよ!)


最後に

起業して成功している人たち。フリーランスとはいえ、やはり仕事は一人で完結するものではないから、何等かのコミュニティに属す形になっているのを見かける。
同じスクール生だったとか、同じ業界だとか。
Xとか見てると、つながりが見えてくる。
でもそこで見かける会話は「〇〇のやり方はだめだ」「私たち××スクールのセンスが一番」「△△ばかり言うやつは成長が無いよね!」みたいな・・
結局似たようなやつらの集団になりがちなんだなと感じる。
となると、究極、組織に所属しようと、フリーランスであろうと、人間関係は必ずあるし、どちらも煩雑なことに変わりはないのかも。
真の理想のライフスタイルを求道するには
「自分の芯をしっかり持つ」しかないのかもしれない。

おわり。

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