買い占めは楽しい
やってません。でも危なかった。
ニュースを見て一体誰がなんでこんなバカなことやるんだろうと思っていたら、近所の商店街にも列ができていてびっくりしました。
早朝にドラッグストアに並んだり、お店をハシゴするエネルギーはどこから出てくるんでしょうか。いくらでもお尻が拭けるという安心感ってそんなにすごいものですか。明らかに転売目的の人だけじゃないですよね。
そしてもうちょっと考えてみると私にも思い当たる節があったので、書いてみようと思います。
台風前の話、非常時のフワフワ
ちょっと前に大きな台風が来ました。私はその前日たまたま用事がなかったので家族に買い出しを頼まれました。人数×2Lの水と懐中電灯用の単3電池と窓の目張り用のテープ、それだけのために近所の店を6軒まわり、スーパーの方に頼んで窓を塞ぐダンボールまで貰ってきました。出不精で体力も無い他人に話し掛けるのが苦手な奴がどうやって8Lの水と窓6枚分ものダンボールを持って帰ったのか、今でも不思議でなりません。ただとても楽しかったことを覚えています。
店から店へと自転車を漕ぎ、水を手に入れる為に並び、大量のダンボールを運んでいる間ずっと、変にフワフワとした高揚感がありました。フワフワが何で構成されていたか考えてみると、
①非常事の気分が高まる感じ(大きな渦を巻いた雲が海から迫ってきているなんてドキドキしませんか)
②自分は情報を集めてちゃんと備えをしているという優越感
③家族に頼られていることで刺激される承認欲求
あたりが出てきました。①は私が子供なだけかもしれませんが、他は今回のウイルス買い占めをしている人々にも当てはまりそうです。どれも自転車を漕いだり列に並ぶのに十分なエネルギーになりそうじゃないですか。
買い占めは楽しい
「コロナウイルスがやばいらしい。」
「国民一丸となって頑張るのか。私もなにか備えをせねば。」
「家に籠るなら色々買っておこう、買い出しだ。」
SNS「中国からの輸入だから〜マスクの原料〜」「ほぼ国産です」「原料違うぞバーカ」
「そんなバカな…いや待てよ?」
ニュース「デマが…買い占めが…売り切れも…」
「聞けてよかった。出遅れたら馬鹿のせいで無くなるからな。」
「よし買っておこう!家族も困らずに済むし。」
→ドラッグストアに早朝から並びに行く
こんな感じでしょうか。そして買い溜めって楽しいですよね。非常時なら言うまでもなく更に楽しい。トイレットペーパーは米なんかに比べて軽くて安いので手軽に安心感を得られます。もう十分持っているのにまだ行列に並ぶ人が出てきてもおかしくない。無ければ他の店へハシゴしてでも手に入れようとするでしょう。
買って帰ってきたら家族にお礼を言われる。売り場には品切れの貼り紙。トイレの棚はパンパン。確かに気持ちいいと思います。やってやった。ニュースを見て素早く動いたから助かったし感謝された。もう一度やりたくなりませんか?ティッシュペーパーは?生理用品は?滅菌ガーゼでマスクを作ると良いらしいですよ?(良くないです)
浮かれない、もう一歩先を想像する
台風の時私もやりそうになりました。カイロは?缶詰は?水もう1本あってもいいんじゃない?屋根が飛ばされたら大きなブルーシートが要るらしいぞ?しかし、水の重さと視界に入った周りの人が私を冷静にさせてくれました。私と同じことを考える人があと10人いたら、この棚は空になってしまって11人目は何も備えられない。カイロも乾パンも家にあるし水はまだ出るしブルーシートは屋根が飛んでからでいい。そういう冷静さを取り戻しました。
この冷静さというのは皆が焦っている中で自分の行動がどんな結果をもたらすか考える想像するのに必要です。決していつも通りにしていようと言っているのではないし、落ち着くのも無理です。でも少し頭に余裕をつくっておく必要があります。
情報が集まったら、まずはやるべき事や買い物のリストをつくります。頭の中に陣取っている不安や焦りを具体化して紙に出してしまいましょう。リストの内容をよく精査したら(不必要な物を入れていませんか?)、リストにある物以外を買わないよう気を付けるだけです。棚の前で迷ったら、その近くにいる人や仕事でそこにいられない人について想像しましょう。謎の人だかりができていても気にすることはありません。あなたが必要な物はリストに全て書いてあります。
そしてこのウイルス騒ぎが収まったらマスクや消毒液を1つ余分に買っておきましょう。また同じことを繰り返す人もいそうなのでトイレットペーパーもあるといいかもしれません。私も台風の後に水や電池を備えるようになりました。でもそれは収まってからです。なぜかはもうお分かりですね。
湧き出てくる焦りや気分にやられないようがんばっていきましょう。冷静さとちょっとした想像力をもつことを忘れずに。私もがんばります。