険しい道の先で、待っていた日本海
今年は山ばかりに関心が向き、夏の海をまだ見ていなかったと思い、友人と一緒に、日本海を見に行く話が持ち上がった。
友人は鉄道写真も撮りたいとのことで、日本海と鉄道を絡められる場所へ行こうということになった。
私も鉄道に関して、というより車輪の付いた乗り物全般に対しては偏った嗜好を持っていて、古めかしい無骨な雰囲気のある車両に限って、好きだ。
その中でも特に見た目や機械らしさにおいて興味を強く惹きつけられるのは、旧型ディーゼルカーや、いわゆる”キャブ車”と呼ばれる類の車だ。
こういう色々な嗜好や季節が重なり合って、ディーゼルカーと日本海を撮りに行くことになったのだった。
日本海を見るには、大阪から兵庫県北部にめがけて北上する必要があった。
4時間近く車を走らせて、目的の「山」についた。
なぜ山かというと、2つを絡めるには、山を登って俯瞰する必要があったからだ。
山道(トレイル)は、固くて大きい岩が多く、倒木もあり、そして柵は無く、滑落すれば絶対に助からないような、一言で言えばかなり険しい道となっていた。
ハチや狸、蛇もイタチも居て、自然の厳しさを見せつけられた。
だからこそ、その先に広がるであろう日本海を、何としても目に映したくなった。
トレイルから少し脇に逸れ、尾根を登っていくと、開けた場所に、果てしない海が広がっていた。
写真ではもちろん伝わりにくいが、どこまでも広がっている海と空には、表現できる言葉が見つからなかった。
ここで日の出から日の入りまで、過ごしてみたいと思った。
後から思って、あの時は急速に自然に近づいたと思った。
自然と近しく、親しい生活を、自分なりに続けていきたいと改めて感じた。
帰り道、山の中で思わず、静かに手を合わせている自分が居た。
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