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「ボンド 木工用」だけじゃない!コニシ株式会社紹介シリーズ②
今回はアンコール遺跡群の補修にも使用されたエポキシ樹脂系接着剤に関するお話です。
1.「エポキシ樹脂系接着剤」とは?
接着剤は、くっつけるものの材質・求められる性能などによって、構成する成分が異なります。
例えば、「ボンド 木工用」は、酢酸ビニル樹脂という成分をベースにしており、「ボンド 裁ほう上手」は、シリル化ウレタン樹脂という成分をベースにしております。
今回は、エポキシ樹脂という成分をベースにしている接着剤の紹介です。
2.エポキシ樹脂系接着剤の特徴
では、エポキシ樹脂系接着剤の特徴とはなんでしょうか?
エポキシ樹脂系接着剤は別名「2液型接着剤」とも呼ばれ、主剤(A剤)と硬化剤(B剤)の2つがセットになっています。
主剤のみ、硬化剤のみでは固まりません。2つを混ぜることで化学反応が起き、固まります。
3.エポキシ樹脂系接着剤の長所・短所
エポキシ樹脂系接着剤の長所と短所をまとめると、次のようになります。
【長所】
・耐久性と耐水性に優れ、比較的過酷な環境下になり得る屋外での使用に向いている。
・ガッチリと固まるので、硬いもの同士の接着に向いている。
・作業時間に応じて、固まるまでの時間を選べる。
【短所】
・使用前に混ぜる手間があり、しっかり混ぜないと硬化しない。
・一度に大量に混ぜると、反応熱が発生するので注意が必要。
4.コニシのエポキシ樹脂系接着剤
コニシでも数々のエポキシ樹脂系接着剤をラインナップしていますが、ここでは代表製品を紹介します。
【家庭用製品】
ホームセンターなどで販売されている家庭用製品は、6gセットから2kgセットまで、くっつけたいものや固まるまでの時間(必要な作業時間)などで選べるようにラインナップしています。家庭用製品の中でも小容量タイプのものについて、表にまとめました。
【業務用製品】
外壁の剥落を防止するための注入剤や、劣化したコンクリートの補修用・土木工事における重機のアンカー固定用まで幅広くラインナップしています。
家庭用製品に比べ大容量の製品が多く、3kgセットや15kgセット、それ以上のものもあります。
このように、コニシでは使用用途などに合わせ、固まるまでの時間や粘度が異なり、数々のエポキシ樹脂系接着剤をラインナップしています。
エポキシ樹脂系接着剤を使う際のポイント
◯くっつけたいものの材質や作業時間に応じた固まるまでの時間で製品を選ぶこと
◯しっかり混ぜること
◯一度に大量に混ぜないこと
5.コニシの製品がアンコール遺跡群の補修に使われた話
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
アンコールワットがあるアンコール遺跡群は、9世紀から13世紀頃にかけてカンボジア北西部に栄えた王朝によって建設され、現在では「ユネスコ世界文化遺産」に登録されております。
貴重な遺跡のため、修復作業がなされていましたが、1970年に内戦などの国内事情により作業は中断され、遺跡損壊の大きな要因となっておりました。その後、カンボジア政府の要請を受けた日本政府は「日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)」を結成し、遺跡群の保存・修復作業を立案、国際文化交流を推進しました。
その第9次調査団・修復技術班として、1996年にコニシの土木開発プロジェクトチームが修復作業に参加しました。
その修復作業において、コニシは「遺跡は、ただ単に再現するだけではなく、作った人々の思想や技術を後世に継承するものでなくてはならない」という考えのもと、外観の保存と同時に、建設当初の作り方を踏襲しながらその構造的弱点をカバーする手法や技術を考案しました。
その際、大きな役割を果たしたのが、エポキシ樹脂系接着剤です。
それまでは割れた部材は捨ててしまっていましたが、エポキシ樹脂系接着剤を利用することで、砕けた石像を再生することが可能になりました。
また、砂岩粉末を混ぜたエポキシ樹脂系接着剤により、違和感の少ない目地補強もできるようになりました。
6.おわりに
今回は、エポキシ樹脂系接着剤のお話でした。
意外なところに使われていて驚いた方も多いのではないでしょうか?
初めて知った時は、私も驚きました!
この記事を読んでくださった皆様が、コニシ株式会社の「ボンド 木工用」だけじゃない!部分を知って頂き、何かを直したいと思った時に、エポキシ樹脂系接着剤を候補にしてもらえると嬉しいです。