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シンガポール・マレーシアのキャッシュレス決済事情

アジア各国の現金決済比率(2023年)

2023年のデータですが、先日Nikkei Asiaに掲載されていたアジア各国の現金決済比率のデータです。Alipay/WeChat Payで、QRコード決済の先駆けとなった中国を筆頭に、各国決済手段が現金からキャッシュレスに大きくシフトしているのがわかります。

日本でもPayPay等の普及でずいぶんとキャッシュレスが進んだ印象がありますが、他の国と比較するとこの12か国の中で10位で40%以上が現金決済と、2019年時点では日本より現金決済比率の高かったインド・インドネシア・ベトナムにも追い越され、アジア屈指の現金大好き国になっています。

一方、シンガポール・マレーシアは政府がキャッシュレスを強く推進していることもあり、日本よりもずっとキャッシュレスが進んでいます。

シンガポールのキャッシュレス決済

シンガポールはコロナの前からキャッシュレス決済は結構広まっていて、出張でシンガポールに来ていた頃、アメリカばりにクレカでのタッチ決済がガンガン使えて便利!と感動していました。

それに加えて、シンガポールの銀行口座を持っていると、デビットカード決済が使えたり、PayNowという登録してある電話番号で個人間での送金ができたりします。PayNowはみんなで食事に行ったときなど、あとで精算するのにすごく便利(日本でもPaypayで精算したりしていますが同じ感じです)。政府が昨年発表したSmart Nation 2.0というデジタル戦略についてのレポートの中で、これまでの達成事項として、既に95%のビジネス・97%のシンガポール人でPay Nowが普及しているそうです。

QRコード決済も広まっていて、メジャーなところだとGrab Payが使えるので、旅行や出張でシンガポールに来るときには、タッチ決済対応のクレカと携帯にGrabを入れて、入金(Top Up)しておけば困らないと思います。(私はクレカはApple Payに登録してあるので、クレカも携帯で決済しています)

電車やバスでもタッチ決済

お店での決済はもちろん電車やバスもキャッシュレスです。どちらもクレカのタッチ決済がそのまま使えるので私は普段使うことないですが、ezlinkというスイカのような交通系プリペイドカードもあり、地下鉄のカウンターやセブンイレブン・チアーズ等のコンビニで買ったり、入金できます(我が家では、子供たちがクレカもっていないので、このカードを使っています)

マレーシアのキャッシュレス決済

マレーシアもシンガポールほどではないものの、2019年時点では日本と同様のキャッシュレス比率だったのが、政府のデジタル施策の後押しにより(施策の概要はMy Digital 参照)現在、広くキャッシュレス決済が普及してきています(飲食店ではキャッシュレス決済のみのところもけっこうある)

シンガポールと同様にクレカのタッチ決済が広く広まっているのに加えて、DuitNowというシンガポールのPayNowのように銀行口座と紐づけて個人間の送金をしたり、QRコード決済できたりするサービスも普及してきて、そのQRコードで他のQRコード決済にも対応できるため、小規模のお店でも使えるようになっています。

QRコードは、Grab Payに加えて、Touch'n Goがメジャーどころとしてあり、Touch'n GoはICカード版もあって、電車や高速道路での支払い等で重宝したりします。シンガポールだとクレカでほぼどこでも大丈夫な一方、マレーシアでは、Touch'n Goが今のところ一番普及している感じがします。

Sarawak州は要注意

そんな中で、東マレーシア(ボルネオ島)の西部Sarawak州だけは、なぜかS Pay Globalという独自の電子決済アプリがあり、他のキャッシュレス決済が使えないというところがけっこうありました(モールやマンションの駐車場の決済端末がどこもS Pay Globalで、、毎回サービスカウンターを探さなければならず困った・・・)また、現金のみというところも他の州よりも遥かに多く、AEON Shopping MallのフードコードですらCash Onlyだらけだったのには驚きました。

Grab Pay / Touch'n goへのTop up (入金方法)

Grab PayへのTop upは、クレカか銀行口座からのチャージなので、私は基本的にクレカでのチャージをしていました(銀行口座は現地の口座でないと登録できなかった)。アカウントは国ごとに分かれていて、Grabはシンガポール・マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナム・フィリピンと東南アジアのいろいろな国で使えて、クレカの紐づけは一度行えば国が変わってもチャージできますが、口座は国ごとに分かれています。

Touch'n GoへのTop upは、クレカ・銀行口座の他にコンビニ等でチャージすることができます。クレカ・銀行口座は現地の口座でないと登録できないようで、コンビニで毎回チャージするのが面倒だったので、高速道路での支払い用のICカードだけ使っていて、私はアプリは使っていませんでした。

が、クレカだとどうしても為替レートがよくないこともあり、最近Wiseという国際送金のサービスを導入しました。GrabもTouch'n GoもWiseからTop Upができるので、日本の銀行口座からWiseに入金しておいて、必要に応じてそれぞれTop Upしています。これ、もっと早くやっておけばよかった。

決済もどんどんグローバルに

今やどこの国にいってもキャッシュレスでの支払いになり、各決済方法も国境を跨いで使えるようになってきたので、昔みたいに、両替所を探してとか、トラベラーズチェックに交換してとか(いつの時代!?)必要なくなってきました。

最近までは引っ越しする度に、昔旅行で行った先の紙幣・硬貨の残りがじゃらじゃら出てきたりしたものですが、それも減っていくんだろうなと思うとちょっと寂しい感じもしますが、支払いのログも残るし便利なので時代の流れですね。

ちなみに、日本のキャッシュレス事情

最後になぜ日本がこんなに遅れてしまっているのか?というところですが、都心にいるとどこの国でも正直あまり変わらない感じがします。が、コンビニやスーパーとかでなにげなくほかの人たちの支払い方法を見ていると、現金で払っている人が想像しているよりもずっと多い。シニア世代だけではなく、若い人たちでもそう。ポイ活も盛んな日本なので(ポイ活文化はたぶん日本が世界一)QRコード決済がもっと多いと思いきや、日本のキャッシュレスはクレカがダントツの83.5%で、QRコードは8.6%しかない(2023年時点)

なぜ?と思いつつ、先日、東洋経済オンラインで同じデータをもとに書かれている記事を見かけました。

キャッシュレス4割も達成すごいじゃん!次に目指すは8割、マジ!?という感じのトーンでちょっと驚きました。最初に書いたとおりキャッシュレス比率4割は、他の国と比べると遥かに低く、8割も既に達成している主要国と比べると4-5年遅れです。

なんかこういうところに日本のDXが進まない理由がある気がします。昔からいわれているガラパゴス化。日本語で書かれている日本の中の記事やニュースだけを見て、日本の中だけで生活しているとなかなかわからない。

実際に海外に出てみて体験してみるのが一番ですが、誰しもがそうできるわけではないので、それこそメディアがちゃんと世界のトレンド・状況を発信していってほしいのですが。。。

ちなみに、私は基本キャッシュレス生活なおかげ(?)で、いまだに新1万円札見たことないです。

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