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5.1 BPMの常識
経営とITの融合
変化に俊敏に対応できる経営、「俊敏な経営」を実現するのには、「経営とITの融合」が必要ではないでしょうか。その「経営とITの融合」はどのような考え方と手段で具体的に実現されていくのでしょうか?
1つ1つの業務改善とそれらの業務からなる業務全体を、継続的にかつ均衡のとれた改善・改革を実践していく事です。
つまり、BPMの考え方で業務を構築し、BPMSをその実現IT基盤として企業経営を進めていく事です。
「経営とITの統合」「経営とITの連携」とか、長らく言われてきました、そして今日DX時代は経営そのものがITシステムの時代です。現実を見ると、日本のそれはかなり程遠い状況である言わざるを得ません。
それはさて置き、考え方(BPM)と手段(BPMS)は既に「技術的に可能」です、あとは実行するだけです。
本記事では、BPMの基本的な面を幾つか紹介していきます。
すべては業務プロセス
企業が行う活動は、基本的にすべて業務(業務プロセス)です。一般的な企業の活動を見てみると、購入・販売・営業・製造・人材採用・製品出荷・顧客管理・財務/経理業務というような縦割りの「機能別業務」があり、そしてそれらを有機的に連携した計画・調整・統制業務である「連結業務”」あります。
「機能別業務」(勿論これらの業務も業務プロセスを持ちます)はすでにいろいろとITシステム化されています。従来はここがシステム化の領域でした。
一方、後者の「連結業務」は人と人のコミュニケーション(道具として電話あるいはFAX、紙の伝票など色々あります)によって行われてきたもので、従来あまりITシステム化が進んでいなかった領域です。この領域の効率化に対して、現場の業務責任者は最大の関心を持っているはずです。
また、これまで企業内部でIT化されてきた業務は、比較的変更されないもの、来年も再来年も同じやり方をするルーチンワークが対象でした。しかし、実際の現場業務は顧客要望、IT機器の進歩等で頻繁に変わって来ています。「業務をITシステム化して手順が確定してしまったので、暫くは変更できない」は許されないのです。
BPMの原則
BPM(Busines Process Mamagment)は、経営目標を実現するためのに業務プロセス視点で事業を継続実践していく経営手法です。
先に「すべては業務プロセス」とご説明したのは当にその意味からです。
ここでは更に「BPMの原則」として、具体的に業務プロセスに関し言及します。
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ITシステムは継続を維持するために必須で、更に、各所のデータ収集・成果測定にも大きな威力を発揮してくれます。そこで実現者、イネーブラーと命名しています。
ITシステムの威力を理解ください。
業務改善と業務可視化
業務改善・業務可視化は、別の章で記事とされますので概要だけに触れます。
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業務を改善するには、先ず問題個所、不具合箇所を見つける事です、それは極一般の事で誰でも思いつく事です。業務とてそれは全く同じでかわりません。唯、他の関係者が居るとか、将来のIT化に役立てたいとかの理由(勿論、非常に大切な理由です)で、業務可視化(業務の見える化)が必要とされ、業務プロセスのモデリングをするわけです。
とても大事な事ですが、でもそれは改善への前処理でしかありません。
その後は、BPMで云う「業務改善サイクル」へとなっていきます。
本記事の最後でご紹介します。
BPMとBPMS
さて企業の最大の関心事は、「業績の最大化と継続的な成長」です。BPMとはそれを実現するための経営手法と申しあげて来ました。
企業が「業績の最大化と継続的な成長」をするためには、個々の機能別業務と事業全体の品質や業績の向上が不可欠です。そうした業務改善の継続(PDCAサイクル)を回していく事をBPMは云っています。
BPMを企業内部に定着させ、「業績の最大化と継続的な成長」を実現するには、“人”と“ITシステム”が必要です。従来の狭い領域を対象にしていたITシステムであれば、関わる“人”は情報システム部門の技術者だけでよかったかもしれません。しかし経営視点からIT化/DX化を実施して「経営とITの融合」を実現するには、それでは不足でしょう。BPMを進めるためには、会社の経営トップや部門の事業責任者が主体的に参画する事が必要となってきます。関係者が増えるという事です。
BPMS(BPM System /BPM Suite)は、経営手法であるBPMを実現するためのITシステムです。
業務プロセスをBPMN表記の業務プロセス図で表記すれば、即座に実行形式に展開され、業務システムとして稼働し、諸履歴を自動収集し、業務の最適化に供しPDCAで継続業務改善を実施管理するシステムという訳です。
BPMの業務改善サイクル
業務プロセスのモデリングされた後は、愈々BPMSの登場です。
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業務改善ライフサイクルの紹介です。
③ シミュレーション
業務プロセス図を基に業務に関連する数値を与えてシミュレーション実行すると結果が出ます。その結果を基にプロセスの見直し等を関係者で行う事が出来ます。
④開発実装 ➡ ⑤実行
③がOKであれば、④開発が終了すれば瞬時に実装、実行形式が生成され ⑤実行となります。
⑥モニタ
業務の実行状況を色々なレベルでモニタする事が可能で、状況把握、緊急対応等の管理が可能となります。
⑦分析 ➡ ⑧改善
業務の成果分析を定期・非定期に行い、課題抽出を行い、⑧改善箇所・計画を作成します
⑨再定義
⑧の改善計画にそって、改善、即ち、②改善点が新業務プロセスを作成です。 それから ③・・・・とBPMSで継続していきます。
当に継続、業務改善ライフサイクル/LCM(Life Cycle Management)です。
BPMSの働きです。
BPMSのより具体的には、次の機会といたします。
よろしく (240315)