文明化したスズメ
突然の特技の告白になるが、私はスズメの鳴き声とかなり似通った口笛を奏でることができる。
「ぴぃ、ぴぃ、チュン」と口ずさむことで、パンや木の実を持っていなくてもスズメが寄ってくる。
そして何故か、呼んでいない鳩まで毎回やって来る。
昼休みにコーヒーを飲みながら、スズメを呼んでみたが、予想を超えて8匹くらい来てしまった(いつもはせいぜい4~6匹だ)。
これだけの顔ぶれが並ぶのは、食べ物を恵んでもらう時だけだという暗黙知があるのか、途端に参加者たちは、何かを貰えると勘違いし始め、輪を描きながら私を囲み、じりじりと詰め寄り始めた。
挑みかかる気に満ち溢れているその目には、「この一大仕事さえ終えれば、自分は楽になれる、成功できる、もう苦しい思いをしなくても良い!」と信じて疑わない野心があまりにも見え透いていて、しばらく見ていると気分が悪くなりそうなほどだった。
過激な資本主義者の面影が、ちらちらと、しかしくっきりと映っていた。
私たちに負けず劣らずの、「何もせずとも与えられる」という安心、安楽の心がしっかり植え付けられていた。
そこにいたのは、文明化の波に運良く乗れた小動物の群れだった。
餃子の王将やマクドナルドに、スズメや鳩が客として並んでいる風景を見る時も、そろそろ近いのかもしれない。
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