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何をするかより、誰とするか

最近、本屋でこういう本を見つけた。
「死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉」
なかなか斬新で目に付きやすいタイトルだ。
私自身、出版会社を経営しているため、様々なジャンルの本に目がいくし、中身もさることながら、タイトルや装丁にも自然と目がいく。
若者の不甲斐なさが何かと話題になりやすい今の時代に、若者に対してどんなメッセージを伝えようと著者が思っているかという観点で興味が沸いた。
それと、少し立ち読みして、確かに納得というキーワードがいくつかあったので購入した。

100ある言葉の中で、一番、印象に残ったのが、「何をするかより、誰とするか」という言葉だ。

偶然、アジアビジネスで強力なパートナーに巡りあったばかりだった。
その彼とは、あったその日にとことん飲んで、「とにかく、なんかやりましょう」
と意気投合したのである。
ピンと来るものがあると重要なビジネスのネタでも即決するものだ。
後日、その彼がブログにこの言葉を引用していたので、特に印象に残っていた。

実は、日頃から私は初めて出会った人でもピンと来ると、「いつか何かやりましょう」ということが多い。
もちろん、誰に対しても言うわけではない。
一言で言えば、感性や志、働き方が合う人に対して直感で決めるわけだが、その後のお付き合いやその結果を見てもそんなに外れることはない。
とはいえ、実際は、こういう感覚は、40代を過ぎてからの実感だし、試行錯誤を繰り返してきたから実りに繋がると思う。

いきなり、20代の若者に、「何をするかより、誰とするか」が大切なんです、などど口にされたら、普通は胡散臭く思う。
もちろん、稀に本物になるような器の大きな人もいるだろうけど・・・。
最近、残念なのは志は立派だが、言動不一致タイプが増えつつあることだ。
色々な要因があるが、本当の苦労を知らず、現実離れした青い鳥症候群が増えてきたように感じる。

若い頃、20代前半は特に、まずは何をするかに関心を持つことが第一歩だと考える。
キャリアアップのストーリーとして簡素化して書くと、第一歩は、何をやるか、あるいは、たまたま遭遇した何かに一生懸命に取り組むこと。
長い目で見れば、これはあくまでも仮のテーマでよい。
いきなり天職など見つかることは皆無だろう。
気持ちの持ちようとしては、経験を積むために、仮でやりたいことを決めているんだ程度のスタンスが良い。
この時期に最も大切なのは、目の前のテーマ、仕事を通して、仕事、人付き合いなどの基礎を徹底的に身に付けること。
若いうちの苦労は買ってでもしろ、ということだ。
併せて、社会のことを良く知ること、体験することも大切。

先の仮のテーマがそのまま天職に結びつく人もいるが、大抵はさまざまなハードルにぶつかり試行錯誤していくうちに自然と天職にめぐり合うのである。
こういうめぐり合わせは、人によってもたらされるといっても過言ではない。
ある程度、仕事で結果を出してきて、最終段階として、どういう働き方をするのかを問われたときに、自然と、「何をするかより、誰とするか」と言えるようになるのがベスト。
目安としては、40歳ぐらいなのかと自他共に思う。

(本記事は、ブログ「近藤昇の会社は社会の入り口だ」に、2011年4月29日に投稿したものです。)