竹下金烏捜索願
大学院の演習、と言っても全員専門外の3人だけの授業なんですが、国会図書館の「江戸の花名勝会」に頭から注釈をつけています。
これは、前に一度学部の演習でやっていたもので、学生と共用していたアカウントのnote「静大生錦絵深読」として公開しています。
これの続きみたいなものなんですが、NDLデジタルが格段に使いやすくなった為に、素人でも色々新しく見つけられることが増えました。
教室に居ながらみんなそれぞれ端末を開き、画面を共有しながら予習してきたことを発表させる一方で、こっちも同時進行で調べるので、自分も勉強になってます。
で、今日驚いたのが、この資料、翻刻があった、ということ。
知ってたよ、と言われそうですが、私は今日まで知りませんでした。
『江戸乃花 : 名勝会名物会』,内田美術書肆,昭和2.(送信資料)
役者についてはやや詳しい説明があるものの、基本、注は無いようなものなので、まあ、これがあってもやることはあるわけですが。
それはさておき、この本の著者(何故かNDL書誌情報に名前が無い)、「金烏画人 竹下弘」なる人物は、ちょっと検索しただけでは殆ど情報が出てこない。何者?
著書のほとんどはこの本と同じ京都の内田美術書肆(Wikipedia)から、昭和初めに出ていて、内容は琳派を中心にした模写による画集(図案集)。「竹下金烏」で検索すると古書ではそこそこ値段もついていることもわかります。
この本を含め、序文には、古典絵画に対する敬意と、自己の模写に関する謙退の気持ちが見え隠れするのも注目。
いま、送信資料でなく見られるのは『年中行事遊楽絵』第1集のみ。これも模写木版画集。こういう断り書き。
活動時期がえらく短いのと、伝記情報が見つからないのは、早世した若い画家だったのか、全く別の号があったのか、よくわからりません。
神坂雪佳の晩年とかぶるけれど、比較するとオリジナリティが感じられないので、注目されないのか。
というか、オリジナルの肉筆画とか、あるのかどうか。
私は今までこの人のことを全く知らなかったのですが、おそらく、どこかに専門的な情報があるはず。
何かご存じの方、御教示願います。