9冊目:『トーニオ・クレーガー』(トーマス・マン)
今年の9冊目は、トーマス・マンの『トーニオ・クレーガー』を読んだ。
『トーニオ・クレーガー』(トーマス・マン)
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(作品紹介)
ぼくは人生を愛している。これはいわば告白だ――孤独で瞑想的な少年トーニオは成長し芸術家として名を成す……巨匠マンの自画像にして不滅の青春小説。
主人公のトーニオは、「誰も自分のことを受けいれてくれないのではないか」という気持ちと「自分は特別な才能を持った存在だ」という相反する二つの気持ちで揺れ動いている。中学や高校生くらいの時って、多かれ少なかれこんな気持ちを持ったことがあるんじゃないか。僕はある。
「誰かに受け止めて欲しい」「自分のことを理解して欲しい」でも、自意識が邪魔をしてなかなか素直に動けないトーニオは、大人になるにつれ、様々な経験を積み、作家として名を馳せ、大人の男として上手に振る舞えるようになる。
でも、ある出来事をきっかけに、自らが育った故郷に旅をすることで、心の奥底にしまっていた思春期の時に抱いていた気持ちがふと湧き上がってくる。そういう気持ちは、大人になるにつれて色々な経験を重ねる中で、コーティングしていくものだけど、消えはしないのだと思った。
小さい頃に思っていたほど、人間、大人になっても、中身はそんなに変わらないもの。思春期の時の気持ちとずっと一緒に生きていくのが人生なんだよ、と優しく教えられた気がした。高校生くらいの時に読んでたら、もっと影響を受けていただろうなあ。
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