専科研修修了後、その勢いで簿財とっちゃえば?

 国税専門官1年目の4月〜6月は専門官基礎研修(以下「専基礎」といいます。)という束の間のモラトリアム期間を経ることとなります。
 この専基礎をどのようなスタンスで取り組むべきかは希望があれば別の機会に語ることとして、これが修了後、課税系統(個人・資産・徴収・法人)と支店が決まり、7月から3年間は調査・徴収事務等に従事することとなります。
 余談ですが、私の時代(専39期〜49期)は1年目に必ず管理運営部門に配属されていたことからすると、1年目から課税系統の事務に従事できることは相当なアドバンテージがあるな〜と今の若い方々を羨ましく思ったりします。
 そして課税・徴収事務を3年間こなして、いよいよ専科研修です。
 私はA‐One和光店にウイスキーのボトルキープをして同期と飲んでばかりいた非モテ陰キャでしたが、それなりに楽しかったので、勉強はそこそこ(25%以内入ってればまあいいんじゃね?)に、同期と過ごす日々を楽しむことに全力ベットすればよろしいかなと思います。
 専科研修をどのようなスタンスで取り組むべき(と私が思っている)かはこれも別の機会に語ることとして、やはり後から思うのは、専科研修後のステータスは簿記の知識が人生史上最高まで引き上げられていることもあり、その勢いで簿記論と財務諸表論を受けておけばよかったな〜ということです。


なぜ簿財をとった方がいいのか

 この職場で生涯働くことへの疑問が日に日に強くなっていきます。年齢が20代くらいの方だとあまりピンと来ないかもしれませんが、後々そのような疑問を持った際に身動きが取れないような社会的状況や年齢になっていれば、結果的に今の職場に留まらざるを得ないということになってしまいます(それ自体を否定している趣旨ではありません。)。
 個人的にはDX推進、インボイス制度、電子帳簿保存法への対応など、納税者にお願いばかりしてきて職場内ではちっともDXが推進されておらず、インボイスや電子帳簿保存法に至っては質問されたら困るという職員しかいないので、国税職員として立つ瀬がないという気持ちでいます。私はそうです。
 また、10年免除+簿財とったステータスでいれば、職場内でむかつく者(しゃ)と対峙しても「そんな口きいていいのか?私はいつでも税理士として辞められる身だぞ」ってなれます(X構文)。
 現に私は免除申請後、心も身体もずいぶん身軽になったような気がします。当該職員として生涯働き続けるというドグマに捕らわれては心の自在さを失ってしまうものです。
 Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma  - Steve Jobs -

具体的にどのように勉強していけばいいか

 1科目ずつ受験か2科目同時受験か問題、独学or予備校問題があります。
 前者に関しては、圧倒的に簿財同時受験を推奨します。理由は以下の点。

 簿記と財表で重複する箇所が多いという勉強効率の観点

 直前までこれはダメだ…と思っていても、結果的に両方あるいは片方受かっている人が多いという点(観測の範囲)

 簿財同時受験して両方不合格となった人で、「どちらかに絞って受験していれば合格できたかもな〜」と後悔している人を見たことがないという点(観測の範囲)
 こんなところでしょうか。1科目ずつ受験することにあまりメリットが無いように感じられます。
 …かくいう私は1科目ずつ受験した身分でございまして、初年度に財表(独学)受験で合格、2年目に簿記論(独学)で不合格、3年目簿記論(予備校)で合格しました。今思えば2年連続して簿財同時受験していれば2年目には揃えられたかな〜と思うと後悔しております。まぁ最終的に両方揃ったのでヨシ!
 後者(独学or予備校)に関して、どちらがいいかと言われると金銭面等の問題が絡むので難しいところですが、個人的には確実に1発合格したければ予備校かな〜という見立てです。3月以降に1月開講の大原のWeb講義を通勤のお供に聴いて、それとは別に平日2時間、休日5時間のアウトプットでGW前までに充分追いつけるのかなと思います。
 ただし、独学を選択されても、充分に合格は可能かと思いますし、実際に合格している方も多く見てきました。
 元国税で、現税理士としてBIG4で活躍されているKさんは簿財独学1発同時合格(勉強期間:1月〜8月)をされております。Kさんの独学メソッドは再現性が高いように感じましたので、是非参考にしてください!

簿財独学法(プロローグ)〜簿財独学は簿記1級合格者が前提なのか???〜
https://note.com/k_tax/n/na7f1117326d4

まとめ

 現状、うだつの上がらない職場人生を歩んでいるのだとしたら、簿財でも取って人生を切り開くのもいいのかなという観点で思うがまま書かせていただきました。
 仕事以外で、誰からも求められていないことを自分の意思で行動して成し遂げるという体験は、他の分野においても応用が効くものです。
 ちなみに研究科でも簿財免除される修士課程があるので、それもアリっちゃアリかと思いきや、研究科は一律、卒業後5年以内に退職すると学費返納しなきゃいけない負のストック・オプション的なものがあるためそれ自体を目的にするのは悪手かもしれません。そもそも狭き門でありますし。
 以上、国税職員、これから国税職員を目指す方の参考になれば嬉しいです。


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