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【パラ陸上 | あれこれ #16】4×100m ユニバーサルリレー がんばれチーム日本🇯🇵

東京パラリンピックもいよいよ佳境に入ってきました.パラ陸上は本日,2021年9月3日金曜日を含めて3日間です.さて,今大会から新種目として実施される4×100m ユニバーサルリレー(U-Relay)に日本チームが登場します.本日の午前セッションの最後の種目として予選が3組実施されます.1組目は3ヶ国,2組目は3ヶ国,3組目は4ヶ国の合計10ヶ国が出場予定で,各組みを通じて予選タイムが良い上位4ヶ国が本日の午後セッションの決勝へ進出することができます.着取りではないので,最後まで記録を狙って欲しいと思います.

この ユニバーサルリレーは,視覚障がいの選手を1走に起用するルールでガイドランナーをつけることができることから1ヶ国につき2レーンが割り当てられるため,決勝には4ヶ国しか進出することができません.非常に狭き門です.

このユニバーサルリレーは,第1走者が視覚障がいクラス(T11-T13),第2走者が切断・機能障がいクラス(T42-47もしくはT61-64),第3走者が立位の脳性麻痺クラス(T35-38),第4走者が車いすクラス(T33-34もしくはT51-54)から選手を編成します.

これらの各セグメント(疾走区間)では,障がいの程度が軽い選手から重い選手(基本的にクラス表記の1桁の数字が小さい程,障がいの程度が重い)まで存在しますので,4つのセグメントを通して,障がいの軽いクラスの選手は2名までしか起用できません.ここで言う障がいの軽い選手とは,「T13,T46/47,T38,T54」を指します.

例えば,第1走者がT13,第2走者がT47,第3走者がT38,第4走者がT54というように,障がいの程度が軽い選手だけでメンバーを編成することはできません.

さらに,男子2名女子2名の選手構成となります.第1走者から「男子-女子-男子-女子」「女子-男子-女子-男子」などの組み合わせにも戦略が見え隠れします.

基本的には個人種目にエントリーしている選手のみが出場することができ,いわゆるリレースペシャリスト枠はありません.

まさに様々な要素を組み合わせて実施される混合種目です.

このような実施形態になった経緯に少し触れておきたいと思います.

2016年のリオデジャネイロパラリンピックまでは,リレーは6種目ありました.すなわち,男子では視覚障がいリレー(T11-13),切断リレー(旧クラスT42-47),車いすリレー(T53/54),女子では視覚障がい(T11-13),脳性麻痺リレー(T35-38),車いすリレー(T53/54)です.

それぞれのリレーに編成規則や実施方法があり,ここでは割愛しますが,パラ陸上の特徴が反映された種目として存在していました.そして,それが実施される際の視点も様々存在していました.車いすリレーは4×400mリレーであり,視覚障がいリレーではバトンも使用していました.

リオデジャネイロパラリンピックでは,切断リレー(芦田創-佐藤圭太-多川知希-山本篤)で銅メダル🥉を獲得しました.
2017年ロンドンの世界選手権でも切断リレー(芦田創-佐藤圭太-多川知希-池田樹生)で銅メダル🥉を獲得しました.

しかしながら,この時期以降,実施種目の見直し(整理)がなされ,上述したようにリレーだけで6種目あったことから,リレーの種目を削除することによって一度に6種目も無くすことができるため,リレー種目が無くなるという提案がIPCやWorld Para Athleticsから出されました.

個人的には,陸上競技は個人競技ですが唯一選手が協力して競技を行うことができるリレーは実施種目として存在するべきだと思いますし,パラ陸上の特徴としても継続して欲しいと思っていました.

このことについて,日本チームとしてJPCを通じて各国に賛同を求め,IPC & World Para Athleticsから回答があったのがMixed Event としてのユニバーサルリレーの実施でした.

競技としては4×100mのみということや上述のような規定が定められていることもあり,本当にできるのかという状態からのスタートでした.最初は世界ユース大会で国も関係なく選手を編成して試行レースが行われたほど,世界的にもできるかどうか探り探りの状態で開始されました.

初めて世界規模で実施されたのは,2019年ドバイ世界選手権でした.16ヵ国がエントリーしアメリカ🇺🇸が46秒94で優勝しました.その予選で中国🇨🇳が46秒35の世界記録を出しました.日本🇯🇵は2019年に48秒14(=日本記録)を記録しています.

この世界選手権では,日本🇯🇵を含めドイツ🇩🇪やフランス🇫🇷イギリス🇬🇧といった有力国がタッチワーク等で失格しており,異なるクラスを繋いでいくのは,スピード差や高低差などを考慮しなければならず,本当に練習をしなければ難しいです.

この後の情報はNHKを初め多くのメディアに取り上げられているのでそれらに委ねて,上記の経緯なども含めながら予選レースを是非ご覧ください.

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