見出し画像

第二の春

 春を前にホームページをリニューアルするところが多いのだろう。ホームページ用の撮影が一月は多かった。
 シェアオフィスで若手からベテラン数名がそろって、決して広くないオフィスで肩を寄せ合って仕事しているベンチャー企業。
 春の開校に向けてキャンパス風景を撮って欲しい、でも今はまだ敷地に入れないから外から撮ってくださいと依頼を受けて撮影したスクール。
 営業数字目標を壁に掲げて週末も仕事をしていた若い人たち。
 限られた時間ではあるが、撮影を通していろんな現場を見られるのは素直に楽しい。もちろん、相手の要望を満たした写真を撮らなければいけないというプレッシャーはあるけれど。
 相手の要望を満たした写真を撮る。決められた時間で。
 自分にとって、この課題はまだまだハードルが高い。撮影しながら、うまく撮れない時がある。その時は、頭の中が真っ白になる。何とか試行錯誤する。
 高層ビルにあるオフィスで、窓からの眺めと人を一緒に撮ってくださいと言われた時、そのままだと逆光で人が真っ暗になるので照明を使うが、その露出調整で手こずる時は焦る。もっと経験を積まねばいけないと痛感する。それでも何とか撮って、お客さんに喜んでもらえた時は、自分もほっとする。あまり顔には出さないようにしているけれど。

 ある企業の社長の撮影をした。社員数百名の老舗の会社。
 笑顔が欲しくていろいろ話しかけながら、シャッターを押した。
 「創業何年ですか」「社員は何人ぐらいいるのですか」
 年上の初対面の方に気の利いた冗談を言えるセンスもなく、真面目な質問しかできず、相手の表情も真面目に答えようとする気難しい表情になる。そりゃそうだ。さてどうやって笑顔を引き出すかな。
 場所をいくつか変えながら撮影する。背景となる観葉植物を動かしながら頭の中はどうやって自然な笑顔を引き出すか考えている。
「こんなに撮ってもらうのは初めてだなあ」
 社長自ら言葉を発して自分で笑ってくれた。それからは沈黙が続くと、社長さん自ら冗談を言って自分で笑ってくれた。気さくな人柄に大いに助けられました。
 「これはお見合い写真になるね」
 「お見合い写真ですか」
 「妻に先立だれてね、今、婚活中なんだよ。ワハハ」
 そんな会話をしながら撮影した写真。何とか喜んでもらえて良かった。
 社長様、先日はありがとうございました。
 社長業でお忙しいと思いますが、このお見合い写真で第二の春が訪れたら僕もとても嬉しいです。
 その時に、社長の幸せな笑顔を撮れるように、僕も日々励みます。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
メイク付プロフィール写真撮影会
~あなたの魅力も満開に!この春だけの「私」を撮ろう~
素肌を美しくメイクで整えてから写真撮影。
メイクも撮影もしっかり時間をかけて写真撮影致します。
日にち:3月30日(土)①9:30~11:30 ③14:30~16:30 受付中
お問い合わせ:renraku@takahirokonishi.com
https://www.facebook.com/events/2202984696632299/


いいなと思ったら応援しよう!

映像写真作家 小西隆博
はじめまして。写真と映像制作をしているフリーランスの小西と申します。文章作品にも力を入れています。作品はご自由にお読みいただけますが、応援したいというお志も大歓迎です。