5冊目:『編集王』(土田世紀)
編集者とは何たる仕事かを学びたくて、土田世紀の『編集王』全16巻を一気読み。
『編集王』(土田世紀)
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(あらすじ)
幼い頃、『あしたのジョ-』を読んで感動し、ボクサ-になると宣言したカンパチこと桃井環八。念願のボクサ-になり、チャンピオンを目指しているものの、成績は不振で、万年10回戦ボ-イと呼ばれていた。ある日、定期検診を受けたカンパチは、眼の精密検査を受けるようにと医者から忠告を受ける。網膜剥離でボクシングを断念せざるを得なくなったカンパチは、幼なじみのヒロ兄ィこと青梅広道の紹介で、青梅が働くヤングシャウト編集部でアルバイトをすることになる
元プロボクサーの環八は網膜剥離によりボクサーを引退したのち、ひょんなことからマンガ編集者となる。持ち前のまっすぐな性格でぶつかりながらも編集者として成長していくというお話。
この漫画には、様々な悪役キャラが出てくるが、作者である土田世紀は彼らを単なる悪役として描くのではなく、どうして今のようになったのか、若い頃から時間をかけて丁寧に描く。とても優しい眼差しを持った漫画家なんだと思った。
様々なエピソードのなかで、ベテラン漫画家の再起を描いたマンボ好塚編もグッときたけど、僕が一番お気に入りだったのがエロ漫画編。
いじめにあったり、援助交際の加担をさせられたり悲惨な学生時代を過ごしてきたある編集者が、ある日環八の働く漫画編集部に異動してくる。彼は異動してくると、自ら企画したエロ漫画を新人漫画家たちに書かせ、世間で物議を醸しながら大ヒットを起こし、週刊誌は毎号売り切れとなる。
しかし、次第に世間からの反発が高まり、ついに政治家からの圧力を受け、エロ漫画の連載を続けられなくなった編集者。初心を取り戻して、アメリカ支社への異動を希望する。
アメリカ行きの飛行機の中、ふと席に座ると隣の席に社長が座っていた。そして社長からゆっくり時間かけてまた次面白いことやれよ、という熱いエールをもらう。「会社は自分よりもずっと大きかった」ということをしみじみ実感するというエピソード。
そうなんだよ、会社で働く醍醐味って、自分より大きい器の上で働くってことなんだよなあ、としみじみと思ったのでした。とてもグッとくる漫画でした。
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