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HKK入院日記 8日目 初!車椅子

骨盤骨折した男の入院日記です。
ここまでの内容
→38歳(男)がニセコのスキー場にてスノボ中、立木に衝突
→左骨盤を骨折
→入院、手術(札幌徳洲会病院)

Day8 2019.3.6(水)リハビリ二日目

終日とにかく左下半身の痺れとの闘い。どの姿勢が楽なのか分からない。そもそも動かせる領域も狭いのでしんどい。
左足の下にクッションを入れたり、腰の下に枕を入れたり良い姿勢を探す。

看護士さんが定期的にベッドの圧抜きをしに来てくれる。寝たままだとベッドと体の間の空気がなくなっていき、ぴったりくっついたような状態になり、固定されてしまいます。皮膚に圧力がかかって痛む原因になるらしい。床ずれですね。

圧抜きはツルツルしたビニール素材の鍋つかみみたいな手袋を両腕にはめて体の下に手を入れてくれます。これがなかなか気持ち良い。体が軽くなるよう。

昨日(3/5)の手術した次の日にリハビリ担当の先生が挨拶に来てくれました。O本先生という女性理学療法士さんで、ハリのある黒髪が綺麗で割とズバズバ物を言う感じの素で厳しそうな若い先生が担当になってくれました。

この時はもう1人の男性理学療法士の上司(?)と一緒に、体の状態、足の可動域などを確認してもらい、現時点でやってはいけない体の動かし方について教えてもらいました。

とにかく左足に体重をかけないこと。そのための姿勢などについて教えてもらいました。

事実上これがリハビリ初回として、今日のリハビリは二日目ですね。

11:00 リハビリ開始 

そしてO本先生が部屋にやってきました。まず左足をマッサージしてくれます。筋肉をほぐすようにじっくりと力強く、ぐーーーーっと太ももを押し込んでくれます。

これがたまに痛いんだけど、めちゃくちゃ気持ちいい。なんていうかプロだなと思いました。

その後、左足の筋トレをいくつか教えてもらいます。そして、

O本先生「はい。じゃあkoni氏さん、ベッドに腰掛けてください

わし「!!!」

腰掛ける!?正直、10日間くらいずっと寝たままで、手術前まで上半身は45°までしか起こせないと言われて、電動ベッドで30°くらいまで起こすだけでいっぱいいっぱいだった自分にとって、ベッドに腰掛けるという発想自体が斬新で、驚きました。

確かに手術後は45°の制限も、左側禁(左側を下にして寝る)の制限も解除されていたので、体は自由に動かしていいわけです。

まず、電動ベッドで90°近くまで上半身を起こします。この時点でかなり視界が変化しました。

いままで天井メインの風景でしたが、上半身を起こすだけでいままで見ていた景色が一変し、O本先生の顔がよく見えました。病室の壁や、カーテンの細部が見えて来て、こういう場所に自分はいたのか、と改めて確認できました。

O本先生「じゃあ、まず右足をベッドの外に出しちゃいましょう」

わし「はい」

O本先生「そしたら、手で左足を持って運びます。ズボンを引っ張ってください」

わし「なるほど」

左足は自力で動かしてはいけないので、手で移動します。大きな一本の肉の塊が腰にぶら下がっている状態です。その塊を手で持ち上げて動かすのです。重い。

ベッドに寝ている上半身を足を外に出す勢いで腹筋を使って起こします。くるっと回転するようにベッドの横に足をだし、ベッドに腰掛けることができました。

10日ぶりに90°になったので、頭がクラクラしました。立ちくらみのような感じです。O本先生はその状態で血圧を計ってくれました。やはり血圧が下がっていました。

水をのみ、一息ついたら目の前の窓の外へ意識が向きました。

7階の病室の外を初めて見ることができました。気持ち良い晴天でした。

不思議と自分がきちんと生きているんだなという実感が湧いて来ました。すごく嬉しかった。生きているということ。前を向き、周囲を見渡し、自分のいる場所を認知すること。寝ていることしかできなかったからこその発見でした。

O本先生「じゃぁ、車椅子乗っちゃいましょう!

わし「え」

いきなり?というのが正直な感想です。ベッドに腰掛けられただけで自分にとってはめちゃくちゃ大きな一歩だったんですが、さらに車椅子に乗るなんて!この先生めっちゃグイグイタイプだな。

O本先生「右足で立って軸にして回転するように体の向きを変えてください」

わし「(こうかな、こうか)お、おお〜」

ベッドに腰掛けた状態からスリッパを履き、右足だけで立ちます。これも自分にとってものすごいことでした。10日間ぶりの視界の高さです。

O本先生に支えられながら、車椅子に座ることができました!

車椅子の足置きを開き、足を置きます。ブレーキを解除して、自分で車輪を動かします。人生初の車椅子!

O本先生「じゃぁ、車椅子乗れたんでリハビリ室まで行きましょう

やっぱグイグイやなこの先生。

というわけで、初めての車椅子で廊下に出て、エレベーターに乗り、リハビリ室に行きます。

車椅子を押してもらいながら、自分の体がベッドから離れて移動していることに感激していました。

リハビリ室から帰ってくると妻🐼が病室に着いていました。

妻🐼「ウケるんですけど」

わし「なにがやねん」

妻🐼曰く、この日、表情が変わったそうです。それまでは"病人"だったそう。

でもたしかに、ベッドから離れて移動できたこと、ベッドから降りて前を向けたこと、右足だけでも立てたこと、そういう一つ一つのできるようになったことが自信になって表情に宿っていたんだと思います。

尿管カテーテルなどまだまだいろんな管が繋がって(オムツも履いて)いますが、完治に向けてなんとなく見通しが立ったような嬉しさがありました。

同時に、今まで当たり前に何も考えずに行っていた一つ一つの動作が今やろうとするとこんなに大変なのかという不安も大きくなっていました。こりゃ時間かかるぞ...。

続く


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