私もつながっているということ
運動は苦手だったけど、中学で陸上部に入った。
陸上は生まれ持っての素質がどの競技より強く影響すると思う。私はずっとみんなの後ろを追っていく、それだけだった。
けれど、陸上競技場ではじめてスパイクで走ったとき、私も走る人になったのだと、感じた。
みんなに着いて行きたいと必死に走って、気がつくと、依然と違うスピードで景色が流れるようになった。試合で結果を出すことはなかったけれど、3年間続けることができた。
自分より速い人がいて、でも県大会ではもっとすごい人がいて、その先には全国で活躍する人がいる。自分が速く走れれば、前の人はもっと速くなり、その前の前の人は世界記録を出したりするのだ。
引っ張られ、押し上げられ、競い合い、励まし合い、記録は伸びていく。過去の選手の走りは、今の、未来の選手にもつながっている。
陸上競技の世界にいたことが、誇りで、今の自分を支えてくれている。
スポーツには、心を熱く揺さぶり、心を前へ進めてくれる力がある。だから、すべてのアスリートの競技人生が素晴らしいものとなるように、そして、スポーツを支える環境が良いものとなりように、強く願っている。