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これからの経営者に求められるIT活用スキルとは?


                            

流石に今の時代、規模の大中小問わず経営者でITを無視できる人はいないだろう。
20年前の経営ならいざ知らず、IT=経営環境といっても過言ではない時代、しかも、これは急速に進展する一方である。私は以前から、“IT活用を考える前に、IT社会に適応することが、これからの経営者に不可欠である”と経営者の皆さんにお伝えしてきた。

今、巷は、生成AIで盛り上がっている。私のAIに関する具体的な考えは別の機会にするとして、経営者であれば、AIはツールとして捉えておくことが最も大切である。AIやITの専門家の議論とは、一線を画するべきなのである。

随分前から、経営資源としては、“ひと、もの、かね、情報”が常識だった。私は、これからは、“IT”も経営資源の一つとして捉えることが重要だと考えている。画期的なツールとしてのITという側面とは別に、ITは社会インフラ、生活環境の一部になって来たという話だ。言い換えれば、ITは私たちの生活環境や働き方を変えているのは言うまでもなく、地球上の人類の営みやつながり方を変えつつあるのである。
言わば、地球全体が、ITで覆いつくされ始めているのである。
必然的に、今までの自国第一主義や先進国と新興国や発展途上国との分断などに起因する、様々な問題や課題が解決できる可能性を秘めているのである。
経営におけるIT活用を考えるのは、ミクロの視点。社会や世界がITでつながり一つになって行くことは、マクロの視点。この両方をバランスよく理解して変化に適応することが、これからの経営者に求められるのである。

まず第一歩として、今回はミクロの視点でのIT活用に軸を置いて、更に考えてみる。
今、経営の現場では、デジタル化の波が押し寄せていると言っても過言ではない。ところが、国が押し進めるDXや大手企業からの要請によるデジタル化など、このままIT活用の半強制力に流されてよいのか。悩みは尽きないが、会社の舵を握る経営者は、確固たる考えと根拠を持っておくべきである。

そもそも、DXとITが混在して使われている。
簡単に言えば、専門家、ITサービス会社の使い方も千差万別。これほど、言葉の定義があいまいになるテーマも珍しいのではないかと思う。それだけ、分かっていなことが多すぎるし、そもそも、VUCA(ブーカと読む。私なりに言うと曖昧さの象徴の言葉)ではないが、ITやDXが曖昧なのである。
自然体でITをツールとして捉え、実は決して魔法の杖ではないと分かっていれば、結局は使う側の問題や課題に帰着できるのだが、実際はそうではないようだ。
人間だれでも悩みや困りごとはある。誰にとっても身近なところのダイエットや健康管理一つにしても、やり方は沢山ある。でも、実際にトライした人なら痛感しているが、結局は、自分次第、自己責任なのである。
実は、このITも人間がツールとして使う限り、似たようなものである。会社経営に置き換えると、経営者の意志、判断、スキル次第で、IT活用の結果の良し悪しが決まるのである。
それがあって初めてDXを語るのが自然だ。

とは言え、今のような時代、ITのことを正確にブレなく分かっている経営者がどれほどいるのだろうか?私の日々の実感では、10人に一人いたら御の字ではないかと思う。
言うまでもなくITの専門家という意味ではない。
車の活用に例えれば、すぐ理解できる。車に関するスキルとして、エンジンルームまで点検できるような専門家、普通に運転ができる人、運転はしないが車の利便性を知っていて、活用できる人に分けることができる。
ITも似たようなものだと断言できる。経営者は自ら運転する必要はないのである。確かに、ITは専門的すぎるし英語がベースで略語だらけ、しかも、日々の変化が速すぎるし複雑すぎる。経営者がマスターするべき分野でこんなテーマは他には見当たらない。
経理、人事、法務などは、ほぼ変化はない。マーケティングのやり方にしても、本質はこの何十年変わらない。新規事業の立ち上げ、これは方法と言うよりも、経営者の本質的なスキルに依存する。
こういうのと比べてもITは大変である。
当然、今挙げた色々な事を実行するのには、結局ITを活用した方がメリットが多い時代である。だから、余計にITを難しく感じるのである。まず経営者がするべきことは、“経営者として知っておくべきITのこと”に向きあうことである。

                                                                                                                以上