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「企業的な社会、セラピー的な社会」読書メモ3
動けなくなった人びと
今の基地帝国の人たちの行動が一九六〇年代・一九七〇年代とどう違うか、ちょっと考えてみる。イラク戦争は、もう何年も、歴史に例を見ないほどの、どろ沼の大虐殺になってる。それでも止まらない。みんな『見ないように』している感じがある。(p.40)
今、世界は、「無関心」という大病を患っているんだな。どうしたら、人の心を取り戻せるようになるのかな?
灰色が与える枠組みの中で
『気づかれないように人びとの心を操ることが、民主主義の世界での、支配の仕方なのである』だ。(p.41)
この支配の枠組みに、バッチリ嵌っちゃって生きているってわけか、私たち。
「信仰のシステム」
基地帝国の人たちが、イラク戦争を見ないようにする。自分の気分の良さを守るために、おとなしくしている。すると、イラク国の人たちに同情する、他の国の人びとから憎まれる。イラク国の人たちは、いつか基地帝国の人びとを皆殺しにしてやろうと思う。(p.43)
そういう風に、関係と関係がどこまでもつながっているこの世の中で、自分や自分たちだけ気持ち良くなろうとしても、そうはいかない。現実の世界はとても複雑だ(p.43)
無関心と憎悪の渦巻く世の中になりつつあるということか。無視って一番腹が立つもんな。まるで、その人がいないかのように振舞うことを「サイレント・トリートメント」というらしい。これも立派な、というより、もしかしたら、わかりにくいという意味で悪質な、最大級のハラスメントかも。
「遺伝子や脳で、人の社会がわかります」
人は生まれた時から、巨大な『心を操る計画』にさらされる。学校、テレ・ヴィジョン、新聞、雑誌、電車の車内広告、あらゆる種類の広告・・・。それらはどれも、具体的な目的を持った、具体的な存在だ。そんなものが人びとの心に巨大な影響を与えている環境で、『人っていうのはこういうもの』なんて、真面目に考えられない。(p.43-44)
一般の人たちにとっては、『ああ、科学によると、生き物はみんな自分のことだけ考えて生きてるらしい』とか『科学によると、男の脳っていうのは、若い女を追いかけるようにプログラムされているらしい』とか、変な雰囲気が世の中に満ちてくる。全くでたらめなことが、でたらめじゃないように思えてくる。他の学者たちが『そんな訳ないだろ!』って怒って本を書いても、そんな本には広告がつかないから、誰にも知られない。(p.44-45)
我々は広告の多大なる影響を受けて操られるように生きているわけか。
物理学には『三体問題』っていうのがあって、物が二つある時は運動が予測できるけど、三つになると、もう運動が予想できないっていう。世の中には、何十億の人たちと、その人たちが生み出す無限大数の関係がある。遺伝子が遺伝子どうし影響しあうのと同じで、その無限大数の関係が、他の関係と影響しあって、この世の中が出来てる。そんな複雑な世の中を、三つの物の運動が予測できない科学が、どうやって説明できると思うんだろう?(p.46-47)
なるほど。本当はわかっていないことを、まるでわかっているかのように語るのは、間違いなく、罪。
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