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浦島太郎をなんとかしてハッピーエンドにする 1

子供の時は、竜宮城に行けていいなぁなんて思いながら絵本を読んでいたのですが、今、物語を思い返してみると、あの結末がどうにも辛くて・・・。

そこで、物語の筋はほぼそのままに、自分なりに納得がいくハッピーエンドになるように、無理矢理お話を入れ込んでみました。

昔々、海を取り囲むように山に囲まれた豊かな国がありました。

この土地の君主は、実の兄とその家族を策略で滅ぼして権力者になっていました。家臣たちの中には、表向きは従いながらも、いつかこの君主を失脚させたいと思い者たちがいました。実は、生まれたばかりの兄の子供をこっそり逃がしていたのです。彼らは圧政に耐えながら、若君が大きくなったら政権を覆そうの考えていたのでした。


この国の、漁師の村から少し山に入ったところに、人気を避けるようにぽつんと一軒家がありました。その家には浦島太郎という青年が母親と二人で暮らしていました。太郎は二人が食べる分だけの魚をとり、母は小さな畑で二人が暮らせるだけの野菜を作って、ひっそり暮らしていました。

ある日、役人たちが漁師の村に現れて、村中の若い男のいる家を調べ始めました。君主を倒そうとする反対派の計画がばれてしまい、青年となった兄の子供を探し始めたのです。

捜索はとうとう、浦島の家にまで及びました。太郎が釣りに行って不在のときに、役人はやって来ました。母親は、ここには私一人で住んでいると言いました。役人は、「もし、それが嘘だったらおまえも打ち首だ」と言って去って行きました。その様子は、明らかにこの家を疑っているようでした。

太郎が帰って来ると、母親は太郎の生い立ちについて話しました。太郎の両親と兄弟たちはみんな今の君主に殺されたこと。私はお仕えしていた乳母で、生まれたばかりの太郎を連れて逃げてきたこと。そして、とうとう見つかってしまったと・・。母親はあの君主に殺されるくらいなら、自害しようと言いました。太郎は、育ててくれた母親だけでも生き延びて欲しいと思いました。「私はどうにかして逃げ延びます。絶対彼らの手には掛かりません。ですから、生き延びてください。」そう言って母親を思いとどまらせました。太郎は今まで育ててくれたお礼を言い、夜明け前に住み慣れた家を出たのでした。

つづく

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